愛しの座敷わらし/荻原浩 [朝日新聞出版]
これも積んでいたのをようやく消化できました。読み始める前は「少し分厚いかな」と思っていたのですが、読みやすくてあっという間に読むことができました。
まず気付いたのが、表紙の折り返しの下の座敷わらしの絵。ちょっと怖い……。あんまりいとおしくない感じが。
事前情報なしで読んだため、てっきり「家族みんなで座敷わらしと仲良くなって、仲良く暮らす話かな」と思ったら、全然違いました。この物語の中心は、家族の絆。その再生でした。それぞれがばらばらとなっていた家族が引っ越して、そこで起こる出来事を通して絆が再生していく。ありがちなテーマかも知れませんが、面白かったです。
まずは文章が読みやすい。読みやすい文章は、おもしろさには不可欠だと思いますが、非常に読みやすかったです。ただ、括弧で目の形などのある意味遊び要素が少し気になりました。私は面白いと思いますが、どれくらいの人が受け入れられるのだろうか。
そして、座敷わらしが可愛い。話すことができないので、会話こそないのですが、目を丸くしたり、「ふわぁ」と声にならない声を出したり。犬を怖がりながらも犬に近づいていく、など。もう可愛くて可愛くて。惜しむらくは、出番が多くはないこと。『愛しの座敷わらし』というタイトルなのに。
座敷わらしを中心にした出来事を通して、家族がふたたび絆を取り戻していく姿は非常に良かったです。最後も読める展開ではあるのですが、ホロッと来ました。直木賞の選評を見ると、「冗長」とあったのを見た気がしたので、少し覚悟していたのですが、そんなこともなく、最初から最後まで楽しんで読むことができました。確認してみると、「冗長」と行っていたのが林真理子氏だったので、あまり気にしなくて良かったのですね。
2008-10-02 22:31
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