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秋期限定栗きんとん事件 下/米澤穂信 [東京創元社]


秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: 文庫



小市民シリーズ第3弾の後編。上の発売からさほど間を置かずに発売されたのは嬉しい限りです。でも、どうせなら上下間同時発売が良かったかな、とも思いますが。それは贅沢というものかもしれませんね。

今回は前巻からに引き続き、連続放火事件の解決編となります。そしてその中で、気になる小鳩くんと小佐内さんの再会も描かれている、といった感じでしょうか。

今回は、謎解きパートは連続放火事件の解決のみ。そのため、謎解き部分を期待している人には、少し不満を感じるかもしれません。まあ、反面連続放火事件に関しては、様々な推理要素があって満足な感じでした。まあ、犯人に関してはある程度予想の範疇でしたが。個人的には瓜野君の的外れ予想はなかなか楽しめました。

そして、今回の最大の見せ場とも言えるのが、小鳩くんと小佐内さんの再会でしょう。上では、お互いに別の恋人ができたのですが、まあ、予想どおりの展開でしたね。こちらの望むような展開で何よりです。小鳩君の言うように、「たったひとり、わかってくれるひとがそばにいれば充分」(P.212)だと思います。まあ、そのひとりを見つけるのが何より難しかったりするのですが。ただ、今の段階では小鳩くんと小佐内さんの間に温度差があるのが気になるところ。これは次回以降で解決する、といったところでしょうか。しかし、小佐内さんはやはり恐ろしい。

個人的には、瓜野君の顛末が興味深かったです。まあ、結果を見れば恋人の手で踊らされているだけ。友達が放火犯で奇しくも友達の放火を助長するようなことをしていた。友達と思っていた人間が放火犯で、実は見下されていた、と哀れな感じですが、全然かわいそうに思いませんでした。ただ単に、私が嫌いだからなんですが。パトカーの巡回を見て

 どちらにしても、あんな目立つ光を投げられたのでは、犯人が萎縮してしい かねない。言うまでもないが、放火犯には何かアクションを起こしてもらわないと、撮ることも捕らえることもできない。(P.21)

ってのは、どこのクズ人間かと。まあ、普通の友達だったら、そんなことをやめるように止めると思うのに、止めもしないということに何も感じないのがその程度というか、他愛ないというか。結局、自分が有能だと思い込んだ人間というのは哀れだなぁ、という感じでした。

『夏期限定トロピカルパフェ事件』から約三年ぶりの新作となったわけですが、非常に大満足でした。きっと、『冬季限定~』もあると思うので、それを気長に楽しみにしたいと思います。
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takao

ミナモさん、nice!ありがとうございます。今後の励みに致します。
by takao (2009-04-25 08:37) 

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