SSブログ

底抜けに明るい青春小説 『少年少女飛行倶楽部』/加納朋子 [文藝春秋]

あらすじ(帯より)
中学1年生の海月(みづき)が幼馴染の樹絵里に誘われて入部したのは「飛行倶楽部」。メンバーは2年生の変人部長・神(じん)、通称カミサマをはじめとするワケあり部員たち。果たして、空に舞い上がれるか!?

やたらポップな表紙だなぁ、と言うのが第一印象。あとがきで「底抜けに明るい、青春小説が書きたくなりました」とありますが、内容もそのように。なにか、今までの加納朋子さんのイメージとはかけ離れた、非常に良質の青春小説でした。と言うか、非常にライトノベルに近いモノを感じました。個性的な(と言っても、所謂「ラノベ」の登場人物より常識的ですが)の登場人物、そして、名前。語りも、主人公・海月の一人称視点で書かれており、中学1年生と言う設定から非常に軽妙なノリでした。

非常に読みやすかったのでサクサクと読み進めることが出来ました。やっぱり青春小説は良いなぁ。思うに、大人が失ってしまったモノがいろいろ詰まっているんだろうなぁ。上手く言えないので、逃げてみました。まぁ、大人が思い出すより、中学生も複雑だとは思いますが。子どもでもない、でも大人でもない微妙な時期、というのが良いのでしょう。

はじめは内申書で困るから、と言う理由で「飛行」することを考えていた海月が、だんだん周りを巻き込みながら、飛行を目指して頑張る姿がかなり良かったです。まあ、その主な理由がカミサマ部長を放っておけない、と言うことからだったと思いますが。そして、自分でも気付かずにカミサマ部長の存在が大きくなっていく様子がもうツボでした。最後の、部長の一言も凄く素敵でした。もちろん、部長は自分の気持ちに気付いてのことばで無いであろうし、だからこそ、何かの思いがあって言ったことではないと分かるのですが。でも、そのさりげなさがカミサマ部長らしくて良かったです。そりゃ、海月は口をパクパクさせるしかありませんね。

ミステリの要素が全くないのも意外でした。私が読んできた加納朋子さんの本は、どのシリーズでも「日常の謎」が入っていたのですが。まぁ、『てるてるあした』とか、買って読んでいない本もあるので何とも言えず。でも、加納朋子さんは元々、文章自体も魅力的であったのでこれはこれでいいなぁ、と思いました。

内容等から言って、中高生向けの本ではないかなぁ?と思いました。もちろん、大人にもオススメですが。それなのに、値段が1750円と少々値が張るのはいただけないかなぁ、と思いました。まぁ、学校図書館に入るのでしょうかな?出来るだけ多くの人に読んでもらいたい、非常に読後感の良い物語でした。


少年少女飛行倶楽部

少年少女飛行倶楽部

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 単行本



ブログパーツ
nice!(3)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 3

コメント 2

takao

直chanさん、いつもnice!ありがとうございます。
by takao (2009-04-30 05:40) 

takao

chokusinさん、nice!ありがとうございます。
by takao (2009-05-04 14:16) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。