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『絶望同盟』/十文字青 [一迅社]

今回紹介するのはこの作品です。

絶望同盟 (一迅社文庫)

絶望同盟 (一迅社文庫)

  • 作者: 十文字 青
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2010/02/20
  • メディア: 文庫

『ぷりるん。』『ヴァンパイアノイズム』に続く、十文字青さんが送る『第九』シリーズ第3弾です。ちなみに、『第九』シリーズとは、「第九高等学校」を舞台にした作品の総称ですね。あと、これ以外に『萌神』の四作リリースされています。

ようやくこのシリーズ全部読み終わることができたのですが、このシリーズで十文字青さんが描きたかったのは、「人間」なのかなぁ、という気がしています。とはいえ、『ヴァンパイアノイズム』はもう内容をほとんど忘れているのですがw

 

この作品ですが、何ともあらすじが書きにくい。基本的には、4人の登場人物と、小野塚那智が出てきますw小野塚那智はこのシリーズに毎回登場するキャラで、今回も重要そうで、重要でない役回りという感じの登場でしたw

で、メインになるのが4人。「ロリコンである自分に絶望している」当真ネンジ。「女としての自分に絶望している」蓮井カオル。「世界全てに絶望している」木羽ミキオ。そして、「なんとなく絶望している」雫石サナ。昼休み、来客用玄関ホールに集まる(ただし、群れるわけではない)4人の、それぞれの絶望の物語、と言うべきでしょうか。全5章からなっていて、4章までが一人一人の物語。最後の1章が4人の物語、となっています。

で、これがまた何とも不思議な作品。決して、強い救いがあるわけではありません。むしろ、それぞれが持っている絶望に、打ち勝つことができていない、と言うか。全員がそれぞれの絶望にもがいて、結局絶望を深めているのに、最後が救われる、と言うか凄く優しいんですよね。

ただ、私はそれが人間なのかなぁ、と思いました。それぞれが持つ絶望って、要はコンプレックスだと思います。コンプレックスって、みんな持っているわけで。誰もがそれとうまくつきあっていると思うんですよ。 で、それとどう向かい合うかと言うのが大切で。この4人は、結局4人がつながることで、お互いを救い合っている、と言うか。これって、人間生活の縮図、みたいなものではないかなぁ、と思った次第です。

まぁ、私の理解なんて浅いものなので、「ちげーよ」と言われるかも知れませんが。ただ、一ついえるのは、私、この作品が凄く好きだなぁw

『ANGEL+DIVE』シリーズも凄かったですが、この『第九』シリーズを読んで、「十文字青って作家、ものすごい!」と感じさせて貰いました。『第九』シリーズに至っては、微妙にライトノベルという枠で収まり切れていないのが凄いですねw特に、『ぷりるん。』w

何か、『萌神』の売り上げが良くなかったら、このシリーズの続きはもう書かない、とからしくて、今のところ続きでなさそうだなぁ、と言う感じがしていますorz でも、本当に素晴らしいシリーズなので、是非続けて欲しいと思います。田中哲弥曰く、「物語は三部作になるものらしく、4作目が出ると4部作になるのではなく、新三部作になる」(うろ覚え)という事なのでw小野塚那智の物語が読みたいなぁ、そんな事を思ったりしました。  


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