『くくるくる』/一肇 [小学館]
今回はこちらです。
日常を,人生の全てを変えたかった少年・語木璃一(かたるぎ・りいち)は,桜咲く公園で一人の少女・密森(みつもり)なゆたに出会う。ソメイヨシノに荒縄をかけ自殺をしようとしながら未遂に終わった少女との出会いで,自分の日常が変わるのを感じた璃一は,彼女に告白。見事玉砕する。
しかし,璃一は諦めずに彼女を観察することに。彼女から公認記述者として認められることに。相変わらず自殺をしようとし未遂に終わるなゆたはある日,キリングKと呼ばれる暗殺者と出会う・・・・・・。
うーん,何ともあらすじが書きにくい物語ですねwとはいえ,凄く面白かったです。
読み始めたときは,主人公が気になる彼女をストーカーして彼女を観察,記録する,と言う設定で「何か森見登美彦さんの作品で,同じような主人公がいたなぁ」と思いつつ,読み進めました。
序盤は,なんだか読みにくいなぁ,と言う感じでした。章の切り替わりがわかりにくい,と言うのもあったんですが。ですが,キャラクターの良さに惹かれて読み進めることができました。そう,この物語の終盤までの魅力は,キャラクターの良さだと思いました。璃一はどちらかというと,引き気味のところにいるのですが,なゆた,キリングK,そして璃一の妹のありすのキャラが凄く愛おしかったです。
特にお気に入りはキリングK。連続殺人犯と思われているプロの殺し屋さんですが,中身はなんだか人間的でした。Kの言葉一つ一つが倫理的に見てどうか,と言うことは抜きにして,興味深いし面白いなぁ,と思いました。なんて厨二病の私w
で,一体どんなオチが待っているのか,と思ったら,残り50ページくらいになってから,まさかまさかの超展開。一瞬,一迅社文庫の『萌神』(十文字青)を思い起こさせるような超展開でした。この辺は,読み手によって印象は変わるでしょうが,私はかなり好きでした。ネタバレを避けるために多くは語れませんが,とにかく凄い!それまでに,そこに関する気になるところはあったので,まさかこう来るとは!と言う感じで。それでいて,ちゃんと落ちるところに落ちているし,「最初のあれはこういう意味だったんだ!」と思わされるところアリでした。
なんだか不思議な物語でしたが,良い物語でした。
コメント 0