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『うちの魔女しりませんか?』/山川進 [小学館]

魔女と少年のやりとりが優しくて,ほほえましくて。切ないけれども,心温まるストーリーでした。

うちの魔女しりませんか? (ガガガ文庫)

うちの魔女しりませんか? (ガガガ文庫)

  • 作者: 山川 進
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/01/18
  • メディア: 文庫

人間とそっくりの外見を持ち,しかし人間と違う形の進化を遂げた謎の生命体。魔女。その魔女が絶滅危惧種として保護されている世界。しかし,その保護をしていた地球上最後の魔女は,ある日死んでしまう。しかし,まだ生き残りの魔女がいると信じる魔女オタクのリョータにつれられて最後の魔女が見つかった森を探索した文哉は,その森の中で小さな魔女を見つける。その子にミラと名前をつけた文哉は,その魔女と一緒に暮らすことになって……。

 

イラストとタイトルにつられたわけですがw非常に良質の物語でした。読み切りの作品ですが,非常に綺麗に終わっているなぁ,と満足です。「読み切りで面白い作品に巡り会いたい」と思っていたら,年明け早々に『レイヤード・サマー』やら,この『うちの魔女しりませんか?』やら,非常に豊作だなぁ,と嬉しい限りです。『とある飛空士への恋歌』最終巻も含めると,面白い作品が多くて嬉しい限りです。

序盤は,表紙にふさわしい雰囲気の,非常にほほえましいエピソードで展開。文哉につれられて人間世界にやってきた魔女・ミラが人間世界ではじめて触れることをどんどん吸収して,失敗したりいいことしたり。それを飼い主である文哉が困ったり,可愛いなぁと思ったりしながら見守ったり。そして,ミラが魔女だとばれてはいけないので,口から出任せたり。一人暮らしで穏やかな生活をしていた文哉は一変してしまうのですが。ただ,それが非常に楽しそうで,少し羨ましいなぁ,と思ってしまいました。とにかく,この辺はミラが愛らしいw可愛いw感情にあわせて,アホ毛がピコピコ動く,っていう設定も,想像してしまうともうたまりませんでしたw全くしゃべれない状態から3日でコミュニケーションをとれるようになる,という才能を見せたかと思うと,あれが苦手だったりwもう,にやにやが止まりませんでした。

このまま,何気ないけども,愛おしい日常が続くのかなぁ,と思った後半からが急展開。今までのまったりな展開から一転したため,「物語を盛り上げるため?」とも考えましたが。まさか,こんなハードな展開になるとは,と驚きでした。少しぐろいのがwグロ苦手で可愛い作品が大好きな人が表紙で騙されて買ったらどうするんだろう,と少し思ってしまいましたw

しかし,この展開は文哉とミラ。2人の絆が試されるような展開でした。この展開があったからこそ,文哉にとってミラが,ミラにとって文哉が,かけがえのない,家族と言うべき存在なのだなぁ,と感じられました。たとえ,ぼろぼろになろうともミラと一緒にいるために奮闘する文哉がかっこよくて。心打たれました。ミラもそれに応えて。最後に2人の場面は心が洗われるようでした。

ラストは,確かに悲しいけども。でも,ミラのことを思えば,文哉の決断は当然のことなんですよね。今後を思うと,もう一方の道は困難きわまりない,と言わざるを得ませんし。そんな中で,ミラが幸せでいられるか。確かに文哉にとって,またミラにとって辛い選択なのですが,よくその選択ができたなぁ,という感じでした。

ただ,確かに別れは辛いのですが,別れって生物にとって避けることのできないものなんですよね。だからこそ,それまでにどれだけのものを相手に残せるのか。どれだけの絆を築くことができるのか。それが大切なのだと思います。そういう意味では,この二人は一生忘れ得ない,大切な思い出をお互いに残すことができていると思います。だからこそ,切ないけども,素敵なラストだなぁ,と感じました。うん,思い出すと泣いちゃいそうですw基本的にコメディでそれまでは笑えるシーンが多いのに,ラストは感動的でしたw

まぁ,欲を言えば,もう少し余韻があっても良かったかなぁ,とは思います。数ページでも良いので,後日談的なものが。それで,文哉があの日々を思い出す,みたいな展開があればなぁ,と。まぁ,確かにべたべたな構成なんですけども,感動が増していたのではないかなぁ,と言う気がしました。何か,少しだけ尻切れトンボ,と言うか,あっけなさを感じてしまいました。

とはいえ,作品自体大変素晴らしい作品でした。おススメです!


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コメント 6

ask

今の私にはとても嬉しい情報ですね。なんせガガガの「ガ」タログに応募するためのもう1冊を捜していたのですから!w
コップクラフトと悩んだのですが、まだ1巻ですし、なによりtakaoさんおススメということですし、購入しようと思います。しかしあのレイヤード・サマーの後に名前を出すということは、期待していいんですよね?w 私上月さん好きですよ?w

by ask (2011-01-20 21:24) 

HINAKA

HINAKAです。

takao様

いやァ~ッ!本当に、読みたくなりますねェーッ!
『レイヤード・サマー』共々!でも、「マリみて(この看板は偽り有りと言えましょう!)」の新刊もまだ、熟読できていない身としては、今のところ活字は苦しいですねェ~、残念!!

マンガも読みたいものが、一杯一杯あるんですが……。
うーん、苦しい。

まァ、仕方が無いので?今回は、この辺で失礼致します。


by HINAKA (2011-01-21 12:28) 

takao

askさん,コメントありがとうございます。

とある飛空士への恋歌を2冊買った私に刺客はなかった(`・ω・´)キリッ
ではなくwなるほど,「ガ」タログ目当てですね。
コップクラフトの方が良いような気もしますがw

あ,この作品,1巻ではなく,これで完結ですよ。
そして,私のおすすめは当てにならないような気がしますw
そう言っていただけると大変嬉しいのですが。
『レイヤード・サマー』と同じ,「永遠の別れ」を描かれているのですよ。
と言う事で,並べてみたのですがw
いや,でも良い作品ですよ。期待して大丈夫だと思います。
by takao (2011-01-21 21:28) 

takao

HINAKAさん,コメントありがとうございます。

HINAKAさんに「読みたくなる」と言っていただけると,凄く嬉しいですw
大変恐縮もしますがw
『レイヤード・サマー』共々,おススメですよ。
是非是非お暇があれば読んでいただきたく思います。

私の方は,最近めっきりマンガを読まなくなりましたw
最近ラノベ読んでばかりです。
今後も,おすすめできたらいいなぁ,と思う次第です。
by takao (2011-01-21 21:33) 

ロック

>後半からが急展開。今までのまったりな展開から一転したため,「物語を盛り上げるため?」とも考えましたが

この言葉に何かを感じてしまいましたw
すみませんm(_ _)m

by ロック (2011-01-23 15:28) 

takao

ロックさん,コメントありがとうございます。

いや,別に気にしなくても。
一瞬だけ,てこ入れ的な感じなのかなぁ,と思ったのですよw
by takao (2011-01-23 18:13) 

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