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『氷結境界のエデン8 悲想共鳴-クルーエル・シャウト-』/細音啓 [富士見]

ショート感想

エデンの深奥に眠る禁断水晶。その中に眠る少女は、やはりあの人?という事で、ますます前作との関連を感じさせるところから始まった第二章開始の8巻。前回、自身の持つ秘密をばらされてしまったシェルティスと、彼の秘密を知って衝撃を受けたモニカが、スタートラインに改めて立つ物語、と感じました。あっさり解決した感じもしましたが、それでも彼女のシャウトは苦しいものがありました。異篇卿の意外な正体(特にマハさん)やエデンに封じられた敵など、今後がますます気になる巻でした。

あらすじ

 「シェルティス、思いだして。天結宮(ソフィア)の錬護士であったあなたは三年前、穢歌の庭(エデン)に転落していくユミィを庇って助けた代償に、自分が穢歌の庭に堕ちてしまったのですよ」
 異篇卿イグニドによって告げられた事実に混乱する天結宮。イグニドの企みを阻止すべく帰還したシェルティスだったが、上層部によって身柄を拘束されてしまう。そんな中、シェルティスとユミィの関係を知ってしまったモニカは、固く心を閉ざしてしまい……。
 生死不明のレオン、狙われる春蕾(シュンレイ)、バラバラになった部隊の思い、そしてシェルティスに新たな試練が降りかかるーー。

氷結鏡界のエデン8  悲想共鳴‐クルーエル・シャウト‐ (富士見ファンタジア文庫)

氷結鏡界のエデン8 悲想共鳴‐クルーエル・シャウト‐ (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 細音 啓
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/09/17
  • メディア: 文庫

 

ロング感想

ソフィア側の敗北。シェルティスは正体を明かされてしまい、傷つきながらあのときと同じラインに立たされる、と衝撃的な形で終わった7巻。そして、8巻のサブタイトルが、「クルーエル・シャウト」気になって気になって仕方ない、という感じでしたが、ようやく出ました第二部開始の第8巻。物語としては、「部隊のスタートライン」そして、「モニカとユミィのスタートライン」という感じだったかなぁ、と思います。

とにかく、色々詰め込まれている感じでしたね。穢歌の庭の深奥に眠るもの。禁断水晶が封印しているもの。異篇卿の目的。正体。そして、天結宮のごたごた。ちょっと情報が多くて、少し戸惑ってしまいました。あくまでもメインは、「シェルティスとモニカとユミィ」なのですが。

まず、穢歌の庭について。禁断水晶で眠るもの。名前こそまだ出てきていませんが、誰かを「姉さん」と呼ぶ声。おそらく、ここにいるのはあの子だろうな、と確信させてくれるような感じで始まりました。そうですよね。前作で、クルーエルの運命を代わりに受け入れた彼女。彼女がここにいて、救いを待っている、というのが真相という感じでしょうか。もちろん、前作と完全に一致した存在、という訳でもないかも知れませんが。別に時間線の彼女、とか。とにかく気になるところでした。ラストで姿を現した穢歌の庭の本当の悲想とは何なのか。これがこの物語のキーになりそうです。

そして異篇卿。ここで遂にマハさんの正体が判明。って意外すぎて吹いてしまいました。まさか、中身がああだったなんて。それだけでなく、意外な方との関係も生まれそうで。いや、私もあの筋肉馬鹿は結構好きですのでうまくいってくれたら面白いなぁ、と感じました。

それと同時に、春蕾が見た、というイグニドの正体。春蕾を思いっきり驚かせていましたが。妥当なところで行ったら、シャオあたりかなぁ、とも思ったのですが、彼の性格とシャオの性格があっていない気がするので違うでしょうし。一体彼が何者なのか、気になるところです。

と、脇で気になったのはこんな感じですが。メインもよかったです。シェルティスの正体を知ってしまったモニカ。自分に全てを打ち明けてくれなかったことを知り、自分が信用されていなかったのか、と苦しみます。その苦しみが伝わってくるようで、なかなかに苦しかったですね。サブタイトル、クルーエル・シャウトでしたが、ある意味、「モニカ・シャウト」でもあったな、と感じました。

苦しみつつも解決するのは案外あっけない、というこのシリーズのお約束に漏れず、結構あっけなく苦しみも解決したなぁ、と思いましたが。ただ、このことで改めて部隊が一歩成長できる、感じました。強固になる、というべきでしょうか。全てを吹っ切ったモニカは遂にライバルとしてスタートラインに立ちましたし、今後どうなっていくか楽しみです。

そして、ラスト。これまたなかなか気になる引きでした。あの双子が恐れるほどの存在。そのことを知らなかった、という事は、異篇卿は完全な敵ではない?と感じでしたが。イグニドが何かの目的を持って利用している、というところでしょうね。彼らの目的。ソフィアは一年間で達成される、という判断でしたが、この展開だと、「世界に残された猶予が1年」なのでしょうね。一体、異篇卿の目的とは何か。双子はどうなるのか。気になるところです。

と、気になる引きで終わってくれたのに、『氷結境界のエデン』のスピンアウト?的な新シリーズ『不完全神性機関イリス』が開始される、とのこと。出版ペースは相変わらずの三ヶ月ごとのようですが、今後は交互に出版していくようで、9巻の発売は、来年3月になるようで。正直待ち遠しいなぁ、というところです。とはいえ、嘆いていても仕方ないので、物語世界を整理して待ちたいと思います。

ちなみに、9巻のサブタイトルが「限界決戦ーアマリリス・コーラスー」これまたシリーズファンには気になるサブタイトルです。首を長くして待ちたいところです。


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