『デート・ア・ライブ 4 五河シスター』/橘公司 [富士見]
(あらすじ)
最悪の精霊、狂三を救ってみせると、そして真那も救ってみせると、言いながら結局、士道は何もできなかった。
もし、あのとき五河琴里が現れなければ全ては終わっていた。
「今から五年前。--わたしは精霊になった。士道の回復能力はもともと私の力よ」
琴里の口から告げられる真実。彼女が精霊になり。士道が初めて精霊を封印し。折紙の両親が精霊に殺された五年前の事件。
「今日で私は私でなくなる。その前に、おにーちゃんとのデートを」
タイムリミットはたった一日。可愛い妹で、苛烈で強気な司令官を救うため、デートして、デレさせろ!?(裏表紙より)
(感想)
先日、無事『蒼穹のカルマ』シリーズを終えた橘公司さんの、もう一つのシリーズ。これからは、こっちの方に集中するのでしょう。アニメ化企画も進行中で、コミカライズも決定しているノリノリのシリーズ第4巻です。
さて、絶体絶命の危機を迎えたところで、妹が登場。精霊としての姿を現したところで終わった3巻からの続き。どうなるのか、と思ったのですが、やることは相変わらず変わらなかったですね。「デートして、デレさせる」今回はその対象が、妹(血はつながっていない)の琴里。精霊としての意識に飲み込まれようとする琴里を救うために、彼女の精霊の力を再び士道の中に封印する、という展開でした。と言う事で、今回は狂三の問題は解決しませんでした。
さて、3巻で一気に面白くなってきた、と感じた本シリーズですが、4巻も面白かったです。おそらく、過去の出来事が明らかになってきたり、登場人物が増えたことで絡みが増えたりしていること。そして、「デートして、デレさせろ」という同じパターンでありながら、その中でも変化が生まれていることがその要因なのかなぁ、と自己分析してみました。
そして今回は琴里。ラトタスクの司令官にして、士道の妹。士道の手の内を知っている彼女とデートしてデレさせると、ある意味シビアなミッションだったように思いますが。終わってみれば、やっぱりな、と言う展開でほっとするような展開でした。黒いリボンをしたときの琴里の強さの理由。ラストの二人の会話(と言うか絶叫)。そして、五年前の挿絵。ラストの展開に関しては、圧巻で大満足でした。
今回は琴里がメインながらも、他のキャラにも光が当たっていたのは好印象でした。特に、今回は四糸乃がしっかり出ていたのが良かったですね。とことんアホな十香と、士道の意図を組む四糸乃、と言うコントラストが面白かったです。しかし四糸乃さん、あれは反則です。あと、鳶一さんは暴走しすぎです。
さて、「兄妹愛」がテーマといった4巻でしたが、物語的にも重要なポイントになるのではないかな、という場面がいくつもあったように思います。精霊とは一体何なのか、と問われているような内容。ラストに語られた狂三の目的を聞いてしまっては、やっていることは確かに悪なのだろうけども、本当に悪と断じることができるのだろうか、と考えてしまうような内容でした。狂三の語った内容から察するに、精霊とは……。気になるところです。
アニメ化企画進行中、と言う事で、ここである程度の区切りをつけるのか、と思っていたのですが、私の考えが甘かったようです。狂三の事件の解決は先送りですし、謎がますます深まってきて、ここでアニメは終われない、と言う感じで話が膨らんできたと思います。シリーズを重ねるごとに加速しているように感じる本作。一体どこまで突っ走ってくれるのか楽しみです。
デート・ア・ライブ4 五河シスター (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 橘 公司
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2012/03/17
- メディア: 文庫
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