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『森の魔獣に花束を』/小木君人 [小学館]

(あらすじ)

ひとりぼっちの魔獣の少女に恋をした。

剣と魔法が大きな力として存在する世界。クレヲは絵を描くことだけを生きがいに孤独な日々を過ごしていた。だが、名家に生まれた彼は、跡継ぎになるための 試練の旅に出なければならなくなる。禁断の森へ踏み込み、そこで半人半植物の魔獣の少女と出逢う。あっけなく捕まったクレヲは、なんとか気を惹いて助けて もらうが、代わりにペット同然に拘束されてしまった。こうして始まった奇妙な共同生活だったが、クレヲはいつしか安らぎを覚えていく。しかし平穏な日々は 長く続かなかった……。人と魔獣の恋を描いた心温まる異色ファンタジー。(ガガガ文庫ウェブページより)

 

(感想)

小木君人さんの新作登場。何でも1年ぶりとのこと。長かったなぁ、と感じますが、それに見合った、非常に素晴らしい物語でした。

今作は、デビュー作である『その日彼は死なずにすむか?』にかなり近づいたように思います。病弱の少年と、魔獣の少女のほのかな恋の物語。始めは魔獣の少女を恐れ食べられたくないと思っていた少年。始めは少年を食べようとしたいた少女。その二人が、次第に打ち解けていき、お互いを大切に思うようになっていく過程が、心温まるようですがすがしかったです。

読んでいて感じた印象は、大人のための童話、或いはおとぎ話。紅玉いづきさんの『ミミズクと夜の王』のような雰囲気のある物語だと思いました。

お互いを大切に思うからこそ、すれ違っていく二人の思い。そして迎えるラスト。このラストの展開、種族の違いを超えた二人の思いのなんと眩しいことでしょう。そして迎えるエピローグ。心洗われるようなそのラストは、とても美しいものでした。

これまたライトノベルの売れ線とは違ったベクトルの作品。ですが、いわゆる「最近のライトノベル」に辟易している人にこそ読んで欲しい作品だと思います。きっと、「ライトノベルにもこんな作品があったのか」と感じられるのではないでしょうか。あとがきで作者が結構必死にアピールしていますが、こういう作品に是非とも注目して欲しいです。

 

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

  • 作者: 小木 君人
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/04/18
  • メディア: 文庫

 

(関連リンク)

『その日彼は死なずにすむか?』/小木君人 

『夜が来るまで待って 2』/小木君人


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コメント 6

大林 森

すごく興味ありますー!ご紹介ありがとうございます!(・´з`・)
by 大林 森 (2012-04-20 11:09) 

takao

大林 森さん、コメントありがとうございます。

興味を持たれたようで嬉しく思います。
作者の作品、あんまり売れてないようでこれが売れないと次の作品書く機会がなくなりそうなので、是非とも購入されてください。
また、同じ作者なら、『その日彼は死なずにすむか?』はかなりおススメですので、これが面白かったら読んでみてください。
by takao (2012-04-20 19:15) 

つるぎうお

おっと!
小木君人先生の新刊出てたんですね!チェックしそこなった。いまから本屋行ってこよう!!

by つるぎうお (2012-04-20 20:30) 

takao

つるぎうおさん、コメントありがとうございます。

そうなんですよ。
あとがきによると、1年ぶりの小木君人さんの新作ですよ。
読み切り作品、ということかどうか分かりませんが、デビュー作を彷彿とさせるような、優しい、暖かい物語でした。
きっと満足できると思いますよ。
お楽しみください。
by takao (2012-04-20 21:20) 

る〜

小木君人さんの新作だったのですね。
自分、デビュー作の『その日彼は死なずにすむか?』は
読んでました。
面白かったのでこの人の話しは気にはなってはいました。
そうか。新作があったのですね。
ちょっと、チェックしてみます!!
by る〜 (2012-04-29 11:29) 

takao

る~さん、コメントありがとうございます。

デビュー作、良かったですよね。
2作目がラノベファンを意識しすぎた結果か、作者のいいところが十分に生かせていないように感じて残念だったのですが。
この作品は、デビュー作の感じが蘇ってきたようでした。
評判もいいようですので、是非とも読んで欲しいと思います。
by takao (2012-04-29 15:41) 

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