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『彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。』/海空りく [ソフトバンク]

(あらすじ)

 戌亥慎太郎は、ある日突然不思議な手錠で女の子と離れられなくなってしまった。
 相手は地味な同級生の此花つぼみ――だが彼女は眼鏡を外すと超絶キュートな女の子だった!?

「戌亥さん、そのぅ、背中を洗ってくれませんか」
「いいぜ。後悔すんなよ」
「何されるんですかわたし!?」
「スベスベにしてやんよ!」

 絶対に外れない手錠のせいで、お風呂に入る時さえも、離れられない二人。
 おかげで幼馴染みや委員長には変な勘違いをされ、戌亥の青春最前線は大波乱!
 此花と『恋人』になれば手錠は消えるらしいのだが、そこには大きな運命の罠が!?

 ゼロ距離拘束ラブコメディ開幕!(GA文庫ウェブページより)

彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。 (GA文庫)

彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。 (GA文庫)

  • 作者: 海空 りく
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2012/05/15
  • メディア: 文庫

感想は追記にて

 

(感想)

海空りくさんと言えば、『断罪のイクシード』でデビュー。『○書』みたい、と言われつつ、荒削りながらも熱い厨二病の物語で楽しむことが出来ました。その作者が『断罪のイクシード』を完結させ、次に挑むジャンルは「ラブコメ」。えぇ、正直「またか」と思いましたよ。なかなかいい厨二病作品書けていたのだから、厨二病作品に特化していくのもいいのではないか、と思っただけに、飽和市場である「ラブコメ」に挑むことに不安を感じました。

そして、発売。「不安だなぁ」と思いつつ、作品に触れてみました。結論。私の杞憂でした。というか、私のような浅学無知の身のものが、勝手な思い込みで推測なんかしてしまって申し訳ありませんでした。

設定としては、割とありがちなもののように思えました。主人公の周りの幼なじみと風紀委員が、すでに主人公に惚れている、というのは気になりましたが、ないわけではないですし。主人公の人相が悪いという設定なのに、人相が悪く見えない(『れでぃ×ばと!』原作の秋晴と比べるのが悪いのかもしれませんが)のも、まぁ些細なことかと。

この作品の大きな特徴となっているのは、主人公がヒロインと手錠と繋がって離れられない、という点ではないでしょうか。恋愛成就の神様によって施された手錠。この手錠は、二人だけを拘束するけれども、そのほかのものはすり抜けるという特性を持っています。

このおかげで、ラノベ特有のエロいイベントも難なくこなせます。そりゃ、主人公が己の身に降りかかった不運を嘆きながら、何だか人がいるような気がしつつお風呂に入ったら、すでに誰かが入っていて「キャー」、という展開どころではなく、一緒にお風呂に入るってもんですよ。手錠で繋がっているから。下着を買いに行くのだって、義務感からではなく、強制になるってもんですよ。実にラノベ向きの設定だと感じました。

その後も、ヒロインがやたら自虐的、というのもどこかのラノベで見覚えがありますし(『ラノベ部』の妹?どの作品か忘れました)、設定自体の目新しさはないように思います。

ただ、ありきたりな設定かもしれませんが、それを上手に調理して、非常にコミカルでテンポのよい、いわゆるラノベっぽい会話劇が仕上げられていました。また、二人の気持ちが近づいていく展開は、作者が『断罪のイクシード』で見せてくれた熱さが感じられました。

結果として、作者の持つ良さを生かした、良質のコメディになっていたように思います。既視感からは避けられない作品だと思いますが、それだけではないものも見ることが出来ました。

作品としては、いいところで2巻。続きが気になるようになっているのはいいのですが、一つ気になることも。それは、無駄な引き延ばしに入らないか、ということ。二人が鎖で繋がれていること。そして、ラストで判明した事実から、この作品は長いシリーズに向かないと思います。手錠を解除することで、普通のラブコメとして続けることもありますが、どうしても中だるみは避けられませんし、この作品の特徴が一つ失われることに不安も感じます。

正直なところ、この巻で終わるのが一番きれいな形であったと思いますが、まだまだ駆け出しの作者故、この判断は仕方ないことかと思います。ですが、引き延ばしたとしても3巻が限度だと思います。できるだけきれいな形で終わってくれることを望みたいところです。


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コメント 6

大林 森

おお!相変らずの見事なご感想!ものづくりって改めて大変なんだなと思います。(((((>_<;)))))ブルルルル!!いい厨二病って描こうと思うと結構大変でした!作者さんのテンションなんかもすごく大事なんですよね・・・。私はエロですががんばります・・・。(つд`)
by 大林 森 (2012-05-24 01:37) 

takao

大林 森さん、コメントありがとうございます。

お褒めいただき、大変恐縮です(*'-')
私、物作りをする立場ではなく、一方的に消費する立場の人間ですので、偉そうに感想書くと恐縮してしまうのですが。
作品は、自分の内面を描くものだ、と聞いたことがありますが、厨二病を描こうとすると、その心構えで書かないといけないのですね。
大変そうです。

きっと何者にもなれない私からすると、クリエイターはすべからく尊敬する立場です。
応援してますので、頑張って下さい!
by takao (2012-05-24 22:28) 

bapio

11111niceはバピたんがいただいた!!!

またまこしぃと九州オフ会ができたらいいなと話しておりました。
その時は是非takao姉様もご参加くださいませ。
8月の奈々様ライブに行かれるのでしたっけ?
私は参加しませんが、行かれるのならば奈々様の太ももを堪能してきてくださいませ!
やっぱりライブはいいですよ~!

お忙しそうですが、体にお気をつけて!
またカラオケ行きましょう!
by bapio (2012-05-25 10:52) 

takao

bapioさんに、……あげちゃったw
コメントありがとうございます。

急襲、もとい九州オフ会再びですかぁ。
日程が合えば、是非とも参加したい限りです。
ま、無理にでも休みますけどもw

奈々様ライブは行きたいですが、チケットがとれるかですね。
死ぬ気で取りたいところですが、いかんせんくじ運が悪いのが気になるところ。
ライブ行きたいと思いつつ、ここ10年くらい行けてないので、是非とも参加したいところです。

さほど忙しくはないですが、朝早いのがきついですね。
睡眠時時間が少なければいいのに、と思う日々です。
今度は一緒に『ふわっふわのまほう』(シャイニング・ハーツ 幸せのパン』ED)を歌いましょうぜw

それではbapio姫、ご機嫌よう(’-’*) フフ
by takao (2012-05-25 23:28) 

ロック

>今度は一緒に『ふわっふわのまほう』
オレモー!
だから、東京に来てね

by ロック (2012-06-03 14:32) 

takao

ロックさん、コメントありがとうございます。

絶対に行きますよー!
数年内にはw

by takao (2012-06-03 15:45) 

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