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『カンピオーネ! Ⅻ かりそめの聖夜』/丈月城 [集英社]

(あらすじ)

7月よりTVアニメ放送開始!
エリカや祐理は護堂の仲間ではない…!?
クリスマスも近づく時期、草薙護堂は心労を重ねていた。
七人目の魔王である護堂を監視するために派遣されてきたイタリアの魔術師・エリカやリリアナからの視線は厳しく、日本の正史編纂委員会からの遣い、媛巫女・祐理は護堂を恐れている。
もう慣れてはしまったが、ギスギスとした雰囲気に居心地悪くも思うため、護堂は彼女たちとの関係を改善しようと思うのだが…。
なぜか護堂には「今」のこの状況ににぬぐえない違和感があって…?
TVアニメ放送開始を7月にひかえ、さらに大注目の新神話第12弾!
神殺しに仲間はいない…!?(集英社 スーパーダッシュ文庫 ウェブページより)

カンピオーネ! 12 かりそめの聖夜 (カンピオーネ! シリーズ)

カンピオーネ! 12 かりそめの聖夜 (カンピオーネ! シリーズ)

  • 作者: 丈月 城
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/05/25
  • メディア: 文庫

感想は追記にて。

(感想)

2012年夏のアニメ放送開始に向けてリリースされた新作。なのですが、この巻は何だか小休止、といった感じでした。

というのも、この物語で描かれたのは、「仲間との絆」(サブテーマとして、リリアナをちょっとメインに)だったと思います。エリカ、祐理、リリアナ。いつも護堂の近くに居続け、護堂を助け、守り守られ絆を作ってきた「仲間達」。これが、この物語が始まった時、名前を知っているけれども、という状態から始まります。おそらく、シリーズの読者は、「あれ?確か前はランスロットと決着つけて、いよいよ最強の鋼の話になりそうだったのにな?あと、アテナは?」という感じで、面食らうのではないかと思います

これが、この物語のキーとなるポイントだったと思います。敵の企みによって、絆や思い出を失ってしまった4人。その4人が如何にしてそれらを取り戻していくか。今まで積み重ねてきたものが試される展開となっており、ファンとしては感慨深い内容になっていたと思います。

反面、バトルについては不満が残る内容でした。カンピオーネ!の醍醐味の一つは、護堂が10の権能を操りつつ、強大な力を持つ「まつろわぬ神」と繰り広げるバトル。もうひとつが、強大な力と強大な力がぶつかり合う中で、護堂が相手の神の素性をつまびらかされていく事実から感じられる、神話的な広がりとその魅力だと思います。ギリシャ神話のみならず、北欧神話、東洋の伝承、エジプト神話など、さまざまな神話の神の共通性を見出すことで(それが嘘か本当かわかりませんが)非常に魅力的に映ります。

ところが、今回の敵は、これまで戦ってきた敵からしたら、何枚か格が落ちる感じでした。これは、これまで戦ってきた「まつろわぬ神」にせよ、ほかのカンピオーネにせよ、メジャーすぎるものばかりだったことが大きく影響しているでしょうが。主人公の持つ権能が「ウルスラグナ」という、ちょっと聞きなれない神のものなのに対して。

しかも、一番の見せ所であるはずの、「戦士」の力の発現部分。正直、「なんじゃそりゃ」というような内容でした。そして、あっけなく決着。何だか消化不良だなぁ、という印象でした。

ということで、何とも中途半端な印象。10巻までの怒濤の展開だったので(11巻は、前日譚なので除外)、なおさら肩すかしを食らった印象がしました。

ということで、何とも微妙な感じの12巻でした。次の巻が夏発売ということで、いつもより早く出そうなのが(通常、4ヶ月ペース)救いでしょうか。この巻ではいったん放置される形になった「最強の鋼」ですが。断章からして、次か、そのまた次に登場しそうな予感です(この辺、アテナとの兼ね合いがありそうです)。全てのカンピオーネを抹殺するといわれる敵を前にして、一体どのような戦いが繰り広げられるのか。その力を示すために、ヴォバン侯爵あたりがあっけなく殺されてしまいそうですが、一体どうなるか。未だ未登場のカンピオーネがどのように登場するのか。護堂のハーレムはさらに広がるのか、と気になるところはたくさんです。

余談。

アニメですが。おそらくアニメ化されると思っていましたし、ちょっと期待していたこともあるので、個人的には期待したいところなのですが、今までのスーパーダッシュ文庫原作アニメの末路を考えると、激しく不安になる次第です。現状、成功としてあげられそうなのが、『ベン・トー』くらい。『アキカン!』や『迷い猫オーバーラン!』みたいにクソアニメとして印象に残るなら、『よくわからない現代魔法』や『戦う司書』みたいに空気と化して記憶に残らないよりマシかな?とすら思ってしまうような現状。

神話的部分は売りになると思うのですが、エロの部分をどう描くか。ファンとしては、高評価を得られることを願いつつ、アニメを待ちたいです。

そして、ここまで書いてからググった結果、そういや『ドラゴンクライシス!』なんてアニメがあったなぁ、と思い出す始末orz

 

(既刊リンク)

カンピオーネ!神はまつろわず/丈月城

カンピオーネ!Ⅱ 魔王来臨/丈月城

草薙護堂は如何にしてカンピオーネに至ったのか 『カンピオーネⅢ はじまりの物語』

リリアナ可愛いよリリアナ 『カンピオーネ! Ⅳ 英雄と王』/丈月城 

 

『カンピオーネ!Ⅶ 斉天大聖』/丈月城

『カンピオーネ!Ⅷ 受難の魔王たち』/丈月城

『カンピオーネ! Ⅸ 女神再び』/丈月城


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コメント 6

大林 森

おおお、アニメ化!\(◎o◎)/!すごいですね!!最近のラノベのアニメ化は沢山あるんですけど、お伺いしてるとまるで博打ですねえ・・・。戦う●●・・・・。応援してたんですが・・・。(>_<)
by 大林 森 (2012-05-29 03:28) 

takao

大林 森さん、コメントありがとうございます。

確かに、最近のラノベのアニメ化作品は非常に多いのですが、反面大当たりと呼べる作品は非常に少ないように思います。
業界最大手の電撃ですら、成功と言えるアニメ化作品はそれほど多くないような気がします。
それに反して、『ムシウタ』のような、原作ファンから「アニメなんてなかった」と言われるようなものは多いような気がします。
『IS〈インフィニット・ストラトス〉』のように、原作がちょっと難ありなのに、アニメで大ヒットした、というものもあるので、まさにばくちだと思います。
『戦う司書』は、ANIMAXが中心となって制作して、当初アニマックス、バンダイチャンネル、BS11で放送。
後日、東京MXで放送された作品なので、アンテナ立ててないと気づかなかったかもしれません。
by takao (2012-05-29 20:41) 

ロック

アニメ化しても、その作品自体を好きなスタッフが作るとも
限らないし、そうなると拘りも明後日の方へ行くかもしれないし、所詮仕事でやってるだけになってしまうと厳しいですよね。

by ロック (2012-06-03 14:30) 

takao

ロックさん、コメントありがとうございます。

仕事でやるにしても、プロフェッショナルとして面白いものを作ってくれたらいいんですけどね。
オリジナル要素入れて失敗したりすることが多いような気がします(^^ゞ
とりあえず、不安半分期待半分で待ちたいです。
by takao (2012-06-03 15:42) 

亀

アニメ先行放送見ました。
いつのもSDアニメでした。
原作既読はキレルレベルでした。
なんでこうなった.......orz
by 亀 (2012-06-29 09:52) 

takao

亀さん、コメントありがとうございます。

なるほど。
SD特有?の低予算。それによる作画クオリティ。
そして、精霊会議、「あのね」エンドで知られるクラッシャーの花田十輝大先生の脚本、と言うところですかね。
シリーズ構成見た瞬間、諦めたのですが、本当にそうなりそうとは。
とりあえず、数話見ないと判断できませんので、心穏やかに見たいと思います。

監督の手腕に期待したいところです。
by takao (2012-06-29 22:21) 

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