『聖剣の刀鍛冶 7』(漫画版)/山田孝太郎 [マンガ]
原作を大胆に再構成。どうも、クライマックスの原作に合わせているようです。これまで、原作の流れに合わせていただけに、少しびっくりですが、よい再構成だったと思います。
細かい感想は、追記にて。
この漫画版7巻は、原作5巻から10巻途中までの展開を描いています。個人的には、独立交易都市で繰り広げられた激戦が見たかったなぁ、と言う思いがあるので、若干残念です。とはいえ、再構成が巧みにされていたので、漫画版も十分に楽しむことができ、満足できました。
再構成で一番割を喰らったのは、敵側のキャラでしょうか。
そういえば、前の巻でイライザ・イヴァが出なかったので、この巻初登場ですね。このキャラ、少し複雑なので説明がないとあれですが。まぁ、原作でも最近目立ってないですし、マンガでは活躍しないのかもしれません。と言うか、ホレーショーにせよヴェロニカにせよノアにせよ、背負っているものがあるキャラですが、マンガだとそこまで描けないのは少し残念かもしれません。
現実を知って、気弱になるセシリー。いつもは強さを見せ英雄のように扱われる彼女ですが、人間です。ただ、このように弱さを見せられる人が居る、というのは彼女にとっては幸せなことだったのかもしれません。
アリアは、セシリーとの出会いによって随分凛々しくなったような気がします。本当に、相棒と呼べる人間に会えたこと自体、魔剣として生まれた彼女にとっては幸せだったのだと思います。しかし、この後彼女は……。
そして、7巻の見所は、ルークのセシリーに対するあふれる思いです。
二人の重ねて来た日々。ルークにとってセシリーが大切なものとなるには十分すぎたのですね。振り返られる思い出が印象的です。
ついに言ってしまった、という感じでしょうか。
聖剣の鞘としての役割を知ってしまい怯える彼女を、優しく包み込むルーク。男ですね。ラノベ主人公というと、こう言う場面でもへタレてしまうのが多いので、素直にかっこいいと思えました。
ルークのセシリーに対する思い。こんなに好きなのに、こんなに求めているのに。彼の置かれた状況を理解しているからこそ、セシリーに思いを伝えることができない、と言う苦しみがあふれていました。大切に思うからこそ、幸せになって欲しいからこそ、自分は身をひこうという思い。分かってしまうので、ちょっと胸が苦しくなってしまいました。
そして、ルークの目の前に現れたもの。いよいよ聖剣の謎が明らかになるときが来たようです。
読み終わって。多少の駆け足感は否めないと思います。しかし、まとめ方はとても素晴らしい、と言わざるを得ません。結果、原作の面白さを損なうことはなかったように思います。
まだマンガは暫く続き、さらに漫画版はクライマックスに比重を置くことにした、ということで、最後まで描かれるのではないか、という期待が出てきました。最上位と言ってもいいほど見事なコミカライズなので、この展開は非常に嬉しく思います。原作とどのように変わっていくのか。原作のあのシーンは再現されるのか。非常に楽しみです。
コミカライズって本当に難しいと思うんですが、最近は本当にレベル高いですよね!(・´з`・)うらやましいー!妬ましい!(・谷・)!さすがです。綺麗にエンディングを迎えられますように!
by 大林 森 (2012-08-29 00:55)
大林森さん、コメントありがとうございます。
ちょっと前まではコミカライズは経験の浅い人が取り組むもので、結構酷いものがおおい、と言うイメージがありました。
ただ、最近は電撃文庫など、多くのコミカライズを行うスクウェア・エニックスや、自社レーベルのコミカライズに積極的なMFが現れて、レベルがかなり上がっているように感じています。
編集部の経験値が高まっているのか。
マンガ家のレベルが上がっているのか。
同じマンガ家ならではの感想ですねw
後は、結婚と最終決戦が大きな見所になりそうです。
今までも素晴らしかったので、これからも期待したいです。
by takao (2012-08-29 19:06)