『AURA 〜魔竜院光牙最後の戦い〜』/田中ロミオ [小学館]
(あらすじ)
(感想)
この作品、もう4年前の作品になるのですね。劇場版アニメの公開が決定し、コミカライズも連載中。ついでに言うと、2012年秋開始の某アニメとの類似点で注目が集まっている作品の原作を、ようやく読み終わることができました。私が読んだのは、Reader Storeで配信されていた電子書籍版です。
元々この作品は発売日に購入していたのですが、なかなか手をつけないでいました。しかし、評判は聞いていたのでいつかは読もうと思っていました。さらに、『灼熱の小早川さん』を読んだとき、読書メーターの感想で『AURA』と比較したものが多く、気になっていました。そんな事があったので、読む意欲が高まっていました。
実際に読み終えてみると、大きなエネルギーを持った作品だと感じました。どこかしら、胸を掻きむしられるような。胸を掻き立てるような展開。それでいて、ラストは圧倒的に爽やか。なるほど、これは確かに面白いし、評判になると感じました。
『灼熱の小早川さん』との比較に関して言えば、同じ作者、くらいではないかなぁ、と感じました。ただ、同じ作者だけあってか、展開は同じですね。『AURA』の方が面白い、凄い、という意見をたくさん見ていましたが、単純比較できないものだと思いました。痛々しさはこちらの方が上かもしれませんが。
構成が非常にうまいことを強く感じました。途中、中二病患者のドリームソルジャーたちが虐げられていく展開。そしてそれが爆発する展開。主人公の黒歴史が暴かれていく展開。非常にストレスがたまるような展開でした。一敗地にまみれる、というべき展開でしょうか。しかし、そこからの逆転劇は鮮やか。それまでのストレスがあるからこそ、爽快感が増していたように思います。ラストに関しては、美しいとすら感じてしまいました。なにより、ラストシーンの良子が可愛い!多少強引なところも、ラストの苦笑してしまいそうな馬鹿騒ぎも、これで全部おつりが来るか、と思ってしまいました。
ラノベ好き、アニメ好きなら誰でも一度は経験しそうな中二病的妄想。それをこじらせてしまった主人公と、そこから未だ帰ってこれないヒロインが織りなすラブコメだからこそ、強く読者を惹き付けるのでしょうね。主人公がそうしようとする理由が納得できるし、中二病をこじらせたヒロインは困ったちゃんだけど、でも可愛いと思えてしまう。しかし、世界と折り合いをつけなくてはいけないわけで。そこが目を離せませんでした。
読書メーターの読者数を見たら、凄いことになってびっくりしたわけですが、読者数が多いことも納得できる、非常に面白い作品でした。4年前の作品ですが、全く古さを感じさせることはありませんでした(姉歯などのネタのチョイスに懐かしさを感じることはあっても)。これは、何度となく読み返したくなるような、それほどの魅力を持った作品でした。
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