『聖剣の刀鍛冶 #15.Sacred Knight』/三浦勇雄 [メディアファクトリー]
(あらすじ)
神を殺せ――。気高き聖剣!
王と、獣と、機械機構と、神とも呼ばれた“それ”――。過去、初代ハウスマンが実験台と呼び、いま、帝政列集国が魔王と呼ぶ、大陸の心臓“ヴァルバニル”が、遂に火山の頂に威容を表す。高濃度の霊体を吐く一撃で新たな“爪痕”を穿ち、触手で敵味方なく戦士たちを奈落に引きずり込む巨竜に為す術のないセシリーたち。一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦”をはじめようとしていた――。焔がすさび灼熱の炉と化す戦場の真ん中で、聖剣の騎士が真正面から立ち向かう!!壮大なファンタジー叙事最新巻、遂に決!着! (メディアファクトリーウェブページより)
感想は追記にて(感想)
5年以上にわたって続いてきた本作もいよいよ完結です。思えば、私がこの作品に出会ったのは、アニメ化がきっかけでした。アニメに関しては、ラストがお察し状態で残念でしたが、原作の方は少年マンガを連想させるような熱さをもって走り抜けていった、という印象でした。本当に良いシリーズだったと思います。
さて、いよいよ完結となる15巻。聖剣としての銘を思い出せぬまま力を解放してしまったために、使い手であるセシリーを傷つけてしまったアリア。アリアの暴走で満身創痍となるセシリー。ヴァルバニルの肉を食った代償に苦しむルーク。不意打ちによって倒れた大陸最強の男ハンニバル。それに対してシーグフリード側は遂にヴァルバニルの封印を解くことに成功。圧倒的な不利な状況で、一体どうやって逆転していくか、という所がポイントだったと思います。
シリーズの集大成という展開と言うべきか、目立つのはとにかくぼろぼろになりながらも敵に挑んでいくセシリーとルークの姿。ここまで傷つかずに勝利を収めてきたことがなかったですが、最強の敵を目の前にして、その傷は過去最高に達した、といえたのではないでしょうか。この戦いが終われば、と腕の一本程度は犠牲にする覚悟で挑むその姿は、英雄とも言える姿ではなかったか、と思います。
そして、この巻の注目点はアリアが如何にして自分の銘に気づくか、というところだったと思いますが。非常に良い展開が待っていました。
「眠りを解け。真実を貫け。風をセシリー(貴女)に。ーー神を殺せ」(P.157)
聖剣として、セシリーの手の中で戦いたいと自覚した彼女が最初に聖剣の姿に戻るときの言葉。セシリーと聖剣アリアの心が初めて強く結びついたように感じて、思わず震えてしまいました。
ただ、それに対して敵側の展開に関してはちょっと消化不良な感じがしました。シーグフリード対ルークの決着についたことは満足ですし、ヴァルバニルを封印するのがセシリーと聖剣アリアの手によるものだったことは納得なのですが。ただ、それまでの展開が。この巻ですべての決着をつけるため、という観点で見るとこの展開になるのは納得できるのですが。ただ、イマイチ完全燃焼!というところまでいたらなかったのは否めなかったと思います。シーグフリードの結末に関しては、魔王信長を不意打ちであっさりやってしまった某電撃文庫作品を思い出してしまいました。
それを挽回したのがエピローグ。そのラストシーンだったと思います。長い眠りから目覚めたときにあったのは、セシリーとルークではなかったかもしれません。しかし、その思いを引き継いだ2人が居て、そしてそこには変わらぬものがあった。それが何よりも感慨深く、思わず涙が流れていました。終わりよければすべてよし、ではないですが、このラストシーンを見せられては途中の展開もすべて許せる、と思ってしまいました。
願わくば、セシリーとルークのその後をもう少し楽しみたかったな、というのがあるのですが。隕鉄を求めるセシリーとルーク。そしてリサの旅にはきっとまたたくさんの冒険が待っていたと思いますし。何より、ここまで苦しんできたセシリーとルークの幸せな姿を楽しみたい、という気持ちがあります。ただ、いつも思うことですが、それはここまで読んできた読者それぞれの頭の中で紡がれる物語なのかな、と思います。2人の旅が幸せであったことを願いながら、本作を読み終えました。
もう少し評価が高まっても良いシリーズだと思うのですが。戦う女性のシリーズとしてはかなりおすすめできる作品だと思います。熱血展開が好きな方には是非とも読んで欲しいシリーズです。本当に面白いシリーズをありがとうございました。次回作も期待して待ちたいと思います。
神を殺せ――。気高き聖剣!
王と、獣と、機械機構と、神とも呼ばれた“それ”――。過去、初代ハウスマンが実験台と呼び、いま、帝政列集国が魔王と呼ぶ、大陸の心臓“ヴァルバニル”が、遂に火山の頂に威容を表す。高濃度の霊体を吐く一撃で新たな“爪痕”を穿ち、触手で敵味方なく戦士たちを奈落に引きずり込む巨竜に為す術のないセシリーたち。一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦”をはじめようとしていた――。焔がすさび灼熱の炉と化す戦場の真ん中で、聖剣の騎士が真正面から立ち向かう!!壮大なファンタジー叙事最新巻、遂に決!着! (メディアファクトリーウェブページより)
感想は追記にて(感想)
5年以上にわたって続いてきた本作もいよいよ完結です。思えば、私がこの作品に出会ったのは、アニメ化がきっかけでした。アニメに関しては、ラストがお察し状態で残念でしたが、原作の方は少年マンガを連想させるような熱さをもって走り抜けていった、という印象でした。本当に良いシリーズだったと思います。
さて、いよいよ完結となる15巻。聖剣としての銘を思い出せぬまま力を解放してしまったために、使い手であるセシリーを傷つけてしまったアリア。アリアの暴走で満身創痍となるセシリー。ヴァルバニルの肉を食った代償に苦しむルーク。不意打ちによって倒れた大陸最強の男ハンニバル。それに対してシーグフリード側は遂にヴァルバニルの封印を解くことに成功。圧倒的な不利な状況で、一体どうやって逆転していくか、という所がポイントだったと思います。
シリーズの集大成という展開と言うべきか、目立つのはとにかくぼろぼろになりながらも敵に挑んでいくセシリーとルークの姿。ここまで傷つかずに勝利を収めてきたことがなかったですが、最強の敵を目の前にして、その傷は過去最高に達した、といえたのではないでしょうか。この戦いが終われば、と腕の一本程度は犠牲にする覚悟で挑むその姿は、英雄とも言える姿ではなかったか、と思います。
そして、この巻の注目点はアリアが如何にして自分の銘に気づくか、というところだったと思いますが。非常に良い展開が待っていました。
「眠りを解け。真実を貫け。風をセシリー(貴女)に。ーー神を殺せ」(P.157)
聖剣として、セシリーの手の中で戦いたいと自覚した彼女が最初に聖剣の姿に戻るときの言葉。セシリーと聖剣アリアの心が初めて強く結びついたように感じて、思わず震えてしまいました。
ただ、それに対して敵側の展開に関してはちょっと消化不良な感じがしました。シーグフリード対ルークの決着についたことは満足ですし、ヴァルバニルを封印するのがセシリーと聖剣アリアの手によるものだったことは納得なのですが。ただ、それまでの展開が。この巻ですべての決着をつけるため、という観点で見るとこの展開になるのは納得できるのですが。ただ、イマイチ完全燃焼!というところまでいたらなかったのは否めなかったと思います。シーグフリードの結末に関しては、魔王信長を不意打ちであっさりやってしまった某電撃文庫作品を思い出してしまいました。
それを挽回したのがエピローグ。そのラストシーンだったと思います。長い眠りから目覚めたときにあったのは、セシリーとルークではなかったかもしれません。しかし、その思いを引き継いだ2人が居て、そしてそこには変わらぬものがあった。それが何よりも感慨深く、思わず涙が流れていました。終わりよければすべてよし、ではないですが、このラストシーンを見せられては途中の展開もすべて許せる、と思ってしまいました。
願わくば、セシリーとルークのその後をもう少し楽しみたかったな、というのがあるのですが。隕鉄を求めるセシリーとルーク。そしてリサの旅にはきっとまたたくさんの冒険が待っていたと思いますし。何より、ここまで苦しんできたセシリーとルークの幸せな姿を楽しみたい、という気持ちがあります。ただ、いつも思うことですが、それはここまで読んできた読者それぞれの頭の中で紡がれる物語なのかな、と思います。2人の旅が幸せであったことを願いながら、本作を読み終えました。
もう少し評価が高まっても良いシリーズだと思うのですが。戦う女性のシリーズとしてはかなりおすすめできる作品だと思います。熱血展開が好きな方には是非とも読んで欲しいシリーズです。本当に面白いシリーズをありがとうございました。次回作も期待して待ちたいと思います。
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