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『生徒会探偵キリカ 4』/杉井光 [講談社]

<あらすじ>
ふふ、ひかげさんのそれ、待ってました。
どきどきしちゃいます

生徒数8000人の超巨大学園に秋がやってくる。食欲の秋、読書の秋、そしてスポーツの秋!二学期最初のビッグイベント・体育祭を控え、生徒会は臨戦態勢に入っていた。
もちろん白樹台の体育祭はただの運動会じゃない。運営権と予算枠3000万円を
賭けた、体育科とのガチンコバトルだったのである!強大な敵を前に、普段は反目しあう会長と朱鷺子さんと郁乃さんも一致団結。キリカも莫大な予算額にいつになくやる気満々。そして僕らの前に立ちはだかる体育科のリーダーは……魔王陛下?
いつもより多めの肌色に青春の汗と涙がまぶしく光るハイテンション学園ラブコメ・ミステリ、第4弾! (講談社ラノベ文庫 ウェブページより)




生徒会探偵キリカ4 (講談社ラノベ文庫)

生徒会探偵キリカ4 (講談社ラノベ文庫)

  • 作者: 杉井 光
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/06/07
  • メディア: 文庫



感想は追記にて
<感想>

最近になって今更のように好きになってきた杉井光さんの新作になります。一時期は凄いペースでラノベをリリースしていたイメージが合ったのですが、今年になってからは『楽聖少女 3』(電撃文庫)とこの『生徒会探偵キリカ 4』の2冊発売。来月7月には集英社からソフトカバーの本が発売されるようで、一般文芸にいよいよ移行するのかなぁ、という感じもしてきました。とは言っても、集英社から出る本もタイトルが『神曲プロデューサー』となっていますし(Amazon情報)、どのようなスタンスになるのか気になるところです。

そんな中発売された『生徒会探偵キリカ』。電撃文庫の『楽聖少女』集英社からの『神曲プロデューサー』は音楽をテーマにしている作品なのに対して、こちらは学園をモチーフにした作品です。

この巻の見所は、ひとえに「初めて登場した、生徒会長にまともに対抗しうるキャラクターの登場」というところだと思います。完璧超人に近い生徒会長。この作品の主人公である牧村日影と会長の一騎打ちに注目が集まってきた最新巻で、その会長と比肩するようなキャラクターの登場は、なかなか意外な展開でした。

そのキャラクターの設定もなかなか面白い。滝沢瑠威那(るいな)という名前。眼帯で右目を隠し自らを魔王と名乗る正真正銘の中二病。そのくせに、奨学生で真面目に勉強していて、自分が勝てるようにルールを恣意的に設定することを得意とする会長の策を鋭く見抜く力を持っている。ライトノベルに定番のキャラ設定ですが、実に見事なキャラクターとして機能していたと思います。

この巻は、一般生対体育科学生による体育祭の行方が描かれました。その4巻の一番の見所。それは、彼による選手宣誓だと私は思いました。中二病の彼の口から紡がれる言葉は、あくまでも中二病の言葉。しかし、約3ページにわたって繰り広げられた彼の宣誓に、いつの間にか目を釘付けにされ、心振るわせ、熱くなっている自分がいました。日影の目線で

ルイさんの声は、張り上げているわけでも朗々と響かせているわけでもないのに、胸に深々と刺さってくる。(P.148)

と語られる選手宣誓ですが、私もその現場にいる一生徒となって言葉を聞いているような感覚に陥ってしまいました。基本的にギャグテイストを保ちつつ、決めるべきところでかっこよく決める。これが杉井光という作家の強さなのだろう、と感じた次第でした。

ただ、この強力な個性を持つ魔王様の登場で一番割を食ったのは、主人公である日影だったのは作品的に難しいところかもしれません。そもそも、日影はツッコミスキルと生徒会詐欺師と呼ばれる詐術が見せ所であとは割と平凡なキャラだったのが災いしました。また、体育祭での会長VS魔王が作品の中心となってしまったのも痛かったです。

体育大会の結末については、個人的には凄く詐欺的で、作品の本質としては大正解だと思うのですが、何となく不満も感じてしまいました。ここまで熱い戦いが繰り広げられて、結末がこれか、という感じで。

とはいえ、それまでの展開。それに何より魔王による熱い選手宣誓で大満足の内容でした。生徒会長VS日影の生徒会長選挙、という見所にさらに新しいポイントがこの巻で追加されたことで、今後の楽しみも増えました。
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