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『魔女は世界に嫌われる』/小木君人 [小学館]

(あらすじ)

少年と魔女の娘の世界を敵に回した孤独な旅

鍛冶職人の父親と幼い妹との3人で暮らす少年ネロの平穏な日々は、国王軍の襲撃により唐突に終わりを告げる。妹を連れて森へと逃げ込んだネロは、とある古 城へたどり着く。そこで彼は、病の床に伏した魔女と、その娘・アーシェと出会った……。世界に忌み嫌われる魔女と、ネロとの間で交わされた約束。それは死 んだ妹を生き返らせてもらうことを交換条件に、魔女の娘を安全な地へと護送することだった。魔女に恨みを持つ人々や魔獣、さらには魔女を捕まえようとする 軍隊までも敵に回し、少年は魔女の娘と、寄る辺なき危険な旅に出る。(ガガガ文庫ウェブページより)

紙の方

魔女は世界に嫌われる (ガガガ文庫)

魔女は世界に嫌われる (ガガガ文庫)

  • 作者: 小木 君人
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/06/18
  • メディア: 文庫

 

Kindle版 

ガガガ文庫 魔女は世界に嫌われる(イラスト完全版)

ガガガ文庫 魔女は世界に嫌われる(イラスト完全版)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/06/23
  • メディア: Kindle版

感想は追記にて

 

(感想)

私の大好きな作家の一人、小木君人さんの新作が発売になりました。あとがきによると、前作の『森の魔獣に花束を』の発売から1年2ヶ月が経つそうです。時間が経つことの早さを痛感する次第です。

私がこの作者の作品が好きな理由。それは、ひとえに「作品からあふれ出る優しさ」につきます。デビュー作の『その日彼は死なずにすむか?』、2作目の『夜が来るまで待って』、前作の『森の魔獣に花束を』。この3作に共通する部分は、「優しさ」です。現在のライトノベルの傾向としては「俺Tueeee」だったり、学園ラブコメだったり、ハーレムものだったりです。ギャグテイスト、シリアスと色々な味付けがあります。そんな中、この作者の作品はひたすら「心が温かくなるような優しい作品」にこだわっているように思います。児童文学であってもおかしくないような雰囲気の作品を出し続けてきています。作中に、「それでもやはり、できないかもしれないことを“できる”とは言えなかった。それはネロの性格だ」という表現がありましたが、この言葉が、作者の作風を示すものであり、この作品の雰囲気を表す言葉であったように感じました。

そして今作。この作品も基本的に作者の持ち味を生かしたような「優しい作品」になっていました。読者としては、期待通り、と言ったところでしょうか。

前作もそうなのですが、根本にあるキーワードは「ボーイミーツガール」。その主人公は「心の優しい男の子」であって、出会うヒロインは「世界から拒絶される女の子(魔獣)」の組み合わせ。今作では、「魔女は世界に嫌われる」とはっきりとタイトルに出していますね。前作との類似点を挙げると、二人が出会うのが森である、というのもありますね。

本作は「ボーイミーツガール」でありますが、もう一つキーワードを挙げるとすれば「ICOの世界観」だと感じました。城で出会う少年と少女。二人を追う敵。二人は目的のために旅に出る。元々「ICO」自体がどこか優しい感じのするゲームでしたので、作者の描いた優しい作品と印象が重なったのかも知れません。しかし、この組み合わせはベストマッチであるように思いました。

父を殺され、妹も失ってしまった主人公・ネロ。魔女の娘の魔法は、その妹の命を戻すことができるかも知れない。しかし、そのためには魔女の娘・アーシェをかつて魔導帝国の首都があったところに行き、儀式を行わなければならない。

妹を蘇らせるために主人公は旅に出る。魔女の娘であるアーシェと、二人で。しかし、そこには王の命により自分の命を狙う兵士たちの魔の手が待っている。読んでいて、否が応でも期待が高まってしまいました。二人の行く末はどうなるのか。目が話すことができず、ページをめくる手が止まりませんでした。

ただ、残念なところはこの巻ではまだ旅に出る前のところまでだったところでしょうか。巻数表記がなかったですし、前作も読み切り作品だったので、勝手にこの作品も読み切りだと思っていたら、どうやら続くようです。(とはいえ「たぶん出ると思うので」というあとがきの書き方が気になるところですが)ここから面白くなる。そう感じるところで終わってしまったのは、残念に思いました。

これからの展開に期待が高まる内容だっただけに、とにかく続きを期待したい作品です。おそらく、作者のよいところが引き出された、素晴らしい作品になるのではないかと思っています。それだけに、続きが早く読みたいと思う反面、丁寧に作って欲しいなぁと願いのでした。


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