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『絶深海のソラリス』/らきるち [メディアファクトリー]

 作品紹介 

紹介文にネタバレがあります。注意を。 

1巻 

――僕達はまだ、知らない。
 

《水使い》それは22世紀の人類が生み出した〝深海踏破の異能″――。山城ミナトは水使いの訓練生を指導する教官として、母校であるアカデミーに帰ってきた。そんな彼の教え子は二人。落ちこぼれでもマイペースな幼馴染の星野ナツカと、性格に難はあるが水使いとして至宝の才能を生まれ持つクロエ=ナイトレイ。時には反発を見せながらも前に進もうとする彼女たちを見て、ミナトは教官であることに楽しみを感じ始めていた。しかし、深海に沈む都市に〝S.O.S″が鳴り響いた時――平和だったミナトの日常は終わりを告げる。【深海】×【絶望】 戦慄の本格パニックノベルが登場。――この《結末》を、僕達はまだ、知らない。

 

文庫版 


絶深海のソラリス (MF文庫J)

絶深海のソラリス (MF文庫J)

  • 作者: らきるち
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2014/03/22
  • メディア: 文庫

 

Kindle版 


絶深海のソラリス<絶深海のソラリス> (MF文庫J)

絶深海のソラリス<絶深海のソラリス> (MF文庫J)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
  • メディア: Kindle版

 

  

2巻 

――忘れない。あの君の笑顔を。
 

《ランド・デイ》それは、上陸の日。そして、大海害と並ぶ人類史上最大の災悪が始まった日でもある。『大阪事件』以降その存在が明らかになった未知の危険深海生物アンダー。連邦海軍対アンダー専門の特殊部隊《CHAF》に所属するシャロン=ナイトレイは、深い海の底で死の危機に瀕していた。しかし、その時不意に声が聴こえる――「“最愛の妹”の死の真相を知りたくはないか?」と。シャロンを助けた謎の人物はさらに彼女に告げる。我々の任務は「“切り札”山城ミナトを確保すること」だと。【深海】×【絶望】戦慄の本格パニックノベル待望の第2巻。「クロエが悲しむって、本当よ……ああ見えて、あの子とても心配性だから」 

 

文庫版


絶深海のソラリスII (MF文庫J)

絶深海のソラリスII (MF文庫J)

  • 作者: らきるち
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2015/03/24
  • メディア: 文庫

  

Kindle版


絶深海のソラリス II<絶深海のソラリス> (MF文庫J)

絶深海のソラリス II<絶深海のソラリス> (MF文庫J)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
  • メディア: Kindle版

  

感想は追記にて。

 はじめに 

『このライトノベルがすごい!2015』第6位だったこの作品(これもひとえに協力者票第2位の効果でしょう)。絶望感がいいと聞き、早速読んでみました。 

さて、絶深海という言葉。「絶」という言葉には、「かけはなれる」「中央から遠い」などの意味があり、きわめて深い深海という意味だと思われます。また、「たえる」と読むことで「切れる」「とぎれる」「滅びる」「死ぬ」という意味があり、この作品の内容を暗示しているようです。

 

 深海という場所 

深海という場所。そこは、人間が到達し得ない場所というイメージがあります。それ故に、何があるか分からない。この世の中に人間の脅威となるものが現れるとするなら、そこは深海からではないでしょうか。ラノベのパニックホラーというと、最近読んだので『俺が生きる意味』がありますが、あちらは異能による異世界が舞台。それに対して本作は、都市が海に沈んでしまった近未来に現れた水使いという新たな人類の可能性、と異能の設定はあるものの、舞台は深海。あえてそこを舞台に選んだのは、なかなかいい着眼点ではないでしょうか。 

深海から現れた驚異、という作品では、有川浩さんの『海の底』があります。人間が到達できない現実の場所だからこそ生まれるリアリティがあるからこそ、深海には物語をうむ余地があるのでしょう。

 

 絶望からのカタルシス 

はっきり言っておきますが、この作品では人がたくさん死にます。しかも、生き返りません(当たり前ですが)。『このライトノベルがすごい!2015』のコメントでは、「こちらの心を何度もへし折ってきた」なんてのがありますが、こちらの抱く希望をことごとく打ち砕くかのように殺してくれます。前半は、普通のライトノベル的な学園ラブコメのノリで、「あぁ、このキャラ可愛いなぁ」なんて思わせておいて、酷い仕打ちをしてくれます。

ただ、この「キャラを殺す」というのは物語を盛り上げる一定の効果は望めます。これをうまく盛り上がりに柄覆うとしてか、『魔法少女まどか☆マギカ』あたりから、人が死ぬことが増えているように感じています(ググったら、第3話の悲劇なんて言葉が引っかかりました)。ライトノベルでも、前述の『俺が生きる意味』はそれを売りにしている部分があります。

ただ、『俺が生きる意味』なんか顕著なのですが、キャラを殺すと言うのは、少量だけなら非常に効果的なんですけども、使いすぎると効果が薄れてしまい、慣れてしまいます。私の大学時代、社会学のある先生が「弘○憲史は『島○作で展開に困ると人を殺しがち」なんて言っていたのを思い出しますが、使いすぎると「はいはい」となってしまいます。

キャラを殺す+別の要素で作品を生かすこともできます。それをうまく使ったので言うと、『僕らは魔法少女の中』を思い出します。

2巻を読んでいるときは、そちらの展開が頭の中にちらついていました。その展開でもいいかな、と思っていた部分もありますが、この作品はその思い込みを生かして、うまく裏切ってくれました。正直、この展開は予想していなかっただけに、強いカタルシスを感じる事ができました。

 

 2巻まで一気に読んで欲しい作品 

この物語、2巻まで一気に読んで欲しい作品です。私は続けて読んだおかげで、強い爽快感を感じる事ができました。1巻から2巻まで発売が1年かかっていますが、今なら一気に読めます。文庫版を買う場合は、是非とも2冊一緒に買って読んでください。

ただ、前にも書いたように、キャラがかなり死にますので、それが嫌いな方は気をつけてください。 


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