『俺を好きなのはお前だけかよ』/駱駝 [アスキー・メディアワークス]
〈内容紹介〉
第22回電撃小説大賞<金賞>受賞作!
俺はパンジーこと三色院菫子が大っ嫌いだ。
なのに……俺を好きなのはお前だけかよ。
ここで質問。もし、気になる子からデートに誘われたらどうする? しかもお相手は一人じゃない。クール系美人・コスモス先輩と可愛い系幼馴染み・ひまわりという二大美少女!! 意気揚々と待ち合わせ場所に向かうよね。そして告げられた『想い』とは! ……親友との『恋愛相談』かぁハハハ。
……やめだ! やめやめ! 『鈍感系無害キャラ』という偽りの姿から、つい本来の俺に戻ったね。でもここで俺は腐ったりなんかしない。なぜなら、恋愛相談に真摯に向き合い二人の信頼を勝ち取れば、俺のことを好きになってくれるかもしれないからな! ん? 誰が小物感ハンパないって?
そんな俺の哀しい孤軍奮闘っぷりを、傍で見つめる少女がいた。パンジーこと三色院菫子。三つ編みメガネな陰気なヤツ。まぁなんというか、俺はコイツが嫌いです。だって俺にだけ超毒舌で、いつも俺を困らせて楽しんでいるからね。だから、コイツとは関わりたくないってわけ。
なのに……俺を好きなのはお前だけかよ。
文庫版
Kindle版
俺を好きなのはお前だけかよ<俺を好きなのはお前だけかよ> (電撃文庫)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2016/03/10
- メディア: Kindle版
感想は追記にて
〈感想〉
第22回電撃小説大賞<金賞>の本作。評判もよく、気になっていたのですが、ようやく電子版が出たので読了してみました。
読み始める前に、気になっていたことは一つありました。数年間電撃大賞受賞作に触れていなかった私ですが、数年前までの傾向であれば、表紙やあらすじの雰囲気からしてこちらが「大賞」、大賞受賞作の『ただ、それだけでよかったんです』が「金賞」というイメージでした。電撃の傾向が変わった、といえばそれまでかもしれませんが、では実際どんな作品なんだろう、ということを考えながら読みました。
結論としては、ライトノベルの定番のラブコメ作品ですが、ストレートのラブコメじゃなくて若干の変化球系のラブコメ、という印象でした。なにせ、主人公がヒロインのこと、大嫌いですからね。野球でたとえるなら、カットボールというか、黒田のボールからストライクゾーンに入ってくるフロントドアというか。野球に詳しくないかた、申し訳ないです。最終的なところを考えると、主人公が嫌いなヒロインが実は……なんてお約束なところに落ち着くところなんか、ますますその印象が強くなりました。
ただそれまでの過程で、天丼的な笑いを貪欲を取りに行ったり、全ての始まりが、というところがあったりとかなり笑わせてもらいました。前半と中盤以降の物語の印象の変化や、主人公があくまでも物語の主人公ということを意識しているような台詞回しなども、いいスパイスになっていたのではないでしょうか。ネタのチョイスが90年代後半から00年代前半あたりなのも、主に作者の年齢を想像する上で興味深かったです。とはいっても、有名どころのネタをチョイスしているのは良い感じです。
コミカルでありつつ、ちゃんと押さえるところは押さえている、非常によい作品でした。評判の良さも納得です。私は電子版待ちですが、2巻も楽しみにしたいです。
New comerで面白そうだったので、私も読みました。今時点で2も。
ちょっと変化球な構成も含めて、なかなか面白かったです。
ただ、変化球は何度も使うわけにもいかないので、続刊でどうするのだろう、とは思いました。
実際、2は変化球ぶりがちょっと甘いというか。そのあたりが今後どうなるか、そのあたりがうまく乗り越えられたらさらに面白いでしょうね。
by cherryh (2016-06-05 21:05)
cherryhさん、コメントありがとうございます。
なかなか手厳しいw私なんかは2巻も結構満足したのですがw
ただ、確かにこれ以上の変化球は使えないだろうし、どうするんだろうな、という気はします。
普通のラブコメになるのか。いっそ気持ちよく3巻で終わるのか。
なにはともあれ、3巻も期待してる自分がいます。
by takao (2016-06-05 21:17)