『……なんでそんな、ばかなこと聞くの?』/鈴木大輔 [角川]
〈内容紹介〉
夏の奇跡。せつなくて泣ける恋と、ちょっぴりの魔法。
高校生、藤沢大和(ふじさわ・やまと)はある日――死んだ。
しかし、幼なじみの少女、青山凛虎(あおやま・りんこ)はこう告げる。
「わたしがちゃんと生き返らせる。死なせないよ『今度は』」と。
――これは『終わりの物語』だ。郡上踊りが終わるまでの間、死と生が入り混じるこの場所で、『なぜ死んでしまったかも忘れ』そこに存在している大和。そして、『ある秘密』を抱えながらも、大和を生き返らせようとする凛虎。不器用で、真っ直ぐで、凛としたひと夏が今――「終わる」。
雑誌『ダ・ヴィンチ』で好評を博した、恋愛小説の名手が紡ぐ、夏の奇跡の物語、待望の書籍化!(Amazonより)
高校生、藤沢大和(ふじさわ・やまと)はある日――死んだ。
しかし、幼なじみの少女、青山凛虎(あおやま・りんこ)はこう告げる。
「わたしがちゃんと生き返らせる。死なせないよ『今度は』」と。
――これは『終わりの物語』だ。郡上踊りが終わるまでの間、死と生が入り混じるこの場所で、『なぜ死んでしまったかも忘れ』そこに存在している大和。そして、『ある秘密』を抱えながらも、大和を生き返らせようとする凛虎。不器用で、真っ直ぐで、凛としたひと夏が今――「終わる」。
雑誌『ダ・ヴィンチ』で好評を博した、恋愛小説の名手が紡ぐ、夏の奇跡の物語、待望の書籍化!(Amazonより)
文庫版
Kindle版
……なんでそんな、ばかなこと聞くの? ……なんでそんなばかなこと聞くの (角川文庫)
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2017/09/25
- メディア: Kindle版
感想は追記にて
嫌いだ、嫌いだ、といいながら、なんだかんだで作者の作品を結構読んでいる私って、相当なドMなんじゃないかな?間違いないな、と思う今日この頃です。ブログ始めた頃は、積極的に地雷といわれていた作品を踏み抜きにいっていましたし。
内容紹介では、「恋愛小説の名手」なんて書かれていますが、そんな高評価が付く作品がどこにあったのかな?という感じですが、白身魚さんの表紙にまんまと釣られて買ってしまいました。ちなみに、この作品はライトノベルではないので、挿絵はありません。表紙がいい絵だから挿絵がなくても関係ないよねっ!
ちなみに、この作家にたいして私の評価は高くありません。評価が高くないというか、作家としては最悪だと考えています。ここからしばらく私の作者に対する恨み節になりますので、どうぞ読み飛ばしてください。
『1×10 藤宮十貴子は懐かない』『ニート吸血鬼、江藤さん』は放り投げる(多分打ちきりでしょうけど)。『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』はそれなりにヒットして、アニメ化までしたけど、途中でグダグダし出して放り投げる。11巻までいったのに。もう少しで終わりそうなのに。
『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』書いている途中に、そのまんまの設定使ってなんか書いた記憶がありますが、それがどれだったかは思い出せないのが口惜しい。時期的に、『ニート吸血鬼、江藤さん』か『鳩子さんとラブコメ』かどっちかだとは思いますが。
その『鳩子さんとラブコメ』は、なんかバラエティの悪いところを凝縮したイジメのような内容を延々読まされて嫌な気分にさせられる。あげく、4巻で打ち切り。最後の最後の鳩子さんがデレたシーンが可愛かったのが唯一の救い。
そして、『文句の付けようがないラブコメ』。これは比較的面白かったですが、第1章と呼べるものが終わって、さあいよいよラブコメだ!というところで、ただいま1年間の放置中。
他の煉獄にいる方からしたら、まだまだ甘いのかもしれませんし、某ラノベが5年の時を経て、完結したことを思い出すと、まだ諦めなくてもいいのかもしれませんが。一日に数枚原稿を書くことを自分に課している作者とは思えない所業です。
それもこれも、この作者はでかいことをぶち上げるけど、どうやって解決するかを全く考えていないから終わらせられないような気がします。ただ、そのぶち上げ方がなかなかうまいところが、この作者のたちの悪いところですが。
さて、作者が嫌いだ、と言う話があまりに長くなりました。本題に入ります。
考えてみれば、本作は作者初めての一般向けになります。ダヴィンチで3ヶ月連続掲載したものをまとめたもので、これで成功すれば一般向けに転身するのかもしれません。引き出しが少ないのだから止めておけば良いものを。
この作品は、白身魚さんのイラスト、タイトルの付け方、プロローグの語り、白身魚さんのイラストがいいところでしょうか。
タイトルの付け方ですが、本編中でキーになるセリフを意図的にもってきています。これをもってきていることで、ただでさえ展開が読みやすい本作なのに、さらに展開が簡単に想像されてしまうわけですが、普通に読んでいてもオチは読めるので、それならタイトルとして効果的に使った方がいい、という判断でしょう。
プロローグの語りについては、「?」という言葉遊びのような感じですが、作者は本当にこの辺うまいな、と。立派な詐欺師っぷりを発揮しています。
白い髪の後ろ姿を必死で追いかけた。
行ってほしくない。
死んでほしくない。
その一心で駆けた、駆けた、駆けた。
だけど返ってきた言葉はこうだった。
「ふたりぶんは背負えないよ。ごめんね」
白い髪の後ろ姿がみるみる遠ざかる。
戻ってきてほしい。
帰ってきてほしい。
声をからして叫び、足がちぎれるほど駆ける。追いつかない。叶わぬと知りつつなおも駆ける。伸ばした手が空を切る。それでも駆ける、駆ける、駆け続ける。
†
これは『終わりの物語』だ。
二人の少年と一人の少女が生きて死ぬまでを綴る『決して始まることのない物語』だ。
それでもあえて『始まり』を定めるならば。夏のある日、藤沢大和が目を覚ますところでこの物語は『終わる』。
この「読んでみようかな」と思わせるプロローグは、素晴らしい武器です。
タイトル、イラスト、プロローグで読者を一本釣りするような本作。ただ、売り方を考えたときはこれが正解なのかもしれません。
ただ、このテンションが最後まで続くか、といわれると、首を傾げざるを得ません。取り立てて悪い、という訳ではないですが、特筆するほどよいという訳でもなく。簡単に言うと、凡庸に過ぎる、というところでしょうか。
作者お得意の、「実は普通だと思っていた主人公は、凄い力を秘めていた」という設定も炸裂させてくれているので、作者の作品をそれなりに読んできた私なんかは「はいはい出ましたよ」なんてなってしまったのも、あまりよい評価にならなかったところのような気がします。
結末にしても、問題を先延ばししたに過ぎず、希望の欠片を見せつつ、な終わり方。『最終兵器彼女』的というか。実はこの作者、アンハッピーエンドが好きなんじゃないか?といぶかってしまうほどでした。とはいう私も、納得できればそういう結末でも構わない、というタイプなのですが、この物語にその説得力があったかというと、そうではないような。安易なお涙ちょうだいの展開、といわれたら、それまでのような気がします。
結論。
私が作者を嫌い、という感情があるからこその評価なのかもしれません。しかし、一般向けを志向するには非常に厳しい内容、といわざるを得ません。無理して読むほどの価値はない作品です。
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