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『デート・ア・ライブ2 四糸乃パペット』/橘公司 [富士見]

世界に顕現する際に破壊をもたらす精霊。その精霊を無力化するには、士道が精霊とデートして精霊をデレさせて、キスをすること。今回も新たな精霊が現れて一騒動。なかなか楽しめましたけど。うーん、物足りなさも感じてしまいました。

デート・ア・ライブ2  四糸乃パペット (富士見ファンタジア文庫 た 4-2-2)

デート・ア・ライブ2 四糸乃パペット (富士見ファンタジア文庫 た 4-2-2)

  • 作者: 橘 公司
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/08/20
  • メディア: 文庫

高校に転校してきた十香は、クラスメイトの折紙と毎日のように喧嘩をしていた。そのたび二人を止めに入る五河士道は、下校中、第2の精霊と出会う。少女は降りしきる雨の中、傘も差さず、左手にウサギ型の人形(パペット)を付け、道路を楽しそうに飛び跳ねーー盛大にコケた。助け起こそうとした士道に少女はおびえた様子で言う。
「いたく、しないで……ください……」
世界から否定され、拒絶され、殺意を突きつけられても、なお相手を傷つけないように耐える優しすぎる精霊、四糸乃(よしの)。
「手伝ってくれ、琴里。……おれはーーあの子を、助けたい……!」
世界を殺す少女を助けるため、デートして、デレさせろ!?(裏表紙より)

 

2巻で登場が予告されていた精霊・四糸乃。無口で気弱。心根の優しい子で、パペットがないとろくに相手としゃべれない、って私の好みの直球ど真ん中でした。表紙イラストも素晴らしいです。十香も可愛かったですが、四糸乃も可愛くて大満足でした。最近のラブコメ作品の傾向だと、2人目は「ツンデレ」キャラかなぁ、と思うのですが、あえてそこに行かず小動物のような可愛らしいロリッ子を持ってきたのは言いチョイスではないか、と思いました。

ロリキャラが今回の攻略対象精霊のため、デートイベントも少なめ。どちらかというと、四糸乃の信頼を勝ち取るためのイベントが物語の中心、という感じでしょうか。その中で、士道が四糸乃を救うためにがんばる姿がかっこよくて、かける言葉が優しくて、主人公に対する好感度が上がりました。誰よりも優しい妖精、四糸乃が救われたのは、士道のがんばる姿があってこそ、というのがよく分かるようなエピソードだと思いました。そして、こんな士道だからこそ、十香も好きになったんでしょうね。

十香は今回は自分の感情に気づく第一歩、という感じでしょうか。精霊として生まれた彼女は人に恋する、ということを知りません。なので、士道に対する感情が何なのか、士道が他の女性と仲良しくしているとなぜ嫌な気持ちになるのか分からない。その感情に戸惑いながら、自分の感情を整理するのが今回の彼女の進歩ですね。今後、さらに精霊が登場することがあるでしょうが、この巻のような役回りをしていくんだろうなぁ、と感じました。そして、士道との仲を接近させていきそうです。

この巻では、四糸乃の精霊の力を封印して2人目。なのに、妹と鳶一がいるからすでにハーレム完成、といってもいいような状況ですね。展開としては、毎巻新しい精霊が出てくるのか、と思っていたところですが。この巻の最後、3巻の引きになりそうな新キャラの登場でその流れにならなそうな気配。新キャラ自体が意味深な感じで、どうなっていくか楽しみです。

そして気になると言えば、士道の能力の源泉。この士道の持つ二つ目の力は、鳶一の過去とも絡んで来てもおかしくないような印象です。一体どんな過去があるのか、非常に楽しみです。ついでに、鳶一さんにスポットライトが当たるとなおよし、という感じです。鳶一からは相変わらず狂気を感じますが、少し不遇な気もするので。……槙奈さんみたいな活躍はいらないですが。

一つの作品としてみた時、面白い部類に入る作品だと思います。ただ、作者の『蒼穹のカルマ』を読んでいるせいからか、物足りなさを感じてしまいました。というのも、この作品が「普通のライトノベル」すぎるんですよね。「ラブコメライトノベル」の定番過ぎる、というか。『蒼穹のカルマ』があまりにぶっ飛びすぎて笑えて、それでいてプロローグのとおりに展開が収束していく様が見事で、非常に個性溢れて、かつ面白いライトノベルであるからこそ感じてしまうモノだと思います。全てが全て『蒼穹のカルマ』みたいにあるべき、ということではないのですが。『蒼穹のカルマ』の作者であるからこそ、「普通のライトノベル」とひと味違うところをみてみたい、という感じでしょうか。まぁ、この作者のファンの欲張りな要求ですが。この点も、次に期待したいところです。


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『カナクのキセキ 2』/上総朋大 [富士見]

純愛ですね。異世界ファンタジーなのにここまで純愛で勝負する作品って珍しいと感じる次第です。

カナクのキセキ2 (富士見ファンタジア文庫)

カナクのキセキ2 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 上総 朋大
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/05/20
  • メディア: 文庫

 

「うそついてる。カナクさんは,まだ泣いてる」
 ネウの垂れ気味の瞳に見つめられ,僕はどきりとした。
 ーー”あの日”から5年。僕は,「マールの村」で神官として暮らしていた。ユーリエ。僕の愛。ダークエルフのネウは僕の揺れる心を心配してくれているけれど,僕は,彼女を想い,祈りながら生涯を終えようとしていた。そんなある日,意外な客人が……。
 一方,父親の命令で急遽辺境の長城に嫁入りしたレベッカは”影砲士”スフィアと出会う。シャイな夫がひとりで世界を守っていることを知った彼女は,”お嫁さん”として奮迅の働きを開始した!
 運命の恋と最強の愛が紡ぐ,ファンタジック・ラブストーリー。(紹介文より)

1巻が綺麗に終わっていたために,どのような展開で来るのか,と思っていたのですが。なるほどこうきましたか。前作のラストから5年後。マールの真実を知ったカナクと,そのカナクを慕い彼の元に訪れたネウの物語を書く一方で,別の物語を描く構成になっています。一見,全く関連の無い二つの物語。それが一つに繋がっていることが分かった時は思わず膝を打ってしまいました。 実に素晴らしい展開だと思いました。

物語の進行としても上々。前作は3巻程度にした方が良い,と思うほどの展開の速さで,物足りなさを感じる面もありました。しかしこの巻は性急さを感じる事が少なかったと思います。とはいえ,レベッカとスフィアの恋に関しては,ページ不足を若干感じましたが。個人的には,ページ不足を感じさせないほどに面白かったので良いのですが,人によってはこのページ不足が気になる点だと思います。

本作の売りは純愛。この巻でも純愛が前面に押し出されていて,非常に満足でした。レベッカとスフィアの純愛。カナクのユーリエに対する想い。そして,ネウのカナクに対する想い。それぞれの想いが気持ちよくて,切なくて,もどかしくて。ここまで純愛で勝負して,楽しませてくれるライトノベルは,私の浅い知識では殆ど無かったと思います。それ故に,貴重な作品だと感じます。

前作は非常にわかりやすく,途中でどうなるか分かるようになっていたラストですが。今作ではそれも改善されていたと思います。個人的には,「こんな展開になったら面白いんじゃ無いかな?『○○○○○○○』みたいで」と思っていたら,見事にそこに落ちてきた感じだったのですが。愛の深さ故の結末でしょうね。それを考えると,誰もあの決断を攻めることは出来ない気がします。「正体もよく分からないヤツを,疑いもせずに信じすぎだろう」と言えるかも知れませんが。藁にもすがる思いだったんでしょうね。今後がますます気になる展開になってきました。

次が気になって仕方ない,という感じで一気に読むことが出来ました。次の巻は明るい話になるようですが,気になるのは2巻の続き。どうなるか見えない状況になってきたなぁ,というのが正直な思い。タイトル『カナクのキセキ』の「キセキ」が「奇跡」なのか「軌跡」なのか気になるところですが。「カナクの奇跡」と呼べる展開になることを,個人的に祈りたいと思います。ラストに二人の奇跡が見られることを願いながら,シリーズを追いかけていきたいと思える内容でした。


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『デート・ア・ライブ 十香デッドエンド』/橘公司 [富士見]

『蒼穹のカルマ』の作者の新シリーズ。期待半分不安半分,ってところでしたが。思った以上のできで非常に面白かったです。

デート・ア・ライブ  十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 橘 公司
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/03/19
  • メディア: 文庫

はじめて表紙見た時,某作品の正義の味方部のなぎなたの人に似ているなぁ,と思ったのは内緒wググってみたら似てなかったですw最後に読んだの,4年前ですからねw

4月10日。始業式。五河士道(いつか・しどう)が妹と食事を取る約束をしたファミレスに向かおうとした時。衝撃波と共に町並みが吹き飛ぶ。GPSで,妹がまだファミレスにいることを確認した士道は,ファミレスに向かう。そこで,彼は運命的な出会いを果たす。不思議な素材のドレスをまとった闇色の髪を持つ。美しい少女と。精霊。世界に突然現れ,破壊をもたらす少女と。しかし,彼女の中に悲しさを見た士道は,彼女を殺すことに反対する。そんな彼に示されたのが,対話の道。そのための条件は,「士道が精霊に恋をさせること」
戸惑う士道。果たして彼は,精霊を恋をさせることができるのか?

 

なんでだろう?あらすじ書いていたら,シリアスな話っぽい。中身を思い出すと,ラブコメだったのですがw

『蒼穹のカルマ』と言えば,駆真さんの果てしない変態っぷりと,あり得ないプロローグが示されたのに,気づいたらそのあり得ない展開になっていた,と言う物語の展開が魅力なのですが。この『デート・ア・ライブ』ではそこはあえて?封印。設定こそぶっ飛んでいるものの,主人公は割とまともな一般人(ともいえない設定はありますが)。プロローグも普通。そして,ジャンルはラブコメと,割と一般的なラノベのフォーマットで攻めてきたなぁ,と言う印象でした。

ところが,そこは橘公司さん。一筋縄ではいかなかったです。精霊の被害を止めるために,精霊に恋をさせる。そのためには,精霊とお近づきにならなくてはいけない,のですが。もちろん,精霊の被害を止めるために,精霊の命を狙う組織がいます。その軍隊と精霊・十香が戦う中,主人公は十香とお近づきになるために話をしたりするのが,何ともシュールだなぁ,と。しかも,士道の後ろには彼をバックアップするための組織がありますが。イマイチ頼りにならない面々が,ギャルゲーよろしく,コンピュータがはじき出した選択肢を選んでいく,というのがまたシュールでした。とても世界の命運をかけているように見えないです。こんな危険な状況の中,デートに誘った主人公がかつていたのか,と思いましたw

そして,この作品の一番の魅力。それは,十香の可愛さでしょう!もう,これしかない,ってくらい。人間界のことをよく知らない十香。その彼女が,士道と行動を共にして,人間世界のことを知っていく。その反応が,もうほほえましくて可愛らしくて。確かに,あの黄色い粉は恐ろしい魔力があると思いますよwそんな彼女なので,恋についての知識も欠如。はじめてのことづくしなのですが。自分の命を狙う人間に対して,よい感情を抱いていなかった彼女が,士道に対して心を開いていくところがもう初々しくて。思わず身もだえしてしまいましたw

周りのキャラもなかなか個性的で。駆真さんの変態分は,主人公ではなく周りのキャラに行ったんですね。人間不信になりそうなほどの2重人格の妹を始め,士道をバップアップするラタトスクのメンバーは笑えました。

そして,主人公の同級生であり,精霊に両親を殺されたため,精霊を殲滅するための組織に入り,力を手に入れた鳶一折紙(とびいち・おりがみ)。作者,鳶一って名字が好きなんでしょうかw主人公に気があるようですが。この巻では,口数が少なく,精霊に対して強い敵対心を持っていること以外,どうにもつかみにくいキャラクターかなぁ,という印象。なかなか可愛くて面白いキャラになりそうな気もします。最後は,その前兆も見せてくれましたが。この辺は2巻以降のお楽しみですね。

そう,この作品。無事シリーズ化するようです。読み進めながら,シリーズ化して欲しいなぁ,と思っていただけに,これは結構嬉しいです。これから,まだまだ新たな精霊が現れ,主人公はそれをデレさせる,と言う展開になりそうですね。2巻の予告で,新しい精霊のシルエットも公開されていましたし。ただ,十香が可愛すぎたので,そっちを深めて行ってくれても我つぃは満足です。鳶一との三角関係でも面白そうですし。

ギャグ満載なのですが,シリアスなところも楽しめます(後半の見開き挿絵が素晴らしかったです)。この辺のバランスが素晴らしかったです。これまた楽しみなシリーズが生まれました。


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『氷結境界のエデン 6 水晶世界』/細音啓 [富士見]

時々,ルビがネタにされているのを見ますがwもう,ワクワクが止まらない展開になってきました。素晴らしいファンタジーだと思います。

氷結鏡界のエデン6  水晶世界 (富士見ファンタジア文庫)

氷結鏡界のエデン6 水晶世界 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 細音 啓
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/03/19
  • メディア: 文庫

統制庁との話し合いを終え,天結宮に帰ってきたシャルティスとユミィたち。時をほぼ同じくして,生態生育野(ビオトープ)の巡視を終え,天結級に帰ってくるものたちが。巫女の第3位・ ヴィオラ・ノヴァと千年獅の第3位・ホルン・ノヴァの姉妹。過去の因縁から,ユミィに対して冷たく当たるホルン。何とかして,ホルンとの軋轢を生む原因となったものを乗り越えようと,そして,強くなろうとするユミィ。そして,それを支えたいと願うシャルティス。
そんなとき,天結宮に謎の怪文書が出回る。そして,ホルンの因縁と言うべき幽幻種の出現。ホルンとユミィはその中で,自分の心と向かい合うことに。

 

と言う訳で,新キャラの登場です。まだまだでていない重要人物がいたんですね。巫女が5人中4人登場で,残る派は第1位のコンビのみ,という感じでしょうか。

今回は,ホルンが印象的でしたね。今までと全く毛色の違うキャラ。冷静さに欠ける理由があるとは言え,冷静さにかけ過ぎて,今まで出てきた千年獅の中では,一番千年獅っぽくなかったかもです。むしろ,イシュタルの方が冷静だったかも,と思うほど。ただ,その部分はとても人間的だと思ったのですが。また,今までシリーズに登場したキャラは,実力の差違はあれ,どのキャラも心の強さでは,みんな強い,と感じていたので,彼女のように,芯にもろいものを持っているキャラは新鮮だった,と言うか。とはいえ,自分の中を見つめ,弱さを認め,それを乗り越えることができる,と言う点では,一概に芯が弱い,とも言えないような気がしますが。それ故の千年獅,と言うことかも知れません。

そして,熱くなったのがユミィ関連。今まで秘めた力はナンバーワン,と言われていたものの,自分の力不足にうちひしがれることが多く,さらに1000年前では力の違いをまざまざと見せつけられた彼女ですが。その経験から,誰よりも強くなりたい,と言う思いを抱くようになっていたようです。この点,運命のママ自分の力を引き出していった,前作のクルーエルと対照的だなぁ,という感じがします。

そんな彼女が強い思いで訴えた時。遂にあの存在の登場。ここら辺の展開は,前作のファンとしては鳥肌が立つ,という感じで。盛り上がりました。遂に本当の第七天音律(ソフィア・コード)と,禁断水晶の力を手に入れたわけですが。第七真音律を持つシャルティスと,遂に世界の秘密に触れる鍵を手に入れた,と言うところでしょうか。そして,向かう場所は穢歌の庭(エデン)の最奥。ここで待つのはやはり?『約束の地』(ツァラベル)の言葉がまたワクワクして仕方ないですね。

この巻ではエリエが重要な意味を持っていることが,明らかになりましたが。確かに,今までは物語の本筋には絡まないものの,毎回登場。そして,サラ 皇女と出会い,知らず親交を深めていたわけですが。彼女のこの出会いも何らかの意味を持っていた,と言うことが明かされました。果たして,彼女の果たす役 割とは。第3の可能性,と言うものが一体何なのか,気になるところです。

そして,次はいよいよ一つの佳境,と言うこと。自分が第七真音律(エデン・コード)を手に入れたことに意味を見いだそうとしているシャルティスのターンとなりそうです。シャルティスとの再開を心待ちにしているイグニド。次の二人の出会いによって,物語の流れが決定的になりそうな予感がします。果たして,イグニドはシャルティスに何をもたらすのか。空白の名を持つキャラだけに,気になって仕方ないです。

巻が進む度に,謎が少しずつ明かされていく感じがすると同時に,物語がどんどん膨らんでいく感じがしています。一体,どこまで世界が広がっていくんだろう。それが楽しみで仕方ないです。次の巻では,ひとまず何らかの形が見えてきそうですし,楽しみに待ちたいと思います。
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『蒼穹のカルマ 7』/橘公司 [富士見]

まさかの槙奈表紙で。主人公の表紙の扱いがこれで良いのか,って気もしますが。槙奈かわいいよ鳶一w

蒼穹のカルマ7 (富士見ファンタジア文庫)

蒼穹のカルマ7 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 橘 公司
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/02/19
  • メディア: 文庫

 

槙奈の魔法によって記憶を消されてしまった駆真。その状況を救おうと,アステナが魔法で記憶を呼び起こそうとするものの,敢えなく失敗。記憶喪失で幼児状態になってしまう。そこにたまたま現れた天由良,霊由良の二人の神に助けを求めるも,敢えなく失敗。駆真の記憶を取り戻すためには,記憶の消去魔法をかけた槙奈が最適,と言う事で。神の試練に失敗した槙奈だが,数ある神器の中で最もひねくれ者で人の嫌がる姿を見るのが何より好きな神器・ヴェクサシオンに気に入られたため,一回使用する事を許される。その条件というのが,槙奈の黒歴史を10万人に読ませること。そして,槙奈は修羅の道を行くことに。
それはさておき,別次元から来た在紗・リサは,駆真の命を奪うために暗躍し。果たして,駆真は記憶を取り戻し,助かることができるのか。

 

もうですね。相変わらずこのシリーズは最高ですwお笑い的な意味で。まぁ,毎回無茶なプロローグがあって,「いくら何でもそれはないだろう」と思わせておきながら見事にそのプロローグに繋がっていって,最後はシリアスに決める,と言う作者の力量があってこそ,この笑いが生まれるのだと思いますが。毎回毎回いろいろな手で笑わせてくれます。

前半は,鳶一槙奈の独壇場,という感じでしたね。駆真の記憶を取り戻すために,自分の黒歴史を小説にして出版することを強いられる槙奈。沈音の外道ぶりが笑わせてくれますが。もう,この時点で槙奈さんご愁傷様です。で,肝心の黒歴史ですが。もう,痛くて痛くてwたぶん私は好きな気がしますがwなんで小説の主人公の必殺技にコマンドが設定されているんだよ,とかw「ヴ」がかっこよく感じた,とか何となく分かりますよw

そして,出版。出版後の洗礼。槙奈さん,ご愁傷様ですwただ,少なくても名前はペンネームつけさせてやれよ,とw

槙奈が苦しんでいる間,幼児として在紗に子育てされる駆真さんですが。幼児に戻っているので,ふだんは「まーま」とか鹿言わないのに,時々言語機能が戻って本音が漏れてくるのが面白かったです。と言うか,駆真さん普段はそれを隠しているのに,本音を出してしまって大丈夫なのか,とw記憶が戻った時に気まずいことにならないか,激しく不安になりますよ。まぁ,在紗も駆真のことを大好きみたいだから大丈夫でしょうが。

ラストは,予定通りのリサとの決着。思った以上にスケールが大きくなりましたねwそれまで槙奈槙奈来ていて,イマイチ地味だなぁ,と思っていた駆真さんが見事に最後を持って行くところは,さすがの作者の力量,と言うところでしょうか。とにかく,駆真さんが変態かっこよかったですwもう,さすがは駆真さん!と言いたくなるような変態っぷりを晒してくれるのですが,ここまで言い切ってしまったらむしろかっこいい,としか言いようがなかったです。全ては在紗のため。その一切ぶれのない姿勢は素晴らしいですねw

結局,それに救われたのでしょうね。槙奈はまさかの……,と思ったところでちゃんと見せ場があって良かったです。それくらいないと,あれだけ精神にダメージを負った甲斐がないって紋ですしね。最後は,ちょっと良くて泣いてしまいましたよ(ノД`)まさかこのシリーズで泣くことになるなんて。

さて,気になる人物が出てきたなぁ,と感じていたら,それが丸々次の巻の引きになりましたね。天由良,霊由良の言葉から,あの存在か?と思ったところであの最後。まさかのあの人物が,一体どんなカオスを引き起こすのか気になるところです。もしかしたら,在紗には選択を迫られることになるのかな,という感じで,いよいよラストが見えてきたのかも知れません(来月,作者の新作も出ますし)。とにかく続きが楽しみです。

しかし,三谷原のあの設定は使い捨て?


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『カナクのキセキ 1』/上総朋大 [富士見]

第22回ファンタジア大賞金賞受賞作。大変素敵な作品なんだけども,弱点が目立っているのが少し気になるところ。いや,個人的には長所が短所を上回っていたと思うのですが。

カナクのキセキ1 (富士見ファンタジア文庫)

カナクのキセキ1 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 上総 朋大
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2011/01/20
  • メディア: 文庫

 

敬虔なマール教信徒である主人公・カナクは,セレンディア魔法学校を卒業。それを機に,マールの残した石碑を巡る旅を決意する。
「暁の賢者」マール。1000年前に存在した深紅の髪の魔女。彼女が長く滞在した地や彼女と親しくした人が,例外なく災害に巻き込まれ,当時「紅の魔女」としてさげすみ,ののしり,恐れられていた彼女は,しかし放浪しながら人々に魔法を授けた彼女の偉業が認められ,現在では神としてあがめられるようになっていた。
その彼女が残した石碑。現在は危険が大きいため,それをするものが少なくなった巡礼を1人でしようとするカナクだが。学校一の魔法の天災であり,美少女であるユーリエがなぜか同行することに。かくして,2人で旅を始めたのだが。最後の石碑に辿り着いた2人は,意外な真実を知ることになるのだった……。

 

とにかく,良いところもあるけれども,弱いところもまたハッキリしているなぁ,と感じる作品でした。まずは,弱いところから。ひとえにこれは,「ストーリーがあっさりしすぎている」という点。苦難の連続であるはずの旅なのですが,幸運にも恵まれて,と言うべきかひたすらあっさり進むんですよね。男女二人が旅をする,ってそれこそ信頼が深まって,恋が生まれる,と言うパターンに最適なんですけども。その過程での困難が全然描かれなかったのが物足りなく感じました。旅の途中,モンスターに襲われる場面3回。しかし,1回は少しだけ危なかったものの他の2回はあっけなく危機を脱すると言う具合で,危機感も全然ない,という感じでした。危険なはずの地域に辿り着いても,モンスターに襲われたのが,1回だけ,というのが。

もう一点。オチが割と単純に読めること。と言うのも,何か秘密っぽいものが出てきた,と思ったら,その後すぐにその謎が判明する,と言う具合で伏線なのかも知れないけども,隠れてないんですよね。よく言えば親切な展開,ともいえるのですが。一つの謎を追って,わくわくする,と言う面で弱かったなぁ,という感じでした。

とはいえ,それを補ってあまりある長所もありました。最大の長所は,とにかくヒロインのユーリエが可愛いこと。帯では賀東招二さんと鏡貴也さんが二人とも褒めているところで,賀東招二さんはこの点で金賞に推すことを決めた,というほどですが。いや,確かに可愛かったですよ。爆弾みたいなお嬢さんだなぁ,とも思いましたが。学園ではねこをかぶっていたものの,大好きなカナクについていくために,彼に無理矢理ついていく行動力。お嬢様故のわがままさ。意外な弱点。イヤミに感じるところが全然なく,ただひたすらに純粋なんだろうなぁ,と感じて,非常に愛らしかったです。物語の大半を彼女の魅力で引っ張って行ったような感じがしました。

そして,やはりストーリーが良かった。ネタバレになるため,詳しいことは書きませんが。確かに,この結末は序盤で予想できました。ただね,やっぱり泣いちゃうよね。最後の石碑に書かれた真実を目にした時,分かっていたにもかかわらず涙があふれてしまいました。あまりに切ない。辛い。苦しい。でも,こういうのキライじゃないなぁ。苦手でいや,って人も多そうですが。ただ,あふれるその思いがあるから,決して暗いだけではない気がします。

個人的には,この物語だけで3~4冊くらいに分けても良かったのかなぁ,と言う気がしました。元々この作品,全数冊構成で考えている途中みたいですが。ただ,これを1冊にまとめるのはもったいない,と言うか。ストーリーがあっさりしてしまうのは仕方がないことかなぁ,と感じました。そして,タイトルに1がついているように,シリーズで続くようです。そして,2巻は書き上がっている,と言う事ですが。一体どんな展開にしていくのか気になるところです。ただ,「一人の男性を愛し抜く,そんな女性の強さと美しさを描きたい」という思いからすると,ある程度は想像できそうな。楽しみにしたいところです。

ただなぁ。同じファンタジー作品,ってことで,『黄昏色の詠使い』を思いながら読んだ私ですが。こっちが金賞で,『黄昏色の詠使い』が佳作,と言うのも何か納得ができないような。受賞年が違いますし,比べても益のないことですが,1巻だけの完成度,美しさは『黄昏色の詠使い』に軍配が上がるような。どっちもいい話ですけどね。

ヒロインの魅力と,一人の男性を愛し抜く思いに感動する作品かなぁ,と感じます。期待しすぎると少し肩すかしを食らうかも知れないなぁ,と感じました。

 

以下,ネタバレを含みつつ余談。

『レイヤード・サマー』読んだ時に,個人的に思い出したのが,『DESIRE』だったんですよw私がプレイしたのは,セガサターン版でしたが。何となく,って感じで。で,『DESIRE』,久しぶりにやってみたいなぁ,というかマルチナ視点の,最後のエピソードプレイしたいなぁ,何て思っていたのですが。またもや,それを思い出すような話で個人的に何がなにやらwいや,全然悠久の螺旋,ってテーマじゃないんですけども。たぶん,時間ものを知らないから,と言う理由が大きいと思います。ただ,こういうのって,悲しいけども何で好きなんだろう,と思ってしまいました。

そして,『レイヤード・サマー』,『うちの魔女しりませんか?』,そして『カナクのキセキ』。今年の1月のテーマは「永遠の別れ」なのか?wどの話も泣きましたし,好きなんですけども,これが連発してくると結構精神に来ますよw間に『とある飛空士への恋歌』を挟んでいなかったら,どうなっていたかw


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『H+P 8 ーひめぱらー』/風見周 [富士見]

何か,いつもよりもエロかった気がしましたwそして,いきなりシリアスな展開に。一体どうなる,恭太郎!

H+P(8)  ―ひめぱら― (富士見ファンタジア文庫)

H+P(8) ―ひめぱら― (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 風見 周
  • イラスト:ひなた睦月
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2010/12/18
  • メディア: 文庫

 

カタルギア帝国にとらわれた恭太郎は,今日も幼女帝・カリギュラに迫られる日々を送っていた。しかし,朴念仁で堅物の恭太郎はそれを受け入れず。ピコル師匠の本を参考に,恭太郎に迫ってみるも,不発に終わってしまい。
ならば,と次に打った手は,ピコル師匠をお世継ぎ作りの教育係としてヘッドハンティングすること。これを恭太郎奪回のチャンス,と踏んだピコル師匠は,この誘いを受ける。そして,トレクワーズの5美姫もピコル師匠と一緒に潜入。ユフィナ,レイシア,エリスは城に潜入し,アルトとメルルは別の目的のために行動する。
ピコル師匠を教育係としたことで,カリギュラと共に授業を受けることになった恭太郎だったが。そして,いよいよ脱出の時が迫るが。

 

表紙がレイシア!やっぱりレイシアが一番好きです,私wそして,今回はユフィナ,レイシア,エリスが城に潜入,と言う事で,5美姫の出番が復活。正直,カタルギア帝国側のキャラが面白かったので,出番がなくても良かった気がしないでもないですがwいや,でもレイシア好きとしてはレイシアの出番が増えたのが素直に嬉しい限りです。

そして今回のポイントは,ピコル師匠が参戦した,と言う事ですね。やはり,ピコル師匠が天才過ぎるw恭太郎的には天災でしょうけども。いや,アイヤンゴーレムとかモリクリとかこすちゅ~む・ぼむとか,アイディアが凄かったです。それに振り回される恭太郎,レイシアたち,そしてアスピア将軍ですが。今回は,いつも以上にド直球のエロ!という感じでした。いやぁ,笑わせて貰いましたw

前回,気になる言葉を残したガイルーンですが,こちらは出番なし。なにやら,裏から動いていそうな予感がしますが。そして,恭太郎の身に異変が起き,トレクワーズから誘拐された王仕たちにも異変が起き。ガイルーンが予言したことが現実になろうとしているようです。となると,鍵になるのは,恭太郎に最後に接触したあのキャラ。一体,彼女は何者なのか。トレクワーズ,カタルギアが争っているときに蠢くのが一体何者なのか。いよいよ,物語は核心へと向かいそうです。

そして,一番気になるのは,恭太郎。最後の最後。「あああぁぁぁ」的な,まさかのシリアスな展開を迎えましたが。一体彼はどうなるのか。案外何もなかった,と言う事になるかも知れませんが,気になるところです。次は早めにお届け,と言う事で,楽しみです。


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『氷結境界のエデン 5 絶対聖域』/細音啓 [富士見]

あまりに面白すぎて,一気読みしてしまいました。おかげで寝不足w

氷結鏡界のエデン5  絶対聖域 (富士見ファンタジア文庫)

氷結鏡界のエデン5 絶対聖域 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 細音 啓
  • イラスト:カズカベアキラ
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2010/12/18
  • メディア: 文庫

浮遊島(ラグーン)で培養されているのが見つかった幽幻種の真実を明らかにするために,天結宮(ソフィア)と統制庁が会談を持つことになった。天結宮の代表として統制庁を赴くユミィと,護衛の任務を負ったシャルティスたち。こうして始まった会談だが,主張が食い違い,進展はなし。
事態を打開するために,千年獅を持たないユミィの護衛としてついてきている錬護士筆頭・イシュタルは驚くべき提案をする。それは,統制庁が秘宝として隠し持っている『ミクヴァの緋眼』を探し出すこと。全ての事象を記録する力を持つ『ミクヴァの緋眼』から情報を得られれば,自体が進展する,との提案を受け入れるユミィ。そして,そんな危険な任務を託すのは,誰よりも大切に思う幼なじみ。
そんな中,統制庁に現れた「黄金のマハ」とイグニド。統制庁を舞台に,戦いが始まる。

 

もう,ものすごく面白くて。個人的にツボ過ぎて,全てが良かった,という感じです。

何よりも良かったのが,新キャラのキャラクター。この巻では,前の巻で名前だけ出ていた「祓戈の到極者(ジルシュヴェッサー)」,イシュタル。『黄昏色の詠使い』からのファンなら,ジルシュヴェッサーと言うワードを見ただけでわくわくしてくるのですが,イシュタルのキャラがさらに良かったです。一言で言うと,極度のシスコンwそして,飄々とした性格。そんな感じで,普段は錬護士筆頭と言う実力者とは思えない,軽快なキャラクターでした。ところが,ユミィに危険な任務を提案するときや,シャルティスを押し出すときは,さすがと言うべきシリアスな面を見せて。ただ,彼女の絶対聖域を侵したものに対する態度が心震えてくるようで。サブタイトルの「絶対領域」,この意味だったのか,とハッとさせられました。讃戦歌(オラトリオ)を歌い,戦いに挑む彼女のなんと勇ましいことか。

個人的にお気に入りだったのが,統制庁側の特務機関『天の車』の第一・ゼアドールでした。まじめで任務に実直,という感じの武人キャラ。しかし,ちょっと抜けたところもあり。いや,いくらシャルティスが誠実に答えたからと言って,秘密をしゃべっちゃダメだろう,と。最後の,第七との会話は,生真面目なのにそれ故にコミカルに感じて楽しかったです。

物語本編は,まだまだ真相は闇の中,という感じです。相変わらず,『黄昏色の詠使い』との関連を感じさせる部分は多いです。この巻では,イグニドが自分のことを「空白」と言ったのが気になるところでしょうか。そして,シャルティスに対して,

「(前略)『初めまして』,そして『お久しぶり』。この世界で会う時を待ち望んでいました』(P.290)

という台詞も。空白を名乗る存在。アマリリスの洗礼を受けた者との対比を考えると,もしかして,と思わざるを得ません。と言う事は,シャルティスにエデンの魔笛を与え,最深部でシャルティスを待っているのは,もしかしてあの存在?と妄想が膨らんで止まりません。

そして,肝心のシャルティス,ユミィの進展ですが。元々惹かれ合う心故に,相手を求める者の,それを赦さない運命,と言うのが相変わらず残酷だなぁ,と感じました。もう,触れてしまえばお互いが傷つくことが分かってなお,相手を求めてしまうユミィの気持ちが切ない。今回の危険任務を通して,ユミィはシャルティスが自分の千年獅となることを待つ辛さと,それでもまつ気持ちがよく現れていたと思います。そして,シャルティスは,ユミィが悩んでいるときに,自分が近くにいることができないことの無力を痛感し,千年獅を目指す気持ちがさらに強まったような気がします。応援したい二人なんですが,まだまだ二人が寄り添える未来は遠くにあるようです。

さて,何か振り返ってみれば,イシュタルのための物語だったようなこの巻でした。と言うのも,核心部分に関しては,天結宮,統制庁以外の第三勢力(おそらく,エデン側)の存在の判明。シャルティスとイグニド,何らかの因縁を持った二人の出会いだけ,という感じで,物語が進んでいないように感じるからでしょうね。相変わらず,皇姫サラと,ツァリがシャルティスとユミィを見守っている,という感じの描写は見られはしました。しかし,この二人も,秘密を知っていて,二人が切り開く未来に期待しているようですが,一体何を願っているのか,それが分かりません。二人に託されたものが何なのか,非常に気になります。


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『蒼穹のカルマ 6』/橘公司 [富士見]

昨年,『このライトノベルが凄い』の新人トップを取ったこの作品。2巻はイマイチだったものの,3巻からは圧倒的なパワーを見せてくれるこの作品の新刊が発売されましたので,早速読了しました。

蒼穹のカルマ6 (富士見ファンタジア文庫)

蒼穹のカルマ6 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 橘 公司
  • イラスト:森沢晴行
    出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2010/10/20
  • メディア: 文庫

 

8月13日,鷹崎駆真が死ぬ。そんな情報を持って,駆真の前に現れたのは,今から5年後の世界からやってきた,と言う鷹崎在紗。目的は,駆真の死を防ぐこと。
駆真の周りでは相変わらずな出来事が起こりつつ,駆真と在紗,未来から来た在紗は駆真の死を防ぐために,彼女を殺そうとする「アンノウン」を探そうとする。果たして,「アンノウン」の正体を明かし,駆真は生き残ることができるのだろうか。

 

手に取ったときは,「薄いなぁ」と思ったのですが,中身は相変わらずの『蒼穹のカルマ』激しく笑いました。これ,今のギャグ系ライトノベルでもかなり上位に入るのではないかと思います。

駆真が何回か死ぬのですが,もうその死に方があほらしすぎて,と言うか,駆真らしすぎて,素敵すぎましたw表紙の駆真の遺影,これ死んだときの顔を写真に収めたのではないか,と言う位の感じですね。確かに,在紗とか他人からしたら最高にあほらしすぎる死に方ですが,駆真からしたら最高の死に様ではないかと思います。もう,駆真の在紗に対する愛は,愛と呼んではいけない何かのような気がします。

そして,未来から来た在紗がまたバラエティに富んでいて素敵でした。在紗,本当に才能があるんだなぁ,と言うか。そして,どんなパターンを選んでも,彼女の駆真に対する思いの強さ,大好きという気持ちがまた強すぎるも見所だったと感じます。さすが,駆真と同じ鷹崎家の人間,と言うか。これまた,もう駆真に対する思いがガチすぎて,面白かったです。主任なんて,あんなにしていて,あんな死に方を目の前にしていて駆真に対する思いが強いことが妙に面白かったりしました。

「絶対に,絶対に捕まえてやる。そして後悔させてやる。ボクから姉さんを奪ったことを」(P.71)

なんて,在紗の駆真への強い思いが感じられて,どきりとさせられてしまいました。

最後に明かされた,駆真の命を狙う敵。ただ,どうしてアンノウンが駆真の命を狙うのか,と言うのを考えると,ちょっと可哀想な思いもしてしまいました。ただ,激しくヤンデレなんだなぁ,とも思いましたがw

いつもなら,最初に明かされた展開に帰結するように物語が展開するのですが,この巻ではそうなってはいませんでしたね。アンノウンも正体が明かされただけで,相変わらず駆真の命を狙って来るみたいですし。そうこうしていたら,まさかの駆真の受難の展開で。果たして,駆真は,在紗はどうなってしまうのか。駆真はユートピアを迎えることができるのか。非常に気になるところです。

あと,槙奈がますます光り輝いていて,ますます面白いキャラになっているのもよかったです。もう,この作品のギャグ展開のスパイスとして,必要不可欠というか。それでいて,5年後は半端じゃなく強くなっているようですし,本当に分からないキャラだなぁ,と。彼女の活躍も楽しみですw


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『氷結境界のエデン 4 天上旋律』/細音啓 [富士見]

今回はこちらです。

氷結鏡界のエデン4  天上旋律 (富士見ファンタジア文庫)

氷結鏡界のエデン4 天上旋律 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 細音 啓
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2010/08/20
  • メディア: 文庫

ドラマCD化も決定し、ますます絶好調の『氷結境界のエデン』です。この巻、前作にしてデビュー作の『黄昏色の詠使い』からのファンとしては、「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!」と言う展開でした。

2巻で見つかった、浮遊島(ラグーン)。ココで見つかったのが、幽幻種の培養水槽。この浮遊島は統制庁の領域に会ったために、統制庁の関与がある、と天結宮醸造部は判断。天結宮(ソフィア)と統制庁の会合が開かれることになりました。そして、その会合に、巫女第5位のユミィが参加することに。そして、その会合へ遠征する要人護衛として、候補生から1グループ選ばれることに。なんとしてもこれに参加したいシャルティスは、モニカ、華宮(かぐら)、そして4人目のヴァイエルとともに、選考試験を受けることに。

この巻は、シャルティス、ユミィの課題の確認と、4人目の仲閒の加入、と言うところがメインだったかな?と。そこに、少しずつ謎が明かされてきた、と言うか、謎が深まってきた、という感じでした。そこに、『黄昏色の詠使い』の用語がどんどん絡んできたから、大興奮やら大混乱やら、と言う巻で。

用語自体は、3巻で「アマリリス」が出ていて、「この作者、アマリリスが好きなのかなぁ」みたいなことを感想で書いた記憶がありますが。そこに、「ジルシュヴェッサー」「黄昏竜(アーマ)」そして、決定的なのが「keinez(赤 の歌)」。さらに、術式に色があったこと。次回予告に「空白(わたし)を追いかけてきてください」という言葉があったこと。と言う事は、この世界は『黄昏 色の詠使い』と何らかの関わりがある、というのは確定かと思います。それが、パラレルワールドなのか、未来なのか(過去ではないと思います)というところ の判断はできませんが。『黄昏色の詠使い』ファンとしては、いやがおうにも食いついてしまいました。

 

そして、4人目の仲閒が加入。これで、仲閒は打ち止めかな?という感じがしますが。で、相変わらず、この作者の描く人物は、みんないい人過ぎるw候補生能力としては、中の下か、下の上と言われたヴァイエルですが、彼の信念がかっこよかったです。ひねくれ者だなぁwと思いますが、やるときはやる!という感じが良いですね。あと、優しいのですが、その優しさを素直に出すことができないところとかwモニカ、華宮がシャルティスと出会って変わっているように、このヴァイエルも仲閒たちから影響されて、変わっていくのか、と言うのが今後の見所かな、と感じました。

シャルティス、ユミィの課題は。シャルティスの「仲閒と一緒に戦う方法の習得」というのは何とかなりそうな気がしますが、ユミィの「今よりも強くなる」というのが、かなり困難な予感。ただ、彼女の場合は、自分の沁力の使い方を見極められていない、と言うところが大きいような気がするので(それ故に、沁力の形が「花のつぼみ」なんでしょうし)、前作のクルーエルさんの例を考えると、気づくことで一気に力が開花する可能性も高いような気もしますね。彼女の開花を促すために、ツァリ(まさかあの子だったなんて∑(゜∀゜)/)によって、1000年前、氷結境界が結ばれる前の世界を見たユミィ。そこで自分の無力を知り、強くなろう、と決意した彼女がどう変わっていくか。非常に楽しみです。もしかしたら、シャルティスとユミィがふれあうときも、そんなに遠くないのかな?と思ったり。

そして、いろいろな謎も沸いてきていますね。エリエが出会った紗砂という少女。シャルティスが持つ、イリス。ユミィが見た、1000年前の世界にも2人が居ました。と言う事は、紗砂もイリスも1000年前の人(デバイス)? イリスは元々機械なので、それはまぁ不思議ではないかも知れませんが(1000年前、「ミクヴァの機神」と呼ばれる人形兵器であったのに、と言う疑問はおいておくとして)、紗差は間違いなく人間であるはず。その紗差が1000年後の世界に現れた意味とは。

それと同時に、3巻の敵であったマハの仲閒であるイグニド。シャルティスのことを深く知っているような感じでしたが、彼は一体何者なのか。彼が所属すると思われる統制庁は一体何を考えているのか、これも気になるところです。

 

話的には、あまり動いていませんが、今後、怒濤の展開に向けての助走は十分、と感じました。5巻では、統制庁への遠征になると思われます。そこで何が起こるのか。後書きに書かれた「空白(わたし)」とは何者なのか。シャルティスがどう関係していくのか、非常に気になる展開であります。5巻は12月の予定のようですし、非常に楽しみです。

 


 
 

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