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テルミー2 きみをおもうきもち/滝川廉治 [集英社]

前作よりだいぶん間が空きましたが。その分完成度も高く、非常に満足できるないようだったと思います。


事故で亡くなった二十四人のクラスメイトの最期の想いを背負う少女・テルミー。
事故を免れた少年・清隆と共に、テルミーはクラスメイトたちの願いを叶えるため、その身に宿った彼らの能力を支えに、走り出す。
薔薇を育てていた少年が伝えられなかった想いを届けるために。
主演女優と脚本家の2人を失った映研部にもう一度映画を作る喜びを思いだしてもらうために。
悲しみとやさしさが奏でる物語、第二章をあなたに贈ります。(裏表紙より)


帯でベニー松山氏が「こいつら、『成長』しているっ!」とコメントを寄せていますが。作品としてもかなりの素晴らしいものとなっているように感じます。名作として、成長しているのかな?とは言い過ぎでしょうか?

2巻では、三人の想いを届けるため、二つのエピソードが描かれます。あらすじにもあるように、一つが薔薇を育てた少年の想い。もう一つが映研部に少年少女の想いです。薔薇を育てた少年の思いもよかったのですが、今回特によかったのは、映研部の話だな、と思いました。

誰かの心残りになった想いを届ける、ということになると、一番最初に思い浮かべてしまうのが、伝えられなかった好きだという気持ち。あるいは、この世に残してしまう愛する人への想いだと思います。これが、薔薇を育てた少年のパターン。ところが、この物語のいいところは、それだけで終わらず、大切だった仲間を思う気持ち、というのもあることです。これが、映研部のパターンです。

大切な仲間を失ってしまったために、全てに対して無気力になってしまった少年。それが、テルミーが伝える想いによって自分の本当の気持ちに気づいて、立ち直る、というのは読んでいて心が震える感じがしました。胸に静かにしみ入るような、それでいて心が温かくなるような。そんな感じで。そして、この立ち直りというのが、作品のもう一人の主人公である灰吹清隆の立ち直りの過程をなぞっていた、という事実が、物語をよりいっそう感動的にしていたように思います。

1巻の感想でも書きましたが、この物語は、死者の思いを届けることで、生者が立ち直るキッカケを得る、そんな前向きなものだと今回も感じました。そして、だからこそ優しい物語であり、感動できる物語であると思います。文章も、若干「臭さ」を感じる部分もありますが、それすらも優しい世界を演出する一部である、と感じさせてくれました。

サブタイトルが「きみをおもうきもち」です。そのサブタイトルどおり、大切な人を強く「おもう」気持ちが伝わって来ました。愛おしい、素敵な作品です。

ラノベの中ではひと味違った作品ではありますが、ラノベだからこそ、といえる作品でもあると思います。こんな作品が出る限り、まだまだラノベの可能性は広がるのではないか。そう感じさせてくれる作品でした。続きは未定のようですが、是非とも期待したいと思います。


テルミー 2 きみをおもうきもち (集英社スーパーダッシュ文庫 た 10-3)

テルミー 2 きみをおもうきもち (集英社スーパーダッシュ文庫 た 10-3)

  • 作者: 滝川 廉治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/07/22
  • メディア: 文庫



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『カンピオーネ! Ⅸ 女神再び』/丈月城 [集英社]

最後の王復活のために暗躍するものたち。それを阻止しようとする女神。それが叶わない,と悟った時,女神は護堂と決着をつけることを望む。あくまでも戦いを拒む護堂だが,強力な力を全開にし,女神は決着を望む。遂に,二人の因縁に決着がつく時が来た。

カンピオーネ! 9 女神再び (カンピオーネ! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-9)

カンピオーネ! 9 女神再び (カンピオーネ! シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫 た 9-9)

  • 作者: 丈月 城
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/03/25
  • メディア: 文庫

だいたいのあらすじは,最初の文章で。

いよいよ『カンピオーネ!』もクライマックスに入ったか?と感じさせる巻でした。いよいよ,この世の最後に顕れる王・アーサーの名前が登場。全ての神殺しを滅ぼす宿命の戦士・アーサー。彼が眠る地は,日本。アーサーが復活しては,草薙護堂が真っ先に打ち倒されてしまう,と言うことでアテネが阻止しようとしたのですが。そこに立ちはだかるのが,湖の騎士・ランスロット。

この巻は,とにかくバトル全開。いきなり,アテネ対ランスロットから幕を開けました。今までと違い,おのれの持つ権能を奮い戦う二人のバトルは読み応えが十分でした。一発一発がすでに超必殺技。お互いの全力で戦う姿が面白かったですよ。

この後,自分の死の時期を悟ったアテネが護堂と決着をつけようとするのですが。護堂も力を上げていることが実感できる戦いでした。と思いきや,まさかの護堂とアテネがタッグを組んでのランスロット戦。そして,アテネとの最後の戦い。このあたりに到っては,一体どうなってしまうのだろう,と続きを読む手が止まりませでした。いよいよ,アテネとの決着がついてしまうわけですが。個人的に,護堂とアテネがシリーズ最後の戦いになるのではないか,と思っていたので,ここで決着がついてしまうことに関しては,若干の物足りなさを感じてしまいましたが。終わりはあっけなかったですが,これはこれで綺麗な終わり方だったような感じがします。アテネと護堂の間に絆が残ったことに,嬉しいものを感じます。

個人的には,怒濤のバトル展開に目が行ってしまったのですが。忘れてはいけないのが,ハーレムの進展。祐理とリリアナが「ダメだこいつら・・・早く何とかしないと」的な展開を迎え,ますます親密度が増していることを感じさせてくれた中で。一気にブレイクしたのが,なんと恵那。普段は女性らしいそぶりを見せなかった彼女が,遂に護堂に迫る時。これは,もう我慢した護堂が偉いとしか言いようがないw危うく,エロノベルになるところでした。いや,十分にエロかったですがw文字だけ見たら,どう見ても挿入シーン,とかですねwそして,そんな中,護堂がいよいよ覚悟を決めた,と言うのも見逃せないポイントでしょう。今まで,そんな年じゃないから,と言う理由で欲望に抗ってきた護堂が,その本当に気づいた。と言うことは,その高みに登る時が来た,ということでしょう。つまり,ラストバトルが近いことの証なのかな?そんな感じがしました。その覚悟の一端が,今回新しく編み出した力,ということでしょう。

今回は,エリカは少しおやすみ。と思いきや,良いところで登場。流石は,メインヒロインです。護堂のために,リリアナと新しい力を手に入れるために動く二人ですが。アーサーが復活した時,その力をふるう時かも知れません。

ところが,アーサー復活のシリーズになるのかな,と思わせつつ,気になる点もあります。まず,サルバトーレ・ドニの願い。このまま,彼と護堂の決着をつけないまま終わるとも思えませんが。何より,最強の鋼であるアーサーを前にして,ドニが黙っているとも思えません。一体どんな形で参戦してくるのか。気になるところです。

そして,もう一人。あの存在が一体何を企んでいるか分からないだけに,動向が気になります。

ここに来て,まだまだ盛り上がりを見せるこのシリーズ。ますます目が離せなくなってきました。

 


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『テンプテーション・クラウン』/雪野静 [集英社]

記事にするか悩んだのですがw今週は全然記事を書かなかったので記事にすることにしました。そんなんで良いのかw

テンプテーション・クラウン (集英社スーパーダッシュ文庫)

テンプテーション・クラウン (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 雪野 静
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 文庫

この世界に墜ちた神や悪魔を身に宿し,その力を行使するもの・選定者。高校生・アキトは,ある日悪魔・ゼファをその身に宿し,選定者になる。しかし,ゼファの力は魅惑。その力自体はとても弱かったのだが。 しかし,その「自分の周囲で最高の力を持つ選定者を基準にして機能する,という力によって,アキトは「王冠」と呼ばれる最高の力を持つ選定者・ルヴィを虜にしてしまう。さらに,恋に落ちたことで腑抜けたことを快く思わなかったために,アキトを囮にルヴィを目覚めさせようとした「王冠」彩姫まで虜にしてしまう。二人の選定者に惚れられ,一緒に生活することになったアキトだが。東京に「魔王」と呼ばれる王冠の選定者が訪れる……。

 

『逆理の魔女』の作者の新作。とはいえ,『逆理の魔女』は読んでいないのですが(^^ゞそこそこ評判も良かったので,読もうと思いつつ今に到っている感じですが。と言う訳で,はじめて読んだ作者の作品ですが,落ち着いた物語に面白い設定が乗っかって非常に良い作品だったと思います。イラストも雰囲気に合っていて,大変素晴らしかったですしね。表紙のルヴィ先輩が可愛くて辛いw

この作品の主人公,かなり特徴的だなぁ,と思いました。普通の世界と見せかけて,悪魔や神が人間のみに宿ると言う世界。そこで主人公のアキトが手に入れた力,と言うのが,ただ相手を惚れさせる,と言うだけの力。ただ,「自分の身の回りで最強の力を基準に」という設定があるため,主人公と同じ学校に通う「王冠」と呼ばれる力を持つ少女に好かれることになります。主人公がなぜか好かれてハーレムを築く,と言う作品は多いですが,設定でうまく説得力を持たせた感じですね。そして,主人公の力が最弱,と言うのもおもしろいと思います。こういう作品だと,主人公が神の力を身にまとい,ってのが多いと思いますが(ルヴィの力なんて,主人公が持っていてもおかしくないと思います)。ところが,あえて惚れさせるだけ,としたところが挑戦だと思います。

主人公は最強の力を持つ少女たちに惚れられるため,それを快く思わないものたちに人質に狙われたり,命を狙われたり。しかし,主人公は自分の身を守る力を持たないために,少女たちを頼ることしかできない。何とも頼りない主人公ですが,そこが逆に良いかなぁ,と思いました。最後には主人公にも見せ場がありましたし。

世界観も好きです。独立企業の設定や,選定者という設定。一見すると,普通の社会に見えて,その実現実とは異なった世界,と言うのが非常に興味深く感じました。

キャラクター設定もなかなか好印象。ハーレムものにおいては,主人公は相手が自分に惚れられていることに対して,朴念仁と言うよりも,石かなんかじゃなかろうか?ってくらいの鈍感さを発揮しますが。この主人公は,自分が相手を魅惑する能力を持っている,と分かっているので,惚れられていることに対して自覚的です。まぁ,相手が素直に気持ちを打ち明けてくる,と言うのもありますが。しかし,それは自分の魅力ではなく,自分に宿った悪魔の力によって起こっていること,と分かっています。それ故に,相手に対して,誠実であろう,とする姿勢が非常に好印象。自ら一歩引いている感じです。主人公が片思いをしている,と言うのもありますが。

そして,主人公を好きになる3人。一人は物語に絡んでくるので伏せておきますが。二人ともそれまで他人を好きにある,と言うことがなかったので,恋愛に関してはずぶの素人。しかし,主人公に好意を抱いてしまったために,それまでの自分が大切にしていたものを脇に置いてまで,主人公に振り向いて貰おう,とするところが,ヒロインたちの魅力を引き出していて良かったです。もう,ルヴィ先輩の不器用さとか,凄く可愛らしかったです。ロボットっぽいかなぁ,と思うところもありましたがw

物語は,これから,と言うところで終わりを迎えますが。巻数表記もないですし,つぎに続くか全く分からない状態なのかな?売れたら,次も,という感じなのかも知れません。ただ,続きが気になりますし,ゼファがアキトから離れた時,果たして3人は一体どうなるのか,と言うのも気になるので,続きに期待しています。


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『はるかかなたの年代記 2 荒ましき驃騎兵(ユサール)』/白川敏行 [集英社]

1巻の感想書いていると思ったら,書いてなかったでござるorz

自らが現在失われてしまった3つの<換象>の一つ,<運命改変>の能力者であり,精神に「チョールト」と呼ばれる存在を抱える少年・マミヤユウ。彼は,学園で出会い,世界最後の人造人間としてその力を狙われている少女・カティアを守ることを決意した。
秘密を秘めたままであるものの,生徒会長のアレットの手ほどきのおかげがあり,換象の能力を伸ばしていた。そんな中,アレットの気持ちもだんだんユウに傾いていき……。一方のカティアは,自分の出自故に,ユウを遠ざけるようになっていき。そんな中,再びカティアを狙って,動き出すものが……。

 

この作品のおかげで,とある方と感想を交わすようになった,大切な作品です。

1巻を読んだ時は,「なんだか『黄昏色の詠使い』みたいだなぁ」という印象を受けた本作品。ファンタジーの世界観。<換象>という能力が色で種類分けされていること(こちらは全部で10色+失われた3色みたいですが)。淡いイラストの雰囲気などがあったのですが。ただ,ここに来てこの作品らしさが見られるようになりました。そして,この作品らしさが,凄く好みです。

まず,世界観。異世界ファンタジーですが,ヨーロッパ方面をモチーフにして世界を作り出したんだろうなぁ,という感じです。なので,そこら辺を意識すれば色々見えてくることもあるのかなあ,という感じがします。私は,地理が苦手だったので,イマイチよく分からないのですがwそして,人造人間のカティアを巡って,それぞれの世界の思惑が絡んでくるのはなかなかうまかったと思います。国の思惑が絡むのも,カティアのことだけなので,背伸び,という感じもないんですよね。そして,世界の思惑を入れることで世界観に奥行きができているのではないかと感じます。

そして,この作品,何が売りかと言われたらラブストーリー部分ではないかと思います。ラノベでラブストーリーと言えば,ラブコメ(あるいはエロコメ)が全盛ですが。純情な恋愛を描いていることに好感を持ちました。ラッキースケベなシーンがないわけではないのですが。ただ,それが気にならないくらいにそれぞれのパートが良い!

主人公のユウは,一見すると女性に見えるタイプ。守ってやりたくなるタイプのようで,生徒会長のアレット,学園教師でカティアの付き人のグロリア,そしてカティアの3人から好意を寄せられている模様。ラノベでこうなると,「ハーレム」となりそうですが,そんな事もなく。今のところは,アレットが積極的に行動に出て,ユウとの仲を深めているように思います。

で,生徒会長がまた可愛いw女性キャラ全体的に可愛いですが,ユウに対する接し方。優しい態度。で,意外に大胆なところ。ユウに対して不器用なところ。そういうところが凄く好みです。デートシーンも良かったですしw今のところ,本作一番のお気に入りキャラかも知れません。彼女とユウとの相性の良さもあり,今のところ,他の2人に比べ一歩ぬきんでている感じですが,果たしてどうなるか。ただ,彼女の涙だけは見たくないですね。

グロリアは今回,ユウに対しての感情が芽生えたようで,その感情が愛情へと変わっていくのか,庇護欲になるのか,友情のようなものになるのか,楽しみです。そして,本作のメインヒロインのカティア。自分が人造人間である,と言う引け目からユウを遠ざけていましたが。仲間に恵まれたことで,自分の過去を受け入れることができそうです。そして,グロリアのユウへの感情の変化を目の当たりにすることで,ユウへの自分の気持ちに気づこうとしているようですが。現状は厳しいと言わざるを得ませんが,どう挽回していくか,期待したいです。

そして,その裏で密かに心を近づけているのが,副会長のフローラとクリス。今回,クリスは自分に秘められた強大な力をフローラに見せましたが。ただ,フローラなら受け入れてくれる気がします。こちらは,誰よりも近くにいて,という感じの恋になりそうで楽しみです。こういうのも好みなんですよねw

もう一つのメイン,バトルに関しては。主人公側があまりに強すぎるなぁ,と言う印象。ユウに関しては,<運命改変>という能力の特性上,かなりの制約を設けていますが。ただ,カティアとクリスに関しては,制約があるのか?と言う点も含め,弱点らしき弱点が見えてこない感じです。今回は,同じ学生とは言え,かなりの手練れを退けた面々。果たして,彼らと対等に渡り合う敵として,どのような集団を準備するか。今後楽しみにしたいところです。とりあえず,候補になりそうな敵の名前は出てきましたけど。

雰囲気も良いですし,恋愛関係が非常に清々しくて読んでいて気持ちがスッキリするような,それでいてどこかしらほほえましいような,そんな作品だと思います。これは,今後がますます楽しみです。


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『カンピオーネ!Ⅷ 受難の魔王たち』/丈月城 [集英社]

今回は短編集!いつもと趣が違って,熱さとエロが少ないですが,いつもと違ったおもしろさがあって大満足でした。

 

カンピオーネ! 8 受難の魔王たち (集英社スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ! 8 受難の魔王たち (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 丈月 城
  • イラスト:シコルスキー
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/11/25
  • メディア: 文庫
 
 
 
 

ある日,護堂ははとこで東京の名門女子大学に通うさくらの相談を受ける。それは,「東京にはものすごくHで女の子が好きな,恐怖の大魔王(護堂のこ と)がいるらしい。そして,自分の大学で新しく友だち(古い魔法使いの家柄)が,自分も無理矢理愛人にされるのではないか,と心配してる。だから,自分が これ以上酷いことしないで,とお願いしたい。だから,恐怖の大魔王を探すのを手伝って」とのこと。さくらに協力して,自分を捜索する手伝いをすることに なった護堂は・・・・・・。他,エリカとリリアナがクオレ・ディ・レオーネとイル・マエストロを手に入れたときのお話や,アレクとプリンセス・アリスが聖 杯を求めるお話も。

 

今回は,短編集と言うことで,護堂の方は戦いが無し。まつろわぬ神との熱い戦いや,ちょっとエロイシー ンもなく,その点を期待すると,肩すかしを食らうかも知れません。とはいえ,護堂の日常の話や,サルバトーレ・ドニがカンピオーネになったばかりのお話。 さらには,アレクが聖杯を求めてまつろわぬ神との戦いをする話があり,色々楽しめました。たまには,護堂以外のカンピオーネの戦いの話を読むのも良い なぁ,と感じました。まぁ,惜しむらくはお姉様の戦いが無かったことでしょうか?w

それぞれのエピソードの感想でも。まず,護堂の話。自分 では「普通に」「平和に」生きているつもりの護堂ですが,周りの評判は,護堂の思うものとどんどん乖離しているのが面白いなぁ,と思いました。もっとも, 護堂の自分に対する評価の根拠が全く分からないのですが。カードゲームに興じているときに陸鷹化,甘粕,馨の3人の感想が,普通の人のもつ感想でしょうね w

そして,自分で願っているわけでもなく,さらにまつろわぬ神と戦ったわけでもないのに,新たにハーレムのメンバーを増やす護堂さんは,も うさすがと言うしかありませんでした。もう,ココまで描かれると逆にすがすがしいです。一体,ハーレムはどこまで増えるんだろう,と言う気がします。

護 堂パートでもう一つよかったことがあります。それは,リリアナ。7巻での護堂との駆け引きを経て,今までとは違い,余裕,落ち着きを得た彼女。その余裕が 彼女の魅力を引き出していたように思います。的確にサポートし,助言し。時には気配りが見えて,まさに魅力的な女性だなぁ,と感じました。これでエリカ, 祐理,恵那と戦える!という感じがしました。

ドニのお話。これは,エリカとリリアナが12歳の時,それぞれがクオレ・ディ・レ オーネとイル・マエストロを手に入れるまでのお話に含まれているのですが。あの方,昔からあんな感じで飄々という感じだったんだなぁ,と思いました。 まぁ,普段はそれこそ阿呆のようにしているのに,戦いになると神の権能を奮う鬼神となる,と言うところがサルバトーレ・ドニと言うカンピオーネのいいとこ ろだと思いますが。しかし,あまりに適当すぎてwあまりのこちらのインパクトに,エリカとリリアナの影が薄くなっていたような気がしました。とはいえ,こ の機会を生かして,獅子と匠の双剣と,魔術の奥義を手に入れる2人は,もうさすがと言うしかありませんでした。

アレクの話は,これが一番本 編に近い感じでしたね。実際,彼はミノタウロスとの戦いが描かれていましたし。本編でも語られていたことですが,彼もさすがはカンピオーネというか,一筋 縄ではいかないようで,そこが面白いなぁ,と感じました。そして,特筆すべきはプリンセス・アリスとの相性の良さ!腐れ縁の中で培われてきたお互いの理 解。そこから生み出される相手との会話。読み合い。掛け合い。この辺が非常に楽しかったです。そして,さすがはカンピオーネと言うべきか。ひとたびまつろ わぬ神と対峙すれば,権能を発揮して戦うアレクがよかったです。アレクは二つ目の権能がちょっと凶悪すぎますねw

さて,短編集で はありましたが,次の巻の引きも忘れられていません。次回の舞台は学園祭。そして,現れるまつろわぬ神は,あのビッグネーム。あとがきによると,キーワー ドは「円卓の騎士」「伝説の剣」「最後の王」と言う事です。もうおわかりですねwただ,本編の「戦い疲れた英雄の姿」というのが非常に気になるところ。湖 の騎士を守護に付けた,グィネヴィアを名乗る魔女が求めているのが「最後の王」と言う事ですが。意味深で興味深いです。この戦い,アレクが絡んで来そうな のも楽しみです。

あと,気になるのは最後の王を倒して,その権能を手に入れるのが誰か,と言う事。伝説の剣をもし鋼の軍神ウルスラグナの権 能を持ち,天叢雲剣をもっている護堂が手に入れた場合,まさに鬼に金棒というか,「ぼくがかんがえたさいきょうのえいゆう」状態になってしまう感じがしま す。とはいえ,ウルスラグナの権能を全て出てしまいましたし,新しい権能を手に入れるのには絶好の状況。「最後の王」にして「最強の鋼」たる彼を倒して, 護堂が「最強の鋼」の座を手に入れるのか気になります。横から,アレクがかっさらっていく,と言う可能性も捨てきれないだけに楽しみです。ただ,これを手 に入れるとしたら,サルバトーレ・ドニが最適な気もしますけどもw

ちょっと一休みを挟んで,一体次はどんな激しい戦いが繰り広げられるか。そして,護堂さんはどんなプレイを繰り広げるのか。後書きの感じからして,再び前後編となりそうな予感がしますが,楽しみです。


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『二年四組交換日記 腐ったリンゴはくさらない』/朝田雅康 [集英社]

第9回SD小説新人賞佳作受賞作。読書メーターで知り合った方が,おすすめしていたので読んでみました。

二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)

二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 朝田 雅康
    イラスト:庭
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: 文庫

私立伯東高校。個性的な子どもが集まりすぎた二年生で,その問題児ばかりを集めて作られたのが二年四組だった。そして,クラスの委員長となった少女は,その強権を発動し,「クラスの心を一つにする」という名目の元,交換日記を開始する。その交換日記は,誰が書いたか分からないように細工され,また,交換日記の中でクラスメイトはニックネームを与えられ,それで呼ばれることになる。その日記の中で,恋がはぐくまれていたり,事件が起こったり。果たして,二年四組は思惑どおり,一つにまとまることができるのか。

 

この作品の一つの特徴が,二年四組の生徒35人の名前がはじめ伏せられていることです。読者に与えられるのは,最初の三つ折りカラーページに示された生徒の顔とニックネーム,所属のみ。名前は,本編の中で少しずつ明かされていくので,読者はその名前を,ニックネームに当てはめていきながら,読み進めていきます。作者が言う,パズル要素ですが(ミステリと言うほど大げさでもないです)がなかなか楽しい作品だったなぁ,と思います。このパズル要素ですが,副委員長みたいに簡単に分かるものもあれば,アナウンサー&解説者,三馬鹿みたいにちょっと分かりにくいものがあり,適度に歯ごたえがありました。ただ,名前を当てはめながら読んでいくのは,ちょっと集中力が途切れるし,時間が他のことに取られるかな,と言う思いもありました。この辺をどうとらえるかで評価も変わると思います。

ストーリーの方は交換日記と言うことで,クラスメイトの日常を描いて行く,と思いきや,とある出来事から,全員を巻き込んだ一大事件に発展していき,その事件の解決までを描く事になっていきます。ただ,その事件が強引かな,と言う気がしました。と言うか,高校生の範疇越えているよ,と言うか。ライトノベルにリアリティを求めるのはナンセンスだと思いますが,割と日常の世界の物語を描いているので,その辺のギャップが気になったかな?と。とはいえ,物語を盛り上げるなら,あのような大きな事件にしなくてはいけなかったのかな?と言う気がしました。この辺,ジレンマかな。

それと少し気になったのが,せっかく交換日記で語る,と言う形式を取っているにもかかわらず,全員が全員同じ方向を向いているために,一つの事件に対して多面的な目で見ていく,と言う展開に必ずしもなっていない,と言うところでしょうか。ある生徒がこうしているとき,別の生徒はこんな事をしていた,と言う視点が持てていないのはもったいなかったなぁ,と。ただ,この辺は本当は裏ボスに書かせる,と言った感じにできたら良かったのかも知れませんが,裏ボスの特徴故それができなかった,と言うのがあるのでしょうね。この辺もジレンマ。

個人的にいいなぁ,と思った点は,最後はあれほどの大きな事件を扱いながら,それをきっかけとして,誰かが誰かに好意を抱いている,とか,誰かの好意が気づいてもらえるように,と言った恋物語にしているところです。確かに大事件でしたが,高校生にとってはそれよりも身近な恋の方が重大事,だと思うのですよね。事件を通して気づく自分の恋心や,クラスの全員が一人の恋心を応援しようとしている様子とか,非常に微笑ましてくて,羨ましいなぁ,と思いました。

投稿作にして,パズル要素を取り入れた,と言う実験性が評価された作品だなぁ,という思いがあります。ただ,それが楽しめないと,おもしろさが半減かなぁ,と言う気もします。本文は勢いはあると思いますが,事件は突拍子もないので。

面白いアイディアだったと思いますが,この作者にとって勝負は次回作でしょうね。この二年四組の続編を描くとすると,一体どのような作品に仕上げてくるか,と言うのが問題になるでしょう。また,今回,ああいう事件を扱って果たして次回何を扱うのか,と言う問題もあるかなぁ,と思います。ただのラブコメになりそうな恐れがあると思います。

別の作品を描くとして,同じ手は使えないわけですし。新しいアイディアを盛り込んで,読者を巻き込んだ物語にするのか,それとも普通の作品として勝負するのか。とにかく,本当の作者の力量が試される事になると思います。さて,どんな物語を紡いでくるか,楽しみにしたいです。

 


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『ねがいプラス!』/横山忠 [集英社]

何となく、部屋に転がっていたので読んでみた本です。

 

ねがいプラス! (集英社スーパーダッシュ文庫)

ねがいプラス! (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 横山 忠
    イラスト:夕薙
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/08/25
  • メディア: 文庫

 

 

 

超セレブばかり通う名門校・朱王寺学園に、なぜか入学してしまった一般庶民・武儀空人。彼が寮の部屋で美少女ゲームをプレイしていると、「こういうのが好きなの?」とボンテージ姿の悪魔・ラプラスが現れる。
彼女は自分が楽しむために、武儀にゲームどおりの恋愛をさせてあげる、しかもハーレムルート、と言う。
それによって、自分が関わりを得られるようになった彼。しかし、ハーレムルートを目指すには、ゲームどおりの展開をしなくてはならずに。

 

設定自体はおもしろいと思いました。ラプラスの魔力によってゲームと現実世界がリンク。ゲームで現実世界の予習ができ、ゲームの攻略ルートどおりに現実も進めたら、ハーレムルートへの道が開ける。しかし、それ以外の道を選ぶと、バッドエンド一直線。しかし、プレイできるのは、次の日の分まで、と言う制約があるのがいいと思いました。そのため、すぐに結果が出る選択ならば、間違わずに選択できるけども、結果が先にならないと分からない選択(今回だと、デートの約束を数日前にして、日曜日にデートをする場合)は、その前日まで自分の取った結果が分からない。そのため、ゲームで最善の選択を全て知ることはできず、自分でも考えて選択しなくてはいけない、って言う感じになっています。

また、ゲームどおりに選択を進められれば、ハーレムルートに進める、と言うものの、そのタイミングがシビア、と言うのもまた面白いな、と。たとえば、一人の少女と出会うためのイベントですが、彼女が乗る車にはねられそうになる子どもを助け、自分が車にひかれなくてはならない。しかし、早く助けすぎると、車はそれを躱してしまい、イベントが起こらない。と言うように。また、ハーレムルートは難易度が高いのか、一歩間違えると即死級のイベントばかり、となっています。正直、ミサイルを躱すとか無理だろう、と思いますが、そのために主人公が真剣になる、ってのはなかなか。

ただ、気になる点も多々ありました。まず第一に、説明不足なのか、説明力が足りていないのか、はたまた私の読解力が足りないのか分かりませんが、このラノベの設定部分に関する説明のシーンが決定的にわかりにくい、と言う事。「ゲームと現実がリンクしており、ゲームで起こることは現実でも起こること」という部分なんか、全く分からずに、読んでいて何となく把握してきました。もう少し、ここら辺わかりやすくして欲しかったなぁ、と。

2つめに、キャラに魅力を感じなかったこと。主人公の行動原理は、変態的すぎてちょっとなぁ、という感じですし。キャラが薄っぺらく感じました。ハーレム目指す理由も、男の夢だから、みたいな理由でしたが、顔以外で好きなところあるの?って感じですし。女性キャラも可愛いとは思えませんでした。唯一の例外がラプラスくらいかな?考えると、ラプラスは自由奔放なところとか描かれていますが、ハーレムルートに入るメンバーについては、それがなし。キャラを好きになるのって、日常の一コマでの何気ない場面の積み重ねが重要だと思うのですが、それがほとんどない、と言うのがですね。今回、ヒロインの一人は自分が命を狙われているところを助けて貰って、主人公に惹かれる、というのはまだ分かるのですが、そればかりで。最後も、自分の宿命を主人公が助けてくれた、みたいな感じですが。主人公の意外な一面とか、だらしないところを見て、ほっとけない、とかあれば良いんですが、それがなかったのがなぁ、と。この辺、本編が240ページ程度しかなかった影響かも知れませんが。

 

まぁ、こんなものかなぁ、という感じで、面白いなぁ、と感じる部分はあったものの(最後のトリックとか)、それ以上に気になるところが多すぎて、イマイチのめり込めませんでした。次の巻が出ても、読まないかなぁ、という感じで。何か、非常にもったいない感じがしました。


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『テルミー きみがやろうとしていることは』/滝川廉治 [集英社]

と言う訳で、今日のライトノベルはこちらです。

テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)

テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 滝川 廉治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 文庫

帯には、『ベン・トー』シリーズのアサウラさんの推薦文付き。しかし、その推薦文を帯の折り返しの部分に書いちゃ駄目だろう、とw文字数多くて読みにくいし。ただ、この推薦文、「本来は何でもアリなのがライトノベルというものです」の部分には激しく同意します。最近のライトノベルって書かれているように「=ラブコメ」ってところが多すぎる気がするんですよね。もう少し、自由にやって良いのではないか、と思う。

閑話休題。さて本作、どんな作品かというと。

とある高校の修学旅行。その道で事故に遭い、1クラス、24人が亡くなります。助かったのは、ふたり。事故にあったものの、不思議な力でかろうじて生き残ることができた少女・鬼塚輝美。そして、たまたま修学旅行を欠席したことで事故に遭遇しなかった少年・灰吹清隆。死の間際のクラスメイトの願いを心に受け入れた輝美は、クラスメイトの最後の願いを叶えるために行動する。そして清隆は、それを手伝うようになっていく。

読み始めたときは、ちょっと前話題になった死のモラトリアムとか思い浮かべましたが、全然そんなことはなかったですね。描写は淡々と、「これ、また文学作品を意識したライトノベルか?」と思いました。印象も、それに引きずられてか、淡々とした印象を受けましたが、「凄く優しい物語だな」とも感じました。「おもしろかった!」という爽快感はないですが、心にしみてくる物語だと思います。

最初に読み始めたときは、不安も感じたのですけどねw

「この物語には、二十六人の高校生の男女が登場する。
当然のようにこの物語は、二十六人の死と青春を描くものになる。

そしてこの物語は、必ずハッピーエンドを迎える。
なぜなら、この物語は始まりの時点で最も悲惨で、最も間違った状況だからだ。
彼らのうちの二十四人は、物語の始まりと同時に死亡している。(P.11)

これで始まりですよwそりゃ、「久しぶりに、地雷かな」と思うってものですよwなにが、「当然のように~死と青春を描くものになる」の?ってことですよwとはいえ、地雷は地雷で楽しむべきところはあるので、楽しみに読み進めていったのですが。あれだったのは最初と一部だけで、結構楽しめました。

この物語、何が良かったかというと、「最後の願いを叶えることが、残された人の救いになっている」というところですね。残されたものの最後の願い、と言うとやはりあれを思い出すのですが、あれはあくまでも死後の世界。思い残したことをかなえる場所、と言うことで、結局は個人の願いにとどまっているんですよね。他者はあまり関係ない、と言うか。それが悪いと言いませんが。

しかし、この物語の世界は、生者の世界。残されたものの世界。そこで、死んでいったクラスメイトの最後の願いを叶える。最後の願いを叶える、という部分は、個人の願いで、他者に関わりがないように思えます。最後の願いが「母親の幸せ」というものもありましたが。それでも、最後の願いを叶えることで、残された人が救われる、と言う感じのものもあり、それ故に優しい物語だ、と感じたのだと思います。物語の冒頭に書かれている「ハッピーエンド」というのは、読んでいるときに強く感じませんが、読み終わって物語を振り返ったときに、「ハッピーエンドだったなぁ」そうしみじみ思える物語でした。

わずか231ページの物語。他のライトノベルよりは文字数が詰まっているwのですが、それでもさらっと読めるのではないかと思います。しかし、その短い中で素晴らしい物語が紡がれていると思いました。いや、この物語は素晴らしい。心の底から「好きだなぁ」と思えます。

派手さはないですし、物語の仕組み的に「ライトノベル」というジャンルでなくても良い作品だと思いました(重松清さんの『流星ワゴン』と似たような状況設定だと思いますし)。この作者が、一般の方に転身したとしたら、間違いなく集英社文庫から再出版されると思いますしwただ、こんな本が「ライトノベル」というジャンルで出されたことが、おもしろいですね。ライトノベルの懐の深さを感じさせてくれるというか。「ライトノベル=ラブコメ」「ライトノベル=学園もの」が主流となっている現状において、「ライトノベル」に閉塞感があると思います。ライトノベル原作のアニメの感想で、「似たような感じ」とか感想も見られますし。しかし、こういう作品が出てきたことで、この閉塞感を打開してくれるのではないかと感じました。でも、売れないんだろうなぁorz

心に優しいものを残してくれる、そんな素敵な物語。読んでみませんか?


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『カンピオーネ!Ⅶ 斉天大聖』/丈月城 [集英社]

久しぶりに、ラノベの感想です。例のあれ以来?な感じです。

と言う訳で、『カンピオーネ!』の7巻です。

カンピオーネ! 7 斉天大聖 (集英社スーパーダッシュ文庫)

カンピオーネ! 7 斉天大聖 (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 丈月 城
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 文庫

 

神話をベースにした、ハーレムバトルラノベ(勝手に今ジャンル付けしたw)の最新刊。私が集英社スーパーダッシュ文庫で一番好きな作品であります。この作品の売りと言えば、主人公・草薙護堂の気づいていくハーレムと、神殺しの力を持つ護堂と神話の神々との戦い。今回の敵は、「斉天大聖=孫悟空」。三国志(9/14 指摘を受け訂正をしました。お恥ずかしいミスです。ご指摘、ありがとうございました)西遊記でおなじみの彼との戦いでした。もう、毎回思いますが、楽しくて仕方ないですね。

では、それぞれのパートに分けて感想を。まずは、ハーレムパートから。この作品の凄いところは、普通だったらそろそろハーレムの拡大を止めそうなところなのに、全然手を抜かないところw「さすが護堂さん。おれたちにできない事を平然とやってのけるッ そこにシビれるあこがれる!」という感じです。まずは、現ハーレム要因の4人。エリカ、、祐理、リリアナ、恵那ですが。それぞれが遂に護堂と死ぬまで添い遂げる決心をしましたwエリカはもう覚悟を決めていましたが、他の3人も遂に完全に落ちたwという感じで。その覚悟を迫られる、「少年」の権能を使う場面なんて、「kneg?」状態で笑いました。挿絵がまた、ねw酒池肉林というか、5Pというかw読書メーター見ていたら「気持ち悪かった」という意見もありましたが、「確かにw」と納得です。今までエリカの後塵を拝してきた祐理、そしてさらにその後塵を拝してきたリリアナですが、この決心でどこまでエリカに迫れるか、そこが見物だと思いました。

そして、ハーレムの囲い込みを強固にするとともに、新たにメンバーの選定に余念がないのが護堂さん。まさに、「そこにシビれる!あこがれるゥ!」ですw6巻の戦いでその予兆が感じられたカンピオーネの羅濠教主。そして、祐理の妹のひかりは納得ですが。まぁ、6巻のラストで、傷心旅行で日本に来ていたので「何となく、フラグ立てるん♪じゃないかなぁ?」と思っていた、アメリカのカンピオーネ・ジョン・プルートー・スミスまで予想どおりにフラグを立てる姿には感服です。たったの2日くらいの間にw本人はその自覚が全くないところが、さらに笑えました。

今回、特に良かったのは、なんと言っても羅濠教主でしょう。戦えば武林の至尊として、すさまじい実力を誇る彼女ですが、今まで武芸に邁進しすぎたせいで、世間の常識というか、男女の関係には疎いようでw普段は、常に相手を見下した尊大なところがありつつ、しかし、護堂にはでれる、と言うギャップが最高に可愛かったです。もう、いきなり温泉に入ってきたり、桃園の誓いを結んだときはどうしようかとw「わたくしを『お姉さま』と呼びなさい」(P.119)は、非常に強力でしたwその後も、言うことを聞かない護堂をたしなめつつも、しかし優しく導こうとするところが可愛らしくて可愛らしくて。そりゃ、自分の弟子すら目に入らなくなりますよねw

ハーレムパートは、「すごいねー。もう男前すぎて、何て言ったらいいかわかんないや」(P.315)としか言いようがありませんでした。棒読みでwまぁ、でもこれでハーレムの拡大は打ち止め、だよねwまさか、プリンセス・アリスにまで手を伸ばしませんよねwあぁ、でも新キャラが出た場合は、分かりませんねw

 

で、バトルパート。毎回神話の神々との戦いが繰り広げられ、その神のルーツが明かされ、で神話好きとしては見逃せない戦いですが。今回は斉天大聖=孫悟空。三国志でおなじみのあの猿ですが、まさかの神としての登場です。しかも、かなり強力な力を持つ神として。そして、凶を為し、悪を顕す神として傍若無人の限り(ともいえないかな?)を尽くす斉天大聖の素晴らしきこと。そして、それを迎え撃つ護堂、羅濠教主、ジョン・プルートー・スミス。それぞれが持つ権能を尽くした戦いは見所満載でした。

今回の見所は、護堂の戦いでしょう。ウルスラグナの持つ10の化身の権能を全て開放し、ココで打ち止めかなぁ、と思わせていたら。今回は、新たに2つの能力を合体させたり。能力の真の権能を理解したり。権能の新しい使い方を覚えたり。ここら辺がうまいなぁ、と感じました。そして、ただそれだけで終わるのではなく、新たな相棒を獲得するのも忘れないのが素晴らしい。遂に開放されたあの力。今後、護堂の力としての活躍が期待されます。

7巻に来て、パワーダウンとか中だるみとかすることなく、ハーレムにバトルにとますますパワーアップしているのが素晴らしいですね。「そういえば、ウルスラグナ、ペルセウス、斉天大聖、鋼の神聖を持つ神ばっかり出てきているなぁ」と思っていたら、ちゃんと意味がありそうな展開になってきそうで、凄く楽しみです。次は、カンピオーネ・アレクの出番もありそうで。一体、護堂にはどんな運命が待ち受けているか、楽しみで仕方ありません。次の巻は、「まったり穏やかなエピソード」と閑話休題な巻となりそうですね。とにかく続きが楽しみで仕方ありません。


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『生徒会ばーさす ~お嬢様学園の暴君~/番棚葵 [集英社]

最近、アニメの感想を書いてないなぁ、と思う今日この頃、takaoです。ついでに言うと、最近キーボードの打ちすぎなのか、キーボードを打っていると指が痛くなると言う症状にも悩まされています。元々、私がキーボードを強く叩きすぎるのが原因ですが。困ったものです。

さて、最初の話題に戻ると、アニメ自体はとてもよく見ていて、おかげで『Gジェネレーションウォーズ』とか『プリンセスラバー!』とかが進んでいないのですが、感想を書くとなると、キャプだトリミングだ記事書きだで2時間以上かかって、最近ラクばかりしていたから面倒くさいと言う、非常にダメな理由から書いてなかったりします。うーん、来週ぐらいから、本来のペースに戻そうかなぁ、と思っています。『東京マグニチュード8.0』も始まったしね。やったぜカステラの国!・・・・・・余所様はもう8話とかやっているのにorz

と言うことで、相も変わらずラノベを読んでいました。本日の一品はこちら。

生徒会ばーさす1.JPG

まいじゃーさんのオススメ、と言うことで購入していたのですが、本日読み終えました。と言うことで、感想は追記にて。

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