告白/湊かなえ [双葉社]
第29回小説推理新人賞受賞作『聖職者』を含む一冊。評判も良かったので読んでみました。
教師の、自分の娘がこのクラスの生徒に殺された、と言う独白から始まる第一章。そこから、この事件にまつわる人の語り口で、事件についてと事件のその後について語られる第二章から第五章。そして、ふたたび教師の独白に戻る第六章の全六章で構成されています。
始めの第一章を読み始めたときは、時事ネタが挟まれていたりして「え、ギャグ?」と思ったりもしたのですが、途中からぐんぐん引き込まれ、一気に読み終わってしまいました。
しかし、あまりに黒い作品ですね。それぞれの登場人物がそれぞれの思惑で所謂悪事を働く姿は、読んでいて愉快なものではありませんでした。誰しも、原因となる感情を持つものだとは思うものの、あそこまでは極端なことはしないだろう、と思いました。小説とは言え、このような精神構造の人間が同じ教室に集まるのはすごいなぁ。
第一章と第六章の語り口に気になる部分が合ったものの、非常に面白く読むことができました。特に最後は衝撃的な終わり方でした。そして、その部分をぐだぐだ語ることなく、そこですっぱりと終わっているのがすばらしかったです。