SSブログ

ほのぼの展開から、怒濤の流れに 『とある飛空士への恋歌 2』/犬村小六 [小学館]

帯によると、「大反響!大ヒットシリーズ待望の新刊」だそうです。

とある飛空士への恋歌01.JPG

個人的に、ガガガ文庫と言われると、このシリーズと中村九郎先生の作品くらいしか思いうかびません。で、中村九郎先生は人を選ぶので、実質今の看板はこのシリーズ、ってことで良いのかな?と思ったりします。まぁ、私が読んだ『七夕ペンタゴン~』とか、読んではいないけど『恋の話を、しようか』『その日彼は死なずにすむか?』などは、そこそこ評判が良いみたいですし(完全に個人の思い込み)そろそろレーベルも充実してくるころでしょうか?最初は地雷が多くて、みたいに言われていたのが懐かしいです。

で、シリーズと言えば、ゲッサンで、『とある飛空士への追憶』のコミカライズが決まったようですね。うーん、絵を見る限り、シャルルとファナってもう少し年が上のイメージなんですが……。でも好きな作品だけに、楽しみですね。とりあえず、8月発売のゲッサンは買ってみようと思いました。

で、『とある飛空士への追憶』を見返していたら、驚愕の展開が。気付くの遅っ!ってのはなしにしてください。好きだけど、1回しか読めていないので。まさか、そう言う展開になっていたとは。気付いたときには、鳥肌が立ちました。

さて、それを含めて感想は追記です。

さて、1巻では、世界名作劇場みたいな、と書いた記憶がありますが、この巻でもその雰囲気は健在でした。最後の最後、怒濤の展開が待ち受けていましたが、そこに至るまでは、日常の話。1巻で出会ったカルエルとクレアの、学校生活での交流がメインでした。特に、今回深く描かれたのが、クレアでしょうね。1巻では、皇子であったカールが如何にしてその場を追われ、如何にしてイスラに来たかが描かれていたから、と言うことでしょうか。

読んでいくと、クレアはクレアで可哀相な人生を送ってきたのですね。で、それがあったからこそ、心を殺して、ニナ・ヴィエントを演じてきた、と言うことが分かりました。本来の彼女の姿(学校生活でのクレアの姿)を見るにつけ、こんなことがなければ彼女は恵まれないなりに幸せに暮らすとこができたのかなぁ?と少し可哀相になってきました。でも、このことがなかったらカルエルにも巡り会っていないんですよね。禍福はあざなえる縄のごとし、とはよく言ったモノです。

カルエルがクレアのことを気になっていることは前の巻で分かっていたと思いますが、クレアもカルエルのことを気にかけていたみたいですね。何というか、初々しいなぁ。人間らしい扱いを受けてこなかったクレア=ニナが、初めて人間らしい扱いを受けた、と言うのもあるのでしょうね。こう言うのもいいなぁ。で、お互いがお互いのことを意識し合い、交流を深めていく様子が何ともむずがゆい。

お互い意識し合い、確実に近づきつつある二人の心ですが、二人の間ある因縁が気になります。それは、ニナはカルエルにとって、皇子の座から引き下ろした敵の旗印であって、母親を殺した敵である、と言うこと。「元皇子カール・ラ・イールがイスラに乗り込んだかもしれないって。それもうちの高校に入学して。普通の高校生のふりしながら、ニナ・ヴィエントに復讐を誓ってる、って」(P.164)という噂を聞いて、心をざわつかせるクレアがなんだか気の毒ですね。この噂、どっから広まったんだか、とかも思いますがw

で、カール=カルエルであることを、信じたくないモノのそれが事実であることを意識しているのがまた悲しいですね。

――だって、カルエルくんが 万が一、カール・ラ・イールだったら……。

――わたしとは永遠に相容れない。(P.175)

そして、この場面。

とある飛空士への恋歌02.JPG

絵としては素敵な場面なんですけどね。会話のシーンも素敵でしたが。しかし、カルエルの言葉から、カルエルがカールであることを確信してしまうクレアが切ない。

「私を嫌いにならないで」

クレアは願い事をぽつりと呟いた。

「あなたに嫌われたくない……」

そう呟いただけで、また涙が出て来た。(P.232)

って、こっちが涙が出て来ますよ。今まで、人形のように演じてきて、決して幸せを感じることがなかったクレア。そのクレアが初めて得ることができた幸せがカルエルであり、だからこそそれを失うことを恐れる彼女の気持ちを考えると、胸が詰まりそうです。

しかし、このことに気付いているのは、クレアのみ。カルエルは幸いにしてまだ気付いていない模様。まぁ、カール時代のカルエルを見ていたクレアに対して、ニナは付け毛とかしているのでカルエルが気付かないのも当然か。気付かれたら大問題みたいだし。しかし、カルエルがクレア=ニナであることに気付いたとき、どうなるか、どんな決断をするかが非常に気になります。この点かいでいくと、次の巻あたりにそれがやってきそうですが。あ、今その展開が何となく思いうかんだw

そこでキーパーソンになりそうなのが、カルエルの義理の妹(自称、姉)のアリエルですね。ちなみに私の中では、彼女の台詞は斎藤千和さんの声で再生されますw多分、『ケロロ軍曹』の夏美に近いイメージだからでしょうか。アリエルは、自覚していないモノのカルエルのこと好きなことは明白であり、イスラではカルエル=カールであることを知っているただ一人の人間。カルエルがクレアの小隊に気付いたとき、確実にそこに関わるでしょうから、そこでどのような動きを取るか、非常に楽しみです。カルエルへの恋心を自覚して、カルエルに告白するか(「私がいるじゃない」的な告白)、自分の恋心を押し殺して、カルエル(orクレア)の後ろを後押しするか。物語を盛り上げるとしたら、告白でしょうね。うーん、今から凄く楽しみです。個人的には、アリエルも幸せになって欲しいんですけどね。

さて、この巻は上に書いたようなシリアスパート続きでなく、基本的にギャグが多いと思います。もう、先生と寮長(派遣寮長)のキャラが素敵すぎですw思わず笑ってしましました。そして、寮生のキャラもなかなか良いですしね。キャラが一気に増えすぎて、私の記憶力では名前を全部おぼえきれない&キャラを把握できないのが悲しいところですがwこういう学園パートって本当に好きだなぁ、と改めて思いました。

 

あ、ここから後半のネタバレになるので読みたくない人は飛ばしてください。

 

 

そのまま、平穏のウチに終わるのかと思ったら、ラスト6ページで怒濤の展開に。「あ、え?」という感じですね。存在自体は、最初の方にほのめかされていましたが、まさかまさか、この巻で出てくるとは思いませんでした。それは、イスラを襲う謎の敵。 カルエルたちが知っているどの国とも違う。その名も「神聖レヴァーム皇国」。って、これ、『とある飛空士への追憶』で舞台となった国じゃないですか。もう、これは『飛空士』シリーズ好きなら否が応でも盛り上がる、ってもんですよ。私?もちろん激しく盛り上がっています。もう、次の巻まだかーーーー!!!ってくらいに。作者が示していた、前作との関わりがここで出てくるとは思わなかっただけに、もう鳥肌モノですよ。この記事書く為に『とある飛空士への追憶』パラ見するまで気付きませんでしたがw

 

 

ネタバレ終了。

このまま、何もなく進むのかなぁ、と思っていただけに、敵の登場は意外なところ。と言うことは、多くの方が待ち望んでいた空戦展開を見ることができる、と言うことでしょうか。問題は、へたれのカルエルの腕が未熟すぎる、と言うところでしょうが。

1巻から2巻までの間が半年。と言うことは、次は半年後でしょうか。もう、待ちきれません。できたら、3ヶ月後くらいのリリースでお願いできないでしょうか?もう、二人の恋の行方も楽しみですし、このたびの終演に何が待ち受けているかもとても楽しみです。しかし、こんなに盛り上がるとは思いませんでした。

とにかく、今ガガガ文庫の中では、一押しです!是非ともいろいろな方に読んでもらいたいですね。まぁ、そのうち『追憶』か『恋歌』かどっちかが(あるいはどっちとも)アニメ化されると思うので、その時一気に売れそうだなぁ、とは思いますが。でも、やっぱりこの「一緒に読んでいる」って感じも良いと思うので、是非ともどうでしょうか。

 

完全なる余談。7月12日から7月17日までに買った本を何となく写真に撮ってみました。

1週間で買った本.JPG

まぁ、いろいろツッコミ所があるでしょうが、それは無視しましょうwダメですよ。『どきどき!たまタン』が2冊ある、とか言ってはwこれは、特装版があることを知らずに通常版予約していたので、特装版を買っただけですwまぁ、マンガはほとんど読み終わったので、後は小説の方ですね。とりあえず確実に消化していかないとなぁ、と思います。

ちなみに、これがあくまで今週買った本で、その隣とかにもたくさん積んでいるのは内緒ですw

さて、次は『ANGEL+DIVE CODEX』ですね。これは薄そうなのですぐに何とかなりそうです。


ブログパーツ
nice!(14)  コメント(8) 
共通テーマ:

nice! 14

コメント 8

takao

xml-xslさん、nice!ありがとうございます。

ロックさん、nice!ありがとうございます。
by takao (2009-07-20 21:38) 

まこたま

>7月12日から7月17日までに買った本
待て待てーい!w
ツッコミ所は、その量だと思う私はド素人ですw
さりげなく長門がお礼を述べていて、和みました(*´ω`*)

田村くん、ようやく1巻読み終わりましたので2巻を近々買います。
久々にラノベ読みましたが、割と一気に読めましたw
by まこたま (2009-07-20 23:48) 

takao

まこたまさん、nice!&コメントありがとうございます。

いや、そこはあえて伏せておきましたw横に並べるとたいしたことないなぁ、と思ってしまう私は末期ですよw数えてみると、「あぁ、23冊もあるよorz」とか思うのですけども。まぁ、私が欲しい本って何故か月の中盤から後半に出版されるから、この量なんですよ。12日までは、10冊くらいしか買っていませんしw多分ですけど。この後も、とりあえず、買う予定は、15冊しかないし。大丈夫大丈夫。だから、部屋が片付かないのだ、とか考えますんw長門のは野郎野郎と思いつつ、今に至ってしまいましたw気付いてくださってありがとうございます。

田村くん、2巻からが本番ですよ。もう、中盤から後半にかけてが最高です。特に、小巻が再登場してからの展開が神がかっていると思うのですよ。もう、思い出すだけで泣けて来ます。
by takao (2009-07-21 00:03) 

takao

マナフィさん、nice!ありがとうございます。

chokusinさん、nice!ありがとうございます。
by takao (2009-07-21 00:03) 

takao

townsrusさん、nice!ありがとうございました。

アロンダイトさん、nice!ありがとうございました。
by takao (2009-07-21 01:32) 

takao

アリア・ポコテンさん、nice!ありがとうございます。
by takao (2009-07-21 05:36) 

takao

noriyukiさん、nice!ありがとうございます。

直chanさん、nice!ありがとうございます。

Gomarzさん、nice!ありがとうございます。
by takao (2009-07-22 20:23) 

takao

エルティアさん、nice!ありがとうございます。
by takao (2009-07-25 02:31) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。