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『テンプテーション・クラウン』/雪野静 [集英社]

記事にするか悩んだのですがw今週は全然記事を書かなかったので記事にすることにしました。そんなんで良いのかw

テンプテーション・クラウン (集英社スーパーダッシュ文庫)

テンプテーション・クラウン (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 雪野 静
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 文庫

この世界に墜ちた神や悪魔を身に宿し,その力を行使するもの・選定者。高校生・アキトは,ある日悪魔・ゼファをその身に宿し,選定者になる。しかし,ゼファの力は魅惑。その力自体はとても弱かったのだが。 しかし,その「自分の周囲で最高の力を持つ選定者を基準にして機能する,という力によって,アキトは「王冠」と呼ばれる最高の力を持つ選定者・ルヴィを虜にしてしまう。さらに,恋に落ちたことで腑抜けたことを快く思わなかったために,アキトを囮にルヴィを目覚めさせようとした「王冠」彩姫まで虜にしてしまう。二人の選定者に惚れられ,一緒に生活することになったアキトだが。東京に「魔王」と呼ばれる王冠の選定者が訪れる……。

 

『逆理の魔女』の作者の新作。とはいえ,『逆理の魔女』は読んでいないのですが(^^ゞそこそこ評判も良かったので,読もうと思いつつ今に到っている感じですが。と言う訳で,はじめて読んだ作者の作品ですが,落ち着いた物語に面白い設定が乗っかって非常に良い作品だったと思います。イラストも雰囲気に合っていて,大変素晴らしかったですしね。表紙のルヴィ先輩が可愛くて辛いw

この作品の主人公,かなり特徴的だなぁ,と思いました。普通の世界と見せかけて,悪魔や神が人間のみに宿ると言う世界。そこで主人公のアキトが手に入れた力,と言うのが,ただ相手を惚れさせる,と言うだけの力。ただ,「自分の身の回りで最強の力を基準に」という設定があるため,主人公と同じ学校に通う「王冠」と呼ばれる力を持つ少女に好かれることになります。主人公がなぜか好かれてハーレムを築く,と言う作品は多いですが,設定でうまく説得力を持たせた感じですね。そして,主人公の力が最弱,と言うのもおもしろいと思います。こういう作品だと,主人公が神の力を身にまとい,ってのが多いと思いますが(ルヴィの力なんて,主人公が持っていてもおかしくないと思います)。ところが,あえて惚れさせるだけ,としたところが挑戦だと思います。

主人公は最強の力を持つ少女たちに惚れられるため,それを快く思わないものたちに人質に狙われたり,命を狙われたり。しかし,主人公は自分の身を守る力を持たないために,少女たちを頼ることしかできない。何とも頼りない主人公ですが,そこが逆に良いかなぁ,と思いました。最後には主人公にも見せ場がありましたし。

世界観も好きです。独立企業の設定や,選定者という設定。一見すると,普通の社会に見えて,その実現実とは異なった世界,と言うのが非常に興味深く感じました。

キャラクター設定もなかなか好印象。ハーレムものにおいては,主人公は相手が自分に惚れられていることに対して,朴念仁と言うよりも,石かなんかじゃなかろうか?ってくらいの鈍感さを発揮しますが。この主人公は,自分が相手を魅惑する能力を持っている,と分かっているので,惚れられていることに対して自覚的です。まぁ,相手が素直に気持ちを打ち明けてくる,と言うのもありますが。しかし,それは自分の魅力ではなく,自分に宿った悪魔の力によって起こっていること,と分かっています。それ故に,相手に対して,誠実であろう,とする姿勢が非常に好印象。自ら一歩引いている感じです。主人公が片思いをしている,と言うのもありますが。

そして,主人公を好きになる3人。一人は物語に絡んでくるので伏せておきますが。二人ともそれまで他人を好きにある,と言うことがなかったので,恋愛に関してはずぶの素人。しかし,主人公に好意を抱いてしまったために,それまでの自分が大切にしていたものを脇に置いてまで,主人公に振り向いて貰おう,とするところが,ヒロインたちの魅力を引き出していて良かったです。もう,ルヴィ先輩の不器用さとか,凄く可愛らしかったです。ロボットっぽいかなぁ,と思うところもありましたがw

物語は,これから,と言うところで終わりを迎えますが。巻数表記もないですし,つぎに続くか全く分からない状態なのかな?売れたら,次も,という感じなのかも知れません。ただ,続きが気になりますし,ゼファがアキトから離れた時,果たして3人は一体どうなるのか,と言うのも気になるので,続きに期待しています。


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