野球の国のアリス/北村薫 [講談社]
大好きな北村薫さんの新作。早速読んでみました。
文体としては、かなり柔らかい印象を受けました。元々、北村薫さんの文章からは、「上品」という印象を持っていましたが、そういうわけでなく。非常に読みやすいという感じでした。「かつて子どもだったあなたと少年少女のための―」とあり、少年少女が読むことを意識したのだろうと思います。まあ、少し言い回しが気になることもありましたが。そして、さくさく読めました。
あらすじは、小学校まで野球少女として活躍していた少女・アリスがひょんな事から鏡の国に入り込み、そこで鏡の国の野球大会の在り方のため、試合を行う、というもの。本文中では、アリスが非常に生き生きと魅力的に描かれていました。なにげなく、脇役の兵頭君と五堂君がいい味出してました。兵頭君は、出番が少ないながら結構良かったです。
気になったのは、肝心の野球シーンがあっさり終わることと、これまた相手チームの監督があっさりしすぎていることでしょうか。特に、相手チームの監督は簡単に改心しすぎなのが。まあ、ここが北村薫さんの描くキャラクターのいいところかな、と思います。反面、弱点でもあるのですが。あと、装丁が凝っているのはいいですが、値段が高すぎる気が。もうちょっと安くして、それこそ少年少女にも手が出るような値段にして欲しかったなぁ。
まあ、気になるところはありますが、なかなか楽しい小説であり、何とも言えない、さわやかな読後感を覚えました。この暖かな感じも北村薫さんの作品のいいところですね。ただ、物足りなく感じる人も多いかも知れません。
個人的には、次はベッキーさんシリーズの新刊が読みたいなぁ。
2008-08-12 21:00
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