バスジャック/三崎亜記 [集英社]
なかなか素晴らしい短編集でした。三崎さんは、短編向きだなぁ、と強く思いました。まあ、アイデア一本で勝負、と言った感じだからなのでしょう。
どれもなかなか良かったですが、個人的に好きなのは「二人の記憶」と「動物園」。ささやかな幸せ、と言った感じが好みです。「しあわせな光」や「雨降る夜に」も同系統ですが、何かあざとさのようなものを感じたりするのが少し気になりました。「二階扉をつけてください」は純粋にアイデアが面白かったですね。これだけ唯一、終わり方がシュールと言うか、ブラックなのも好印象。表題作「バスジャック」は何だかなぁ。今ひとつ。「送りの夏」はこの長さに収めたのが成功ですね。長編にすると、『となり町戦争』みたいに主人公が疑問を感じるけど、結論は出さないという展開になっていそうな気がしました。今回は結論が出ていたのも好印象。しかし、しっかりした12才だ。
長編書きたいのかも知れませんが、短編書いて欲しいと強く思いました。さて、次は『失われた町』を読まないと。
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