『ワールズエンド・ガールフレンド』/荒川工 [小学館]
「ねえ、『ここが世界の果てなら』、って。そう考えたらいいと思う」。君の奇抜な提案に、俺はつい言葉に詰まる。「ねえ、そしたらその先は、誰もが初めて見る景色だから。誰も見たことないならさ、それは自分だけのものじゃない?」世界の果て、世界の終わりーー果てと終わりの向こうには未知が広がるーー君はそう言いたいのだろうか。主人公の少年・慎司。幼なじみの双子の姉妹、まひると真夜。それぞれに恋心を抱きながら育ち、三人が高校生になったある日、真夜は事故により記憶を失い、日常はゆるやかに崩壊をはじめる。(作品紹介より)
(感想)
完全に表紙買いだったのですが。久しぶりに心をわしづかみにされた上でガシガシと揺さぶられるような作品に出会いました。読み終えた今、まだ心臓がどくどくと早鐘を打っています。何とも言えない力をもった作品だなぁ、という印象です。プロローグに始まって、プロローグに帰って来たくなる物語でした。
本作は、3つの時間軸で物語が描かれます。一つは、事故により記憶を失った日月真夜と幼なじみの一二三慎司の物語。これがメインになります。二つ目がそれから数日前。日月真夜が事故に遭う前の物語。そして最後に、日月真夜と日月まひる、そして一二三慎司が小学生の頃の物語です。
次々に入れ替わる時間軸で翻弄されるように読み進めました。物語の核心は、真夜の失われた記憶を取り戻すことか事故の真相か、と予想を立てて読み進めますが、肝心なことはなかなか描かれずに謎は謎のママ。ただ、日月真夜と一二三慎司二人の関係。そして、周りの人物達の関係に興味が惹かれていきました。
ただ、読み進めるうちに核心に迫ってきて、この物語に隠された部分が見えてくることで、事件の真相が見えてきて。この辺、オチの部分についてはある程度予想が付くのではないだろうか、と思います。ただ、それがこの物語の重要な部分ではありませんので、がっかりしなくても良いです。この物語の重要な物語はラストに描かれる主人公達の決断にあると思います。
この展開の作品が過去なかったワケではないと思います。ただ、しかしまさかこっちの展開で来るとは思っていなかったために、ラスト部分で心を撃ち抜かれたような気がしました。確かに、この結末を外部から批判するのは簡単であると思います。しかし、自分がこの決断を迫られたとき。果たして私はどうするだろうか。そう考えたときに、私は簡単に批判できないと感じました。あまり多くを語るとネタバレになってしまいますが。物語を読み終えたとき、このタイトルの持つ意味の重さ。表紙のライトさに隠された重さを感じるようでした。
作品全体が淡々と描写されていることが、またこの作品のもつ重さというか、儚さというか。淡い印象をさらに引き立てていると思います。さらに挿絵。最近は見開きの挿絵も増えているのですが、この作品は全ての挿絵が見開き。この素朴なイラストが見事に作品世界を彩っていました。全ては、このラストを演出するために、という印象です。
何とも難しい作品だなぁ、と思います。決してライトではないな、と言う印象。いわゆるライトノベルを求めている人には向かない作品だと思います。しかし、時にはライトノベルっぽくない作品、変化球気味の作品を、と思っている方にはよいのではないかと感じました。解説の田中ロミオ氏が「ストーリー志向の作品だと言える」(P.305)とありますが、まさにそんな感じです。
(感想)
完全に表紙買いだったのですが。久しぶりに心をわしづかみにされた上でガシガシと揺さぶられるような作品に出会いました。読み終えた今、まだ心臓がどくどくと早鐘を打っています。何とも言えない力をもった作品だなぁ、という印象です。プロローグに始まって、プロローグに帰って来たくなる物語でした。
本作は、3つの時間軸で物語が描かれます。一つは、事故により記憶を失った日月真夜と幼なじみの一二三慎司の物語。これがメインになります。二つ目がそれから数日前。日月真夜が事故に遭う前の物語。そして最後に、日月真夜と日月まひる、そして一二三慎司が小学生の頃の物語です。
次々に入れ替わる時間軸で翻弄されるように読み進めました。物語の核心は、真夜の失われた記憶を取り戻すことか事故の真相か、と予想を立てて読み進めますが、肝心なことはなかなか描かれずに謎は謎のママ。ただ、日月真夜と一二三慎司二人の関係。そして、周りの人物達の関係に興味が惹かれていきました。
ただ、読み進めるうちに核心に迫ってきて、この物語に隠された部分が見えてくることで、事件の真相が見えてきて。この辺、オチの部分についてはある程度予想が付くのではないだろうか、と思います。ただ、それがこの物語の重要な部分ではありませんので、がっかりしなくても良いです。この物語の重要な物語はラストに描かれる主人公達の決断にあると思います。
この展開の作品が過去なかったワケではないと思います。ただ、しかしまさかこっちの展開で来るとは思っていなかったために、ラスト部分で心を撃ち抜かれたような気がしました。確かに、この結末を外部から批判するのは簡単であると思います。しかし、自分がこの決断を迫られたとき。果たして私はどうするだろうか。そう考えたときに、私は簡単に批判できないと感じました。あまり多くを語るとネタバレになってしまいますが。物語を読み終えたとき、このタイトルの持つ意味の重さ。表紙のライトさに隠された重さを感じるようでした。
作品全体が淡々と描写されていることが、またこの作品のもつ重さというか、儚さというか。淡い印象をさらに引き立てていると思います。さらに挿絵。最近は見開きの挿絵も増えているのですが、この作品は全ての挿絵が見開き。この素朴なイラストが見事に作品世界を彩っていました。全ては、このラストを演出するために、という印象です。
何とも難しい作品だなぁ、と思います。決してライトではないな、と言う印象。いわゆるライトノベルを求めている人には向かない作品だと思います。しかし、時にはライトノベルっぽくない作品、変化球気味の作品を、と思っている方にはよいのではないかと感じました。解説の田中ロミオ氏が「ストーリー志向の作品だと言える」(P.305)とありますが、まさにそんな感じです。
何か、この作品を買わなきゃいけない気がして、先日買ったのですが、そうか、この記事か。。。(忘れてました) まだ積読の山に入ってます orz
by cherryh (2012-01-30 01:56)
cherryhさん、コメントありがとうございます。
こんな記事で買っていただけるとは(ノД`)
書いた甲斐がありました。
興味深い本ですので、是非是非読んでください!
by takao (2012-02-04 00:58)