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『子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき』/玩具堂 [角川]

(あらすじ)

子ども扱いしないでください!
“お悩み相談祭”と化した文化祭で、メイド服姿の佐々原や“なるたま”が大変なことに!


“ひつじ”ならぬ“しつじ”喫茶で文化祭を盛り上げる「迷わない子ひつじの会」。会長の執事服姿やら佐々原のメイド服やらに浮かれる“なるたま”こと成田 真一郎(なるたまいちろう)だったが、伝説の必殺剣の正体、『々人事件』なる奇妙な小説の謎など、隣部屋の“毒舌ツンダラ名探偵”仙波を巻き込んでのお悩 み相談も相変わらず大忙し! ワケあり女子たちに翻弄されまくる“なるたま”のおせっかいぶりに、佐々原がついに覚醒する――って、何に!?  (角川書店ウェブページより)

感想は、追記にて

(感想)

いよいよこのシリーズも5冊目。最近の角川スニーカー文庫では長く続いているシリーズかなぁ、と感じます。内容も、徐々によくなってきていましたが、この巻はさらによくなって、面白みがかなり増していたように思います。これも、長く続けてきた効果かなぁ、と思います。

前の4巻は、初の長編となっていましたが、この巻は、従来どおりの相談が3つ。文化祭という一つのイベントの中での繰り広げられた3つの相談、ということで、つながりがあったように思います。

そして、この巻の特徴としては、作者もあとがきで語っていますが、これまでのシリーズで登場したキャラクターが総登場、という事があると思います。とはいえ、私の残念な脳みそでは、全キャラ覚えられていなかったのですが。前回解決したことで、生徒会メンバーとの関係が出来ていたり、変わっていたり。そこから新たな相談が生まれたり。これがシリーズものの醍醐味の一つではないかと感じました。

また、今回は相談の内容もよかったと思います。一つ目の『古十郎刀暦』(これ自体は作者の創作でありますが、キャラクター自体は元ネタがあるようです)に隠された謎を解明。二つ目の文芸部の部長の短篇『々人事件』の隠された意味の解明。この二つは、個人的によかったと思います。

最近、『ビブリア古書堂』シリーズが話題になってヒットしましたが、本来本を読む人は本の話題が好きだと思います。私も、『ビブリア古書堂』シリーズは、その面が好きですし、古い作品になりますが北村薫さんの『六の宮の姫君』についても、夢中になって読んだことがありました。

普通のラノベ好きが読んだ場合、どう感じるかはちょっと分かりませんが、読書が好きで、ライトノベルも普通の本もとにかく読むよ、という人に面白みがあるようなお話ではないかなぁ、と思いました。ちょっと強引すぎると感じる部分もありますし、ツッコミどころもあります。でも、私にはそれ以上に興味深い内容でした。

キャラクターの方に目を移すと。何だか、恋が飛び交っているのが特徴だったように思います。主に、サブキャラの方ですが。それが、3つ目の話のメインに繋がるわけですし、それがなるたまの周りの状況の変化をもたらした要因にもなっていたわけで、物語の必然だったのかな、と思います。

一番驚いたのは、とにかくいつの間にかなるたまがモテモテになっていたこと。そして、仙波、佐々原の二人の態度の変化でした。なるたまを敵のように扱いながらも、ふとしたつぶやきになるたまへの悪からぬ気持ちが表れたり、やれやれ、という態度の中に喜びをにおわせたりしている仙波。そして、なるたまへの気持ちを確かめるために、なるたまのことを真剣に観察して、マイナスとプラスをつける佐々原。この二人がニヤニヤ出来てよかったですね。ここまで来たら、仙波がついにでれた、といってもいいと思います。佐々原はそこまでなるたまのことが分かっていたら、それは間違いなく恋だよ、と言いたいような。

そして、これまではちょっかいを出す側だったあの人が、いよいよ本格参戦してきそうな気配を漂わせていたのも、またよかったですね。アペンディクスの描写なんかは、なかなかよかったと思います。見るに付け、次はこの人となるたまの関係の物語になりそうなことを感じますが。どう展開するか。

ここに来て、物語がドンドン加速しているように感じました。優柔不断のなるたまの気持ちはまだまだ定まっていないようですが(とはいえ、それでも仙波に傾いているようには見えるような)、どう転ぶか、楽しみです。


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