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産経新聞2012/05/10記事「ライトノベルが熱い 女性、30代…広がる読者」を読んで [チラ裏日記]

iPhoneで産経新聞を読んでいたら、面白い記事がありましたので、ご紹介。
追記にて、雑感を。 

記事からの引用部分には、背景色を使っています。

 

「平成16年の265億円から21年には301億円へと1割以上増加した。同時期に書籍の販売が約1割減少しているのとは対照的な結果だ。」

確かに、書店を見ると、この時機は棚が拡張していったような印象があります。ただ最近は微妙な状況かなぁ、という印象があります。

例えば長崎の紀伊國屋は、以前は中央エスカレーターを上った入り口に入ってすぐわかりやすいところにライトノベルの棚がありました。各社レーベルが一列に並べられていて、買い逃していたラノベを探すときに重宝していました。ところが、今年初めに久しぶりに同店を訪れたところ、ラノベの棚が、やや奥の方に移動されていました。

その時は、ラノベを買いに行っていたわけではありませんので、棚の面積がどうなっているか、比較などは行っていません。しかし、目のつきにくい場所に移動した(といっても、ほんの少しではありますが)というのは、ちょっと考えさせられるものがありました。確かに、「ライトノベル買いに、紀伊國屋に行こうぜ!」って中高生はいないでしょうが。例えば、参考書を買いに来た学生の目にライトノベルが目に入って、ちょっと立ち読みして買ってみる、という状況を仮定するなら、ちょっと不利かな、という印象がぬぐえません。

また、私の近所のイオンに入っている本屋さんでも、ライトノベルの棚が最近移動されていました。以前は、マンガコーナーのすぐ横にあったのですが、そちらとは正反対、一般の小説の棚の並び、しかも一番端っこに移動していました。(以前は早川とかが細々と置かれていた場所)

これは、たぶん面出しのしやすさなどを考えた結果菜のだと思います。以前は、両手を広げた部分しか面出しする棚がなかったので。あと、立ち読みされると道がふさがって邪魔、と言う事もあるかもしれません。

しかし、マンガと離されてしまった、というのは結構痛いのかな、と思います。近くのTSUTAYAのラノベスペースが拡張されていますが、どうなるか密かに見守っています。

ライトノベルの売り上げに関しては、実は公共図書館なんかの影響が大きいかと思います。私が中学生の時は、以前も述べましたが「ライトノベル」という単語は一般的ではありませんでした。三者面談で、母に「マンガみたいなものばかり読んでいるんですよ(ウフフフフ」みたいに言われたのをよく覚えています。

さて、時代は流れて。ライトノベルを読んでいた層が、そのまま卒業せずに読み続けることも増え(この辺は、別の部分で触れられています)、一般への認知度が増えていったように思います。レーベルの勢いが増して、書店で目にする機械も増えた影響もあると思います。

それと共に、公共図書館や学校図書館でライトノベルを蔵書としておくことが増えていっているように思います。実際、五島市の図書館では、『狼と香辛料』が全巻並んでいたり、『マリア様がみてる』があったり。リクエストのあった図書を入れているのかもしれませんが、私が中学時代にはちょっと考えられなかったことです。

また、学校図書館では、本屋さんからカタログが送られてくるらしいですが、その中に『化物語』セットや「小学館ガガガ文庫」セレクションなどが紹介されていると聞いたことがあります。田中ロミオさんが『人類は衰退しました』(旧版)一巻のあとがきで

「『みんなー、ぼくの感想文書いてね―」とばかりに小学校の図書室なんかに並べられる予定でした」(P.257)
「この本だってもしかすると、小中学生……いや、小中学生様に読まれたりすることもあるのでは?」(P.258)

と書いていましたが、そのような状況が出来つつあるようです。

また、、ファン層が増えることで売り上げが伸び、成長が続いているのだと思います。

 

「想定読者は男子中高生だったが、ここ数年は女性の読者を獲得できていることが大きい」

これはどうか、私にはよく分かりません。でも、女性でもライトノベル読んでいる人は増えているように思います。角川本体のライトノベルレーベルでオリコンの売り上げで出るのは、ビーンズやルビーの方が多いようですし、女性の読者が増えているのはあるかもしれませんね。

ただ、ここで問題になりそうなのが「今のライトノベルにおいてはハーレムものが多い」ということかな、と思います。私が最近読んだのだと『うちの魔女しりませんか』や『森の魔獣に花束を』なんかは、ストーリーで読ませる部分が強く、女性でも受け入れられるかなぁ、と思います。しかし、このような作品が、今のライトノベルの状況において埋もれてしまっているのが現実だと思います。

女性にも訴求力がある作品を如何に知らせていけるか、と言うことが今後の成長を考える上で必要なのではないか、と感じました。先月「ラノベ好き書店員大賞」の発表がありましたが、こういう部門を設けてみるのも面白いかもなぁ、と考えたりしました。『このライトノベルが凄い」でもいいんですけど。

 

「ほかにも計29巻が刊行されている『とある魔術の禁書目録』(電撃文庫)などシリーズ化作品も目立つ。」

こっちはもうすぐ累計1500万部に届きそうなのを書いてないのは、優しさでしょうか。

 

「16年から21年の5年間で新刊発行点数は3割近くも増えた。しかし、同じ5年間で1点当たりの発行部数は約1・3万部から約1・2万部へと減少傾向にあり、ヒットする作品と売れない作品の二極分化が進みつつあるという。ライトノベルは表紙にアニメ調のイラストが描かれているのが特徴で、平積みでないと書店で注目されにくい難点がある。」

この辺は、ちょっと考えさせられますね。やはり、ライトノベルは表紙が命、ということなのでしょう。新刊発行点数に関しては、MFが増え、GAも少しずつ増えているような気がして、ファミ通も増え、という状況があるので、今はさらに増えているでしょうね。その分、1点あたりの発行部数はさらに下がっていると思われます。

「このライトノベルが凄い」のネット投票なんかを見るとそうなんですが、結局売れる作品はさらに売り上げが増し、売れない作品は見向きもされない、という状況はさらに加速していきそうな予感がします。売り上げがあるものは、アニメ化され、さらに売り上げが上がる。その分、その作品に面出しのための棚を取られ、目に触れない作品が増える、という悪循環も起こるでしょう。

こうなると、背表紙でアピールする、ということも増えているようです。今手元にあるものでGA文庫、MF文庫J、スマッシュ文庫、ガガガ文庫、一迅社文庫は背表紙に表紙イラストの一部がデザインされていました。(ちなみに、ぱっと見で一番大きかったのは一迅社文庫ですが、厳密に比較したわけではありませんのであしからず)

ただ、背表紙でどこまでアピールになるか。疑問も残ります。大量に並べられていたら、逆に目立たないという事になりそうです。結局、ジレンマは続く、という所でしょうか。

 

「有川浩(ひろ)さん(39)や冲方丁(うぶかた・とう)さん(35)のように、ライトノベル出身で一般の小説を書いている作家も多い。逆に、宮部みゆきさん(51)のように、一般小説の作家がライトノベルに進出する例も出ている。」

越境作家の代表であるような、直木賞作家の桜庭一樹さんの名前が最初に出てこないなんて。しかし、これも面白い現象ですね。他にも、壁井ユカコさん、橋本紡さん、米澤穂信さんなんかの名前も思い浮かびますし、Wikipediaをみると、もっとたくさん名前が挙げられています。

特に、有川浩さんが「大人のライトノベル」を書こうと思って云々というのを見た記憶があります(すみません、どこで見たかは忘れました)もともと、一般小説志向の人もいるようですが、結局現代において「軽さ」というものが、一般にも求めらている、ということでしょう。一般小説でも、読み味が軽い作品が増えているように感じますし。

結局、毎日の仕事で疲れているのに、純文学みたいな重い作品を読みたくない、というのがあるのでしょう。または、読みたくない、かも知れません。そういうことでは、有川浩さんの「大人のライトノベル」という考えは、十分に需要があった、先見の明があった、ということでしょうか。

その延長として、メディアワークス文庫が生まれたのだろう、という気がします。メディアワークス文庫では、『ビブリア古書堂』シリーズが本屋大賞2012でノミネートされた(文庫本では初)というのが記憶に新しいところ。残念ながら、順位は8位でしたが、レーベルとしてはまだまだ躍進していくのではないでしょうか。期待したいところです。

 

さらに小説の表紙にアニメ調のイラストをあしらうなど、ライトノベルの手法を使って販促を図る作品も。

これは、本当に増えた印象があります。記事では例として『もしドラ』が上げられています。しかし、2007年に太宰治さんの『人間失格』の表紙を、小畑健さんのものに変えたら、古典作品としては異例の売れ行きをみせた、と言うのが私としては思い出されます。

↓こんな奴。

人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1990/11/20
  • メディア: 文庫

 

それから味を占めて集英社は毎年夏にマンガ家とのコラボレーション表紙を出し、他の出版社もそれの後追いをしている、という流れが続いています。もう、夏の風物詩のようにすら私は感じますし、実際楽しみにしています。

それが、限定表紙だけではなく、一般の表紙でも増えてきているなぁ、という印象です。私が買った一般書籍でも、表紙に釣られて買う、というライトノベル的な買い方をした作品もありますし。

本を選ばせる基準として、「タイトル」「帯」があると思いますが、その中に「表紙」が入ってきているのでしょうね。書籍の売り上げが5年で1割減少した、と最初にありました。その高いとして、成長分野であるライトノベルの手法を取り入れる、というのは、出版社としては当然の選択なのでしょうね。『人間失格』での確かな実績もあるわけですし。

ただ、それがあまりに行き過ぎると、やはり没個性になってしまうわけですし。その辺のバランスが難しいところだと思います。

 

さて、出版不況の中成長しているライトノベルに注目が集まっているのですが。ファンとしては、たくさんの素敵な作品と巡り会えることを願うばかりです。


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コメント 6

真司

先生はじめまして。
突然なのですが、「官キラ」(官能小説を書く女の子はキライですかを勝手に略しました)の6巻はいつ頃出されるのでしょうか?
 ちなみに月がキャラの中で一番好きです。
by 真司 (2012-05-10 22:21) 

大林 森

うううむ感慨深い!(>_<)!仰るとおりですよねえ・・・。( ´_ゝ`)出版不況でお世話になっている出版社が結構苦労しているのを聞いているとまだまだ勉強しないといけないと思いますです。(>_<)
by 大林 森 (2012-05-10 23:56) 

takao

真司さん、コメントありがとうございます。

私は先生と呼ばれるような人間ではありませんが(^^ゞ
『官能小説を書く~』は私自身二巻までしか読んでないのです。
作者が、別の作品を書いていたのでてっきり完結したものだと思っていました。
『SSO』の完結を待っていたものとしては、気長に待つのがいいのでは、と思います。
最近は、最終巻で万全を期すためか、時間を取る作品も多いですし。

by takao (2012-05-11 20:53) 

takao

大林 森さん、コメントありがとうございます。

素人の私見なのですがw
書き終わって、自分で色々反省していたのですが、そう言っていただけると書いた甲斐があるというものです。
売れるものは売れていますし、ヒット作がヒットしやすく、それ以外がヒットしにくいようになっているのかもしれませんね。
ネットでの評判もありますが、それもライトノベルでは年に数冊、という印象ですし。

如何にして読者を惹き付けるか。
大変だと思います。
小説とイラストのマッチングはドンドン進んでいきそうですが、どの程度まで行くのか、気になるところですね。
by takao (2012-05-11 20:57) 

HINAKA

HINAKAです。

takao様

実は今、密かに横に並んでいる「ブログ通信簿」をみて笑っています。
takao様って「女性」だったのですね!?(5月12日午前4時)

さて、この話をすると長いので、こちらに書き込んでいただいたものとの絡みで1つ、TVアニメ『モーレツ宇宙海賊』の原作が、笹本祐一氏の『ミニスカ宇宙海賊』既刊7巻続刊予定。
だと言う事は、御存じだと思います。問題は、この原作本の形態です。
朝日ソノラマ及び、朝日ソノラマ文庫を潰して、朝日新聞社出版が立ち上げたのが、その名も「アサヒ・ノベル」です。大きさは、新書版つまり「涼宮ハルヒの憂鬱」と同じで、その記念すべき初出版本が、他ならぬ『ミニスカ宇宙海賊』です。
〈詳細はトラック・バックした記事を御参照下されば幸いです〉

美麗な表紙はお約束ですが、2008年初版の帯には既に「アニメ化決定!」の文字が踊っています。
拙ブログ記事にもある、アニメ監督佐藤竜雄氏のお話によると、確かに2009年には既に具体的なアニメ化の話しになっていたそうです。ですので、実はもうアニメは全話作成は終了していて、監督は市役所まで巻き込んだ街起こしアニメ?となってしまった、オリジナルの「輪廻のラグランジェ」が《残酷残虐お色気御法度!》という制約に、現監督達が泣きついた結果?「総監督というお目付役」を現在、行っているようです。
その為、時間的な部分と原作の拘束からは、ほとんど自由に「モーレツ宇宙海賊」を好き勝手に作ったようです。

その証拠が、キャラクター・デザインで通常これがアニメ版と異なる事は、特にライトノベルでは有り得ません。
しかし、その表紙を一目御覧になれば分かるように、ヒロインの女子高生海賊から、お姫様までほとんど表紙の絵とは、異なるデザインです。これには、アニメ製作中に原作がまだ3巻までしかなかった……等の原因が、あるようです。

更に重要なのが、アサヒ・ノベルの構成自体で、まず分厚い!
最初の徳間ノベルから出た、銀英伝一冊よりも頁が多い!のです。
さらに、確かに表紙は美麗ですが、特に初期三冊は肝心の?イラストが全くないッ!!これも、アニメのキャラクター・デザインの自由度を上げているようです。道理で自分の自由にならない作品は作りたく無く、「学園戦記ムリョウ」や「宇宙のステルヴィア」などは全て、監督著作権で作られている佐藤竜雄監督が、「今さらなぜに、原作付きを?」の謎が解けました。

さらに、このアサヒ・ノベルは一頁が上下二段組で、当然のように文字は小さく、ルビはほとんどありません。
また、漢字もかなり多く、笹本氏の文体でなくては、とても読み難い小説本です。そしてトドメが、一冊税抜き1000円!最初は、文字通り「正気か!?」と思いました。

つまり、何も知らない老舗の出版部が、小賢しく動き回るクセに、ちっとも売れ行きの伸びない、赤字部門を潰して自らに取り込んだ後。
新しく今風の体裁を整えた上で、老舗の威厳を込めて、満を持して立ち上げたのが(たぶん)、アサヒ・ノベルだったのだと思います。ただ、アニメ化に当たって編集部が一番拘ったのが、「ミニスカ」だそうで今時と言う事かとも思えますが、「ライト・ノベルのタイトルしてはともかく、TV放映のタイトルとしては、いかがなものか?」と、時間が掛かったようです。もっとも、アニメ化スッタフは、この件には一切構わずに突っ走った……様です。

もっともそれが、結果的にOPテーマの「猛烈宇宙交響曲・第7楽章」という。
それこそ、腰の抜けそうなタイトルの主題歌を、作った原動力ならば?文句はありませんが……。
さてtakao様、ここまで引っ張っておいた御無礼をお許しいただくと共に、本題に移ります。というような、経緯で誕生したこのアサヒ・ノベルは、果たして当事者の思惑通りに、ライト・ノベルなのでしょうか?

長文で大変に、失礼致しました。


by HINAKA (2012-05-12 04:50) 

takao

HINAKAさん、コメントありがとうございます。

文章のクセのせいか、ブログ通信簿は女性のことが多かったりしますw
最近は、男のことも多いのですが。
一体、どこで判断しているのか疑問であったりします。

さて、ご質問の件ですが。
記事の中にありますが、ライトノベルという言葉は比較的最近使われるようになった言葉です。(記事によると、約十年前から)
そのためか、どうか具体的な定義がありません。
レーベルによる判断が、今一番有力であると思いますが。
「お前がライトノベルと思うものが、ライトノベルだ」という面もあります。

さて、そんなこと言っても仕方ないので。
確か、朝日ノベルズは、このライトベルが凄いの対象作品に入っていたと思います。(すみません、ちょっと手元に資料がなくて確かめられていません)
また、ラノベの杜というサイトで取り扱っています。
元々、ライトノベル世代をターゲットにしてレーベルを始めた部分があることからも、ライトノベルに入れてよいのではないでしょうか。

また、作者の笹本祐一さんも自身を「現役最古のラノベ作家」と称していることから、ライトノベルである、と考えられると思います。
こんな答えでよろしいでしょうか?
by takao (2012-05-12 11:15) 

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