レインレイン・ボウ/加納朋子 [集英社]
私の好きな作家その2。加納朋子さん。とはいえ、なぜか、加納朋子さんの本は、買ってからしばらく放置し気味で、これも買ったものの読んでいませんでした。で、読んでみたのですが、すごく面白かった。
高校時代の女子ソフトボール部の部員の一人が亡くなった真実(原因)を、ソフトボール部のチームメイト一人一人の日常を描きながら、解決していく、と言った趣向のミステリ。
しかし、本当に作品づくりが上手だな、この人、という感じです。なんか、文庫本の解説みたいになっちゃいますが。ソフトボール部のチームメイト7人の日常を描いた7編からなるのですが(もう一人は、真相に深く関わっているので、その人は除外されています)決して、全部が全部、真相に関わってくる話ではないのですが、徐々に真実に近づいていくところがすばらしい。わざとじらしている感じはしませんでした。
最後に関しては、なんか賛否両論ありそうだな、と思いました。宮部みゆきさんの例のやつのパターンですし。でも、私はこの終わり方もいいと思います。「すべてを語る」と言うことが決していいことであるとは思いませんし。むしろ、最後まで描かないことで、読者の想像がふくらんで、読者なりの物語ができると思うので。それに、宮部みゆきさんのあれもそうですが、大概真相に関わることは書かれているのに、何を語るのか、とも思います。
本当に、すばらしい作品でした。ソフト部のキャプテンが『月曜日の水玉模様』の主人公だと、解説読むまで全然気付きませんでしたが。『月曜日~』自体読んでのが、結構前なので、すっかり忘れていました。早速、読み返そうと思いましたが、ほかにも読みたい本があるのが困りものです。
2008-08-20 19:15
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