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『テルミー きみがやろうとしていることは』/滝川廉治 [集英社]

と言う訳で、今日のライトノベルはこちらです。

テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)

テルミー きみがやろうとしている事は (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 作者: 滝川 廉治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 文庫

帯には、『ベン・トー』シリーズのアサウラさんの推薦文付き。しかし、その推薦文を帯の折り返しの部分に書いちゃ駄目だろう、とw文字数多くて読みにくいし。ただ、この推薦文、「本来は何でもアリなのがライトノベルというものです」の部分には激しく同意します。最近のライトノベルって書かれているように「=ラブコメ」ってところが多すぎる気がするんですよね。もう少し、自由にやって良いのではないか、と思う。

閑話休題。さて本作、どんな作品かというと。

とある高校の修学旅行。その道で事故に遭い、1クラス、24人が亡くなります。助かったのは、ふたり。事故にあったものの、不思議な力でかろうじて生き残ることができた少女・鬼塚輝美。そして、たまたま修学旅行を欠席したことで事故に遭遇しなかった少年・灰吹清隆。死の間際のクラスメイトの願いを心に受け入れた輝美は、クラスメイトの最後の願いを叶えるために行動する。そして清隆は、それを手伝うようになっていく。

読み始めたときは、ちょっと前話題になった死のモラトリアムとか思い浮かべましたが、全然そんなことはなかったですね。描写は淡々と、「これ、また文学作品を意識したライトノベルか?」と思いました。印象も、それに引きずられてか、淡々とした印象を受けましたが、「凄く優しい物語だな」とも感じました。「おもしろかった!」という爽快感はないですが、心にしみてくる物語だと思います。

最初に読み始めたときは、不安も感じたのですけどねw

「この物語には、二十六人の高校生の男女が登場する。
当然のようにこの物語は、二十六人の死と青春を描くものになる。

そしてこの物語は、必ずハッピーエンドを迎える。
なぜなら、この物語は始まりの時点で最も悲惨で、最も間違った状況だからだ。
彼らのうちの二十四人は、物語の始まりと同時に死亡している。(P.11)

これで始まりですよwそりゃ、「久しぶりに、地雷かな」と思うってものですよwなにが、「当然のように~死と青春を描くものになる」の?ってことですよwとはいえ、地雷は地雷で楽しむべきところはあるので、楽しみに読み進めていったのですが。あれだったのは最初と一部だけで、結構楽しめました。

この物語、何が良かったかというと、「最後の願いを叶えることが、残された人の救いになっている」というところですね。残されたものの最後の願い、と言うとやはりあれを思い出すのですが、あれはあくまでも死後の世界。思い残したことをかなえる場所、と言うことで、結局は個人の願いにとどまっているんですよね。他者はあまり関係ない、と言うか。それが悪いと言いませんが。

しかし、この物語の世界は、生者の世界。残されたものの世界。そこで、死んでいったクラスメイトの最後の願いを叶える。最後の願いを叶える、という部分は、個人の願いで、他者に関わりがないように思えます。最後の願いが「母親の幸せ」というものもありましたが。それでも、最後の願いを叶えることで、残された人が救われる、と言う感じのものもあり、それ故に優しい物語だ、と感じたのだと思います。物語の冒頭に書かれている「ハッピーエンド」というのは、読んでいるときに強く感じませんが、読み終わって物語を振り返ったときに、「ハッピーエンドだったなぁ」そうしみじみ思える物語でした。

わずか231ページの物語。他のライトノベルよりは文字数が詰まっているwのですが、それでもさらっと読めるのではないかと思います。しかし、その短い中で素晴らしい物語が紡がれていると思いました。いや、この物語は素晴らしい。心の底から「好きだなぁ」と思えます。

派手さはないですし、物語の仕組み的に「ライトノベル」というジャンルでなくても良い作品だと思いました(重松清さんの『流星ワゴン』と似たような状況設定だと思いますし)。この作者が、一般の方に転身したとしたら、間違いなく集英社文庫から再出版されると思いますしwただ、こんな本が「ライトノベル」というジャンルで出されたことが、おもしろいですね。ライトノベルの懐の深さを感じさせてくれるというか。「ライトノベル=ラブコメ」「ライトノベル=学園もの」が主流となっている現状において、「ライトノベル」に閉塞感があると思います。ライトノベル原作のアニメの感想で、「似たような感じ」とか感想も見られますし。しかし、こういう作品が出てきたことで、この閉塞感を打開してくれるのではないかと感じました。でも、売れないんだろうなぁorz

心に優しいものを残してくれる、そんな素敵な物語。読んでみませんか?


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