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『とある飛空士への恋歌 4』/犬村小六 [小学館]

戦場に響く、あの人への恋歌。もう、苦しくて、辛くて、切なくて、痛くて、でも忘れられなくて。もう、涙涙でした(ノД`)

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)

  • 作者: 犬村 小六
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/08/18
  • メディア: 文庫

いやぁ、個人的に表紙が素晴らしすぎましたwこれ、4巻のネタバレですよね、思いっきりwただ、そろそろこの展開は来そうだ、と思っていたので、予想どおり、と言うところですが。

で、帯が「超弩級スカイ・オペラ、驚天動地のクライマックス」って、え?と思ったら、作者紹介のところに「5巻で完結です」とハッキリ書かれていました。

この巻約381ページ。300ページ切ることもある昨今のライトノベルの中では結構厚い部類に入るのではないでしょうか。しかし、読み始めたら、ページを繰る手を止めることができませんでした。もう、早く続きが読みたくて。正直、このまま最後まで一気に読み終えたい!と言う気持ちでした。この状態で、また半年とか8ヶ月とか待たされたらと思うと。・・・・・・『フルメタ』は2年、『ダブルブリッド』は5年待たされたんだっけ?まじそれだけは止めて欲しい。ないと思うけど。

閑話休題。3巻では、聖泉で遂に空族と遭遇、戦火を開いたイスラ。多大な犠牲を払いながらも、何とか最初の戦闘を勝利することができました。それを受けての4巻。迫力を持って描かれる空戦。そして、その中で密かに繰り広げられる葛藤。クライマックスという名にふさわしい、最高に面白かったです。

まず、1章から、いきなりクライマックスでした。偶然出会い、そして偶然学校の飛空科で再会し、パートナーとして互いに思いを強めてきたカルエルとクレア。しかし、遂に2人の複雑な過去が牙をむくときが来てしまいましたね。まさかまさか、これが序盤にくるとは思わなかったたです。序盤から涙で文字が読めない、という感じでした。カルエルのことが大好きだから、嫌われたくないから会わないことを言い出すクレア
「・・・・・・わたしに関する・・・・・・思い出を・・・・・・消して・・・・・・」(P.85)
の台詞が悲しすぎます。空虚だったニナとしての過去。イスラに乗り込み、そこで出会ったカルエルの存在が彼女を救い、彼が彼女の心の支えとなっていた。それが分かるからこそ、このクレアの思いがもう切なくて。心が削られるようでした。そして、遂にカルエルも、自分が大好きな、ずっと一緒に居たいと思ったクレアは、自分を王子の座から追い落とし、最愛の母を死に追いやった「風の革命」の旗印であったニナ・ヴィエント出会ったことを知ってしまいます。このときのカルエルの混乱ぶり、と言うか狂気がまた、心にずっしり来ました。好きな相手が、6年間恨み続けた相手だった。この運命の皮肉がどれだけ心にダメージを与えたか、と考えるともうですね。

この過去を乗り越えるには、カルエルが過去を乗り越えることが必要だったのですが。もう、見事に乗り越えてくれましたね。これのきっかけとなったのは、母の最後の言葉。最初からもうこの展開を見据えたような言葉でしたが、それがもう最高の形で生かされていました。それまでカルエルを覆っていた闇が、光で打ち払われていくイメージがありありと浮かぶようでした。そして、それに応えるクレアのカルエルに対する恋歌。遂にタイトルの『とある飛空士への恋歌』の意味が分かるときが来ました!という感じで、心打たれました。もう、涙が止まらないってものです。ニナの風呼びの力が甦るとしたら、このタイミングでしかない、という感じでしたね。納得でした。不幸な互いの過去を乗り越え、遂に結ばれた2人の心が実に美しかったです。

と、メインは2人の恋の成就、と言うところなんでしょうが。4巻の素晴らしいところは、それ以外の、空戦でも魅せてくれる、と言うところ。もう、この空戦が圧巻で。互いの勝敗をかけた旗艦同士の砲撃戦。その勝敗を握るのは、カルエルの同級生2人の弾着観測。敵の圧倒的有利の状況の中、イスラを救うため、仲閒を助けるために勇気を振り絞って自分のできるところをする姿がもう熱かったです。手に汗を握るような展開でした。それこそ、「怒濤」という言葉が頭に思い浮かぶような。

戦いの中、遂に覚醒したカルエル。力を取り戻したクレア。そして、レヴァームと合流。もう、後は空の果てを目指すのみか、と言うところに来て、最後の最後に訪れた衝撃の展開。ようやく結ばれるかと思ったカルエルとクレアがどうなってしまうのか、もう気になって仕方がありません。でも、きっと覚醒したカルエルなら、きっとやってくれると信じています。もう、最終巻が待ち遠しすぎます!

 

気になる点もあることはあります。ここに来て、アリエルの出番が少なすぎる、とか。アリエル、カルエルのことが好きだと思っていたんだけどなぁ。ノリアキの突然の覚醒とか、ちょっと都合が良すぎるんじゃない?と言う展開とか。でも、そんなことも些細なことと思わせてくれるおもしろさがありました。私の中では、間違いなく今年NO.1の作品です!!4巻でこの圧倒的おもしろさ。最終5巻が面白くならないはずがない、と言うのがハッキリ分かります。ここに来て、前作である『とある飛空士への追憶』を越えた、と言っても過言ではないのではないでしょうか。これは、多くの人に読んで貰いたい、そんな作品だと思いました。私も、また1巻から読み直して、5巻まで首を長くして待ちたいと思いました。


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とある涙もろい読者

私も読みました。
この巻でどれだけ泣いたか(ρ_;)
ベンジーとノリピー生きてて良かったです。
イグナシオ良いキャラしてますね(笑)
ですが最後の和平交渉の条件あれは何ですか!?
どうなるんですか!?
最終巻に期待です!
またとある飛空士シリーズが発売されることを夢見てます!
by とある涙もろい読者 (2010-09-14 05:56) 

takao

とある涙もろい読者さん、コメントありがとうございます。

3巻もそうだったんですが、戦いの激しさ、そこで失われていくものがあまりに大きくて、涙が出ますよね。
私としては、ベンジーとノリピーが生きていたのは、調子が良いのかなぁ、とも思ったのですが、でも嬉しいものだ、と思いました。

イグナシオ、良いキャラでしたね。
あれだけ、激しい憎しみを持っているような描写があったのに、なんで手を貸しているんだろう?という感じでしたが。
ここに来て、こんなキャラだったのか!という感じで面白かったです。

最後の和平交渉の条件。
こんな展開もあり得る、とは思っていましたが、いざ本当に出てくると、ちょっと辛いなぁ、と思ってしまいました。
カルエルのクレアに対する思いが、全てを乗り越えることを期待したいところですが。
まさか、『とある飛空士への追憶』みたいな展開にはしないことを祈っているところです。

『とある飛空士』、シリーズになると、また面白いかも知れませんね。
とりあえず、最終巻に期待して、次の展開を待ちたいです。
by takao (2010-09-14 19:14) 

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