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『“文学少女”見習いの、卒業』/野村美月 [エンターブレイン]

いよいよ、『“文学少女”』外伝シリーズの完結となりました。いやぁ、良かった。凄く良かったです。このシリーズ始まったとき、蛇足になるのでは、とか菜乃がイマイチだなぁ、何て思っていましたが、菜乃ちゃんも見事に成長しましたね。本当に素敵なレディになったと思います。

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫)

  • 作者: 野村 美月
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2010/08/30
  • メディア: 文庫

このライトノベルが凄い2009では、本編の終了を受けて見事1位に輝きました。その後、定期的に短編集と外伝が出ていたのですが、ファミ通文庫、と言う単位で見ると『バカテス』の大人気を受けて、イマイチ影が薄くなっていたような印象があったり。まぁ、個人的な感じ方かも知れませんが。本編も終了していますしね。

ある日、心葉くんに一目惚れしてしまった日坂菜乃。心葉に告白、玉砕されてなお彼を諦めきれずに、「“文学少女”見習い」として、文芸部に。そんな彼女の奮闘記。でも、最後をしめるのは心葉くんw
いよいよ心葉の卒業が迫ってきたある日。菜乃は親友の瞳から絶縁宣言のようなものを突きつけられる。そして、心葉は、その瞳とつきあうと言い出す。しかし、瞳には、今も晴れることのない暗い過去があった。果たして、菜乃は親友を闇から救うことができるのか?そして、心葉が卒業するとき、菜乃はどうするのか?

 

全体的には、菜乃の成長の証、と言う感じの話かなぁ?と。正直、最初の頃は、あまりに押せ押せで好きじゃなかったキャラなのですが、この巻を読んでいると、押せ押せだけど、ちゃんと相手のことを思いやることができて。優しくて。あくまで前向きで。まぶしくて。そんな彼女が凄く魅力的な女性に思えるようになりました。心葉の最後の告白。これは心葉の思いであると同時に、読者の言葉なのかなぁ、という感じがしました。

もしも、何てことはないですが、もしも菜乃が遠子先輩に会う前の心葉くんに出会っていたら、心葉くんを絶望から救い出したのは彼女かも知れないし、心葉くんへの思いが通じていたのかなぁ、何て詮無きことを思ってしまいました。

さて、卒業も大きいですが、もう一つ大きな山が、瞳の暗い過去の闇。いやぁ、相変わらずダークと言うか、重かったですね。このシリーズ、結構平気で死人が出ていたりしますよねwこの巻でもそうだったりしますし。
瞳を闇を晴らしたのは、紛れもなく心葉でした。でも、闇にとらわれた瞳を救い続けてきたのは、菜乃だったんですよね。菜乃がいたから、瞳は瞳でいられた、という感じで。結局、瞳に決心させたのは、菜乃の優しさでしたし。菜乃は、遠子先輩のような“文学少女”にはなれませんでした。でも、菜乃は誰よりも素敵な、彼女しか持たない良さを持っていたんだなぁ。

正直、ぱっと見結構なボリュームがあるように見えます。実際400ページちょっとあるので、ライトノベルでは結構厚い方に入るのではないかと思います。が、読み始めると、ぐいぐい引き込まれるパワーがあったと思います。まさに、“文学少女”の名にふさわしい最後。紛れもなく“文学少女”シリーズだったなぁ、と感じます。

遠子先輩と心葉くんの本編が終わってこの外伝が始まったときは、「引き延ばしかなぁ」とか「稼げるときに稼いでおけって事かな」と思ったりもしましたが、正直すみませんでした<(_ _)> ここまで楽しませていただけるとは思いませんでした。わずか3巻の外伝シリーズですが、大変満足なシリーズでした。

あとは、短編集が完結して、『“文学少女”』シリーズグランドフィナーレとなりますでしょうか?『“文学少女”』シリーズの良さを再確認しでき、そして、愛おしく思える素敵な1冊でした。


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ともゆき

同じくちょうど読了しました。
うん、読んでよかったシリーズでしたね!

映画の方はどうだったんでしょうかね?機会があれば見てみたいです。
by ともゆき (2010-09-07 23:18) 

takao

ともゆきさん、コメントありがとうございます。

本当に、読んで良かったですよね。
正直、最初はどうかと思っていたのですが(^^ゞ
見事に完結してくれた、と言うか、凄くキレイに終わってくれましたね。

映画の方は、好き、と言う意見も結構見るのですが。
ただ、原作全てを2時間に収めているみたいなので、恐ろしくて見ていません。
とりあえず、レンタルしてから購入するかを検討しようと思っているところです。
by takao (2010-09-07 23:22) 

光の未来

映画からくると、心葉クンが小説を書いているラストはしっくりこない。
なにか大切なピースがぬけたジクソーパズルのようだ。
なので、小説を飛ばし読み。
映画のカオスはブラックコーヒーで、小説はドドメ色のコールタールのようだ。
そして、“文学少女”だけでは心葉クンが小説を書くのは・・・小説ではかなり難しいのでは・・・と思ったら、外伝の“見習い”。
美羽よりも高かくなった遠子の壁をどやって越えるのか・・・“卒業”ですっきり出来るかな?
ttp://nicosound.anyap.info/sound/sm443500
by 光の未来 (2010-09-15 02:20) 

takao

光の未来さん、コメントありがとうございます。

すみません。映画は見ていないので、劇場版のラストはどうだったのか分からないのですが。
ただ、遠子先輩の考える、心葉くんが立ち直った、と言う証明が「小説を書くこと」だと思うので、あれで良かった、と私は思います。
二人を繋ぐものは、「文学」だったですし、遠子先輩には、遠子先輩のための作家が必要、と言う意味でも、心葉くんは作家にならなくてはいけなかった、と言うか。

劇場版を先に見てしまうと、印象も違うのだと思います。
私が原作を読んでいるときは、美羽が生きている、と言う事は分かりませんでした。
3巻のラストで、美羽の生存が明かされたときは衝撃的でしたし。
感じ方の違いは、そこら辺から来ているのではないかと。

卒業は卒業で、一人の少女の成長を描いた物語として、非常にすっきりしていたと思います。
by takao (2010-09-15 18:48) 

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