『黒のストライカ』/十文字青 [メディアファクトリー]
十文字青さんの新作です。
かつて,あまねく夜を統べ,闇に名をはせた一族である夜魔(ゴーダン)。その最後の生き残りである高夜椋郎(たかや・むくろう)は,日本で普通の高校生として暮らしていた。しかし,ある日元臣下の吸血鬼(ヴァンピール)の同級生・蔵島翠子と彼女を狩ろうとする吸血鬼狩り(エリミネーター)の西神麗の戦いに巻き込まれたことにより,状況が一変する。
主として椋郎に使えようとする変態の翠子や,命を助けられたと勘違いしてその恩に報いようとする麗。二人に追い回され少しずつ日常が変わっていく椋郎。そして,彼を狙う敵も現れて。
帯にあるように,ジャンル的には「学園異能ラブコメ」です。キャラクターの造形などは,いつもの(と言うほど,氏の作品を読んでいるわけではない気もしますが)十文字青キャラでした。
この巻では,ストーリーと言うよりもまずはキャラクターの魅力で惹き付ける,という感じだったでしょうか。主人公の椋郎は,夜魔の生き残りであるため,妙にプライドが高いところがあるのですが,でも人間の中に生きるためにそれを抑えて暮らしています。ただ,周りにつきまとう存在が現れたことで,その仮面が少しずつはげていくのが面白かったです。自分に傅く翠子や麗には強く当たるけども,幼なじみの”しはる”には頭が上がらなかったり,しはるの事になると,見境がなくなったり。意外なものが苦手だったりと,妙に人間的なキャラだなぁ,と感じました。
個人的に気に入ったのは,変態の吸血鬼,翠子です。椋郎を宗主と認めてからは,彼につきまといます。が,その度合いが変態過ぎて笑いました。一言で言うと,ドMなのですが,隠そうとしながらも隠れていない変態の願望が面白かったです。椋郎も対処に困っているようでしたが,そりゃそうだろうなぁ,と。でいて,最後の場面では妙に積極的になるところとかもあり。見ている分には面白いですが,近くにいたら鬱陶しそうだなぁ,と思いました。
ストーリーとしては,序章という感じでしょうか。いきなり敵の存在が知れ,敵の幹部クラスが出てきたのには驚きました。今回,椋郎は歯も立たなかったので,さらなるパワーアップが必要。新しい僕の存在がありましたが,これからさらに仲間を増やしてハーレムを作っていき力を付けていく,という感じになりそうですね。この辺は,主人公を夜魔の宗主としたことで,自然な展開ですね。敵も敵で,かなりの大勢力であるような描写が見られ,今回はあくまでも戦いの火花で,今後激しい戦いに発展していきそうな印象を受けました。
と言う訳で,今後に期待が持てるようなシリーズかなぁ,と言う感じがしました。一体どこまでシリーズが大きくなっていくか。今から2巻が楽しみです。
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