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『”菜々子さん"の戯曲 小悪魔と盤上の12人』/高木敦史 [角川]

二巻が出ましたね。って,一巻から2ヶ月しか経ってないんですね。物足りなさは感じましたが,面白かったですよ。


“菜々子さん”の戯曲  小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)

“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)

  • 作者: 高木 敦史
  • イラスト:笹森トモエ
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/10/30
  • メディア: 文庫



高校に入学した宮本剛太は,文芸部に仮入部しようと部室を訪れたが,その部長の月ヶ瀬によってはめられてしまう。それを菜々子さんに助けられた事で,菜々子さんの加入する映画研究部に加入することに。そして,映画研究部で活動する剛太にある日,「校内で盗撮写真が出回っている。その犯人は映画研究部である」という噂が流れていることを知る。映画研究部の疑惑を晴らすために,調査に乗り出すことになった剛太。影で彼を操ろうとする菜々子さん。はたして,剛太は真相に辿り着くのか?

1巻は菜々子さんが過去を回想する,と言う形で,小学校で起こった事件と,菜々子さんの歪んだ愛情を描く,と言うちょっと変わった物語でした。が,この巻では,主人公が1年生の宮本剛太に交代。普通の学園日常ミステリもの,と言う趣でした。シリーズ化するなら,これはありでしょうね。と言うか,こうするしかないというか。ただ,その点が少し残念という感じもします。

と言うか,読んでいて米澤穂信さんの『秋季限定栗きんとん事件』がどうしても頭に浮かんでしまうんですよね。菜々子さんと小佐内さんのキャラって似ているような感じもしますし。で,小山内さんに操られるあれ(名前忘れました)が,菜々子さんに操られる宮本剛太,という感じで。『秋季限定栗きんとん事件』をさらにライトノベル寄りにしたら,こんな感じになるのかな?と言う気がします。ただ,こちらはミステリといえるのかなぁ,と言う気もしますが。

ただ,細かい事件(ともいえませんが)を解決しながら,「盗撮事件」を解決していく流れは,楽しんで読めました。まぁ,元アイドルの「若草ひかる」の本名が分かるタイミングは,ちょっと反則気味かな,とは思いましたが。派手な盛り上がりがあるわけでもなく,読ませてくれたのはよかったです。

まぁ,読んでいて思ったのは,やはりこの作品は菜々子さんのちょっと歪な内面の魅力なのかなぁ,と言う気がしました。剛太が,外見の第一印象はあるものの,彼女に惹かれるのも分からなくはないかな,と。男には,小悪魔(と言うレベルでもないと思いますが)に惹かれる面はありますし。ただ,菜々子さんを振り向かせることができたとして,その後が大変だよ,と言う気もしますけどねwあと,菜々子さんって意外と一途な気もしますし。

もう少し,菜々子さんの黒いところとか,歪んだところとかが見られると面白かったなぁ,と言う点では残念な感じもしました。少し黒さをにおわす程度の方が魅力が引き立つと言う判断なのかなぁ?あまり描きすぎると,鼻についてしまう,と言う事もありますし。ただ,私としては狼として牙をむいた小山内さんくらいは全然大丈夫なんですけどね。

シリーズ化するに当たって,菜々子さんを振り向かせようと奮闘する宮本剛太と,それを操る菜々子さん,と言う構図を作れ,次からも安心して読めそうです。前巻が,「ハードカバーで出した方が良いんじゃないの?」という内容だったのに比べて,今回は内容が一気にライトノベル的になった,と言う感じがしましたし。1巻の読みにくさも消えていましたし。

後は,1巻に出てきた,菜々子さんにとらわれている彼がいつ登場するか,と言う楽しみもありそうです。菜々子さんの心変わりがあっても面白そうですし,なくても面白そうです。一体どうなるかな?
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