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『氷結境界のエデン 5 絶対聖域』/細音啓 [富士見]

あまりに面白すぎて,一気読みしてしまいました。おかげで寝不足w

氷結鏡界のエデン5  絶対聖域 (富士見ファンタジア文庫)

氷結鏡界のエデン5 絶対聖域 (富士見ファンタジア文庫)

  • 作者: 細音 啓
  • イラスト:カズカベアキラ
  • 出版社/メーカー: 富士見書房
  • 発売日: 2010/12/18
  • メディア: 文庫

浮遊島(ラグーン)で培養されているのが見つかった幽幻種の真実を明らかにするために,天結宮(ソフィア)と統制庁が会談を持つことになった。天結宮の代表として統制庁を赴くユミィと,護衛の任務を負ったシャルティスたち。こうして始まった会談だが,主張が食い違い,進展はなし。
事態を打開するために,千年獅を持たないユミィの護衛としてついてきている錬護士筆頭・イシュタルは驚くべき提案をする。それは,統制庁が秘宝として隠し持っている『ミクヴァの緋眼』を探し出すこと。全ての事象を記録する力を持つ『ミクヴァの緋眼』から情報を得られれば,自体が進展する,との提案を受け入れるユミィ。そして,そんな危険な任務を託すのは,誰よりも大切に思う幼なじみ。
そんな中,統制庁に現れた「黄金のマハ」とイグニド。統制庁を舞台に,戦いが始まる。

 

もう,ものすごく面白くて。個人的にツボ過ぎて,全てが良かった,という感じです。

何よりも良かったのが,新キャラのキャラクター。この巻では,前の巻で名前だけ出ていた「祓戈の到極者(ジルシュヴェッサー)」,イシュタル。『黄昏色の詠使い』からのファンなら,ジルシュヴェッサーと言うワードを見ただけでわくわくしてくるのですが,イシュタルのキャラがさらに良かったです。一言で言うと,極度のシスコンwそして,飄々とした性格。そんな感じで,普段は錬護士筆頭と言う実力者とは思えない,軽快なキャラクターでした。ところが,ユミィに危険な任務を提案するときや,シャルティスを押し出すときは,さすがと言うべきシリアスな面を見せて。ただ,彼女の絶対聖域を侵したものに対する態度が心震えてくるようで。サブタイトルの「絶対領域」,この意味だったのか,とハッとさせられました。讃戦歌(オラトリオ)を歌い,戦いに挑む彼女のなんと勇ましいことか。

個人的にお気に入りだったのが,統制庁側の特務機関『天の車』の第一・ゼアドールでした。まじめで任務に実直,という感じの武人キャラ。しかし,ちょっと抜けたところもあり。いや,いくらシャルティスが誠実に答えたからと言って,秘密をしゃべっちゃダメだろう,と。最後の,第七との会話は,生真面目なのにそれ故にコミカルに感じて楽しかったです。

物語本編は,まだまだ真相は闇の中,という感じです。相変わらず,『黄昏色の詠使い』との関連を感じさせる部分は多いです。この巻では,イグニドが自分のことを「空白」と言ったのが気になるところでしょうか。そして,シャルティスに対して,

「(前略)『初めまして』,そして『お久しぶり』。この世界で会う時を待ち望んでいました』(P.290)

という台詞も。空白を名乗る存在。アマリリスの洗礼を受けた者との対比を考えると,もしかして,と思わざるを得ません。と言う事は,シャルティスにエデンの魔笛を与え,最深部でシャルティスを待っているのは,もしかしてあの存在?と妄想が膨らんで止まりません。

そして,肝心のシャルティス,ユミィの進展ですが。元々惹かれ合う心故に,相手を求める者の,それを赦さない運命,と言うのが相変わらず残酷だなぁ,と感じました。もう,触れてしまえばお互いが傷つくことが分かってなお,相手を求めてしまうユミィの気持ちが切ない。今回の危険任務を通して,ユミィはシャルティスが自分の千年獅となることを待つ辛さと,それでもまつ気持ちがよく現れていたと思います。そして,シャルティスは,ユミィが悩んでいるときに,自分が近くにいることができないことの無力を痛感し,千年獅を目指す気持ちがさらに強まったような気がします。応援したい二人なんですが,まだまだ二人が寄り添える未来は遠くにあるようです。

さて,何か振り返ってみれば,イシュタルのための物語だったようなこの巻でした。と言うのも,核心部分に関しては,天結宮,統制庁以外の第三勢力(おそらく,エデン側)の存在の判明。シャルティスとイグニド,何らかの因縁を持った二人の出会いだけ,という感じで,物語が進んでいないように感じるからでしょうね。相変わらず,皇姫サラと,ツァリがシャルティスとユミィを見守っている,という感じの描写は見られはしました。しかし,この二人も,秘密を知っていて,二人が切り開く未来に期待しているようですが,一体何を願っているのか,それが分かりません。二人に託されたものが何なのか,非常に気になります。


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ask

ちょっと!GOSICK再読してたのに読みたくなったじゃないですかw
かく言う私も、ジルシュヴェッサーと聞くとワクワクが止まらない側の人間です。エイダ……。

4巻でようやくネジが廻り始めたな、という感覚だったのですが、こうなると5巻はより期待できそうです。正直2、3巻はかなり不安を感じてたんですが、これまたドラマCDのキャストが凄いんです。一時期の不安を吹き飛ばすくらいに絶好調そうなので、GOSICK読み終えたら取り掛かろうと思います。すみません、ゴスロリは譲れないんですw
by ask (2010-12-23 00:45) 

takao

askさん,コメントありがとうございます。

前作が好きだと,そのワードが出てくるとわくわくしてきますよねw
この巻でも,前作関連のワードがたくさん出てきて,わくわくが高まってきますよw
何か,2,3巻あたりはイマイチだった,と言う人も多いですよね。
私は最初から一貫して楽しめているのですが。
シャルティスが千年獅となる物語なんだから,シャルティスが活躍しなくてどうするの?的な。
あと,どちらかというと,二人の恋愛を見守りたい,と言う立場からの感想かも知れませんね。

ドラマCDのキャスト,なかなか豪華でしたね。
これでアニメ化?と思いたいのですが,『H+P』も『SH@PPLE』もドラマCDになってアニメ化してないから,希望薄かなぁ,何て思っています。
個人的には,レオンの中村悠一さんが気になるところですw

GOSICKは,実は1巻途中で読むのを断念していたりしますw
今は,角川文庫版を買っているので,いつか読みたいと思っています。

こちら,かなり面白かったですし,是非ご堪能下さい。
by takao (2010-12-23 15:46) 

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