SSブログ

『聖剣の刀鍛冶 #12.Sacred Sword』/三浦勇雄 [メディアファクトリー]

(あらすじ)

全市民の耳目を集めることとなったセシリーのプロポーズから数日、市民の移住計画と平行して騎士団による封印の再強化計画もまた開始されていた。ブレア火山の洞窟奥深くに広がる“氷の真”に幾本もの聖剣のレプリカが突き立てられる。
その光景は、まるで墓標。--そしてこの計画が、新たな事態を引き起こすことに。一方、キャンベル家のメイド・フィオはセシリーのためにウェディングドレスを用意していた。かたやルークもまた、セシリーのためにリサとともに“ある刀”を打つ。やがて来る帝国との最終決戦を前に、一条の光がこぼれ射す、最新巻!!

(感想)

セシリー、ついにウエディングドレスですよ、ウェディングドレス。手に持つのは、聖剣。いよいよシリーズラストの戦いが幕を上げることを感じさせる最新巻でした。

衝撃的なセシリーのプロポーズとその結末で終えた11巻。そこから始まった12巻は、セシリーとルーク、二人が夫婦として共に歩き始めることを描きつつ、今までふせられていたことが明かされ、さらに最終決戦に向けてのお膳立てが行われました。

何はなくても、まずはセシリーとルーク。この二人の結びつきの強さがこの巻の印象を強めていたと思います。聖剣の刀鍛冶と、聖剣の鞘という二人の出会い。ルークに惹かれつつも、不器用さ故に本心を出せないセシリー。セシリーに惹かれつつも、リーザのこと、これまた不器用さ故に本心を出せないルーク。その二人がようやくお互いの気持ちを確認し合ってからの日々。それは表面上、今までとあまり変わらないように感じられました。しかし、お互いの気持ちがわかっているからこそ、そこに込められた相手の思いの強さが実感されていたように思います。これこそ、今までたくさんの試練に耐え、過酷な運命と闘ってきた二人に対するご褒美としては最高のもののように思います。

そして、もう一つの見所は、帯にも書かれた「アリア、復活。」。これでしょう。セシリーのそばにあり続け、過酷な戦いの果てに倒れたアリア。復活の道筋を見せつつ、今まで沈黙を保っていた彼女のようやくの復活。その復活は予想どおりのものでした。生まれ変わったアリア。読者としては、賛否が出そうなその復活ですが、ひとまず良かったと思います。セシリーが言うように、「もう一度始め」る二人の絆。楽しみなところです。

聖剣の登場、次世代の聖剣の完成。ルークの視力。シーグフリードの出生。エドヴァニについて。初代ハウスマンの悪魔のような実験。今までふせられていたこと、懸案事項が一気にオープンになったのも12巻の特徴だったと思います。これで、隠されていることはもう全てが明かされたように感じます。そして、エピローグ。いよいよ最後の戦いの幕が開けられたことを感じさせる展開に胸が熱くなりました。最後は、セシリーの絆と信じる正義VSシーグフリードの絶望、と言う展開になるでしょうか。楽しみです。

そして、今回は挿絵が良かった。いつも素敵なイラストを見せてくれる屡那さんですが、今回はさらに良かったと思います。それぞれのキャラの持つ感情までが伝わってきそうなイラスト。特に、セシリーの挿絵は、彼女の優しさ、凛々しさ、幸せがあふれ出しているように感じられました。本編の内容と挿絵が見事な相乗効果を見せてくれる、そんなすばらしさでした。

物語もいよいよクライマックス。作者もあと二、三冊くらいで完結とのことです。絶望的な展開が続いてきただけに、これからのセシリーの反撃を楽しみにしたいです。

聖剣の刀鍛冶12 (MF文庫J)

聖剣の刀鍛冶12 (MF文庫J)

  • 作者: 三浦勇雄
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2012/03/22
  • メディア: 文庫

 


ブログパーツ
nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。