SSブログ

『天使の3P!』/蒼山サグ [アスキー・メディアワークス]

(あらすじ)

『ロウきゅーぶ!』の蒼山サグ&てぃんくるで贈る、ロリポップ・コメディ開演!

 過去のトラウマから不登校気味の貫井響は、密かに歌唱ソフトで曲を制作するのが趣味だった。そんな彼にメールしてきたのは、小学五年生の少女たち──!?
「わ、私。大好きなんです。やさしくて」泣き虫っ子な五島潤(通称:潤たん)。
「よくもうちの潤をキズモノにしたわね」強気そうな紅葉谷希美(通称:ぞみ)。
「はむ。わたしたち、もう高学年だよ?」はむはむしている金城そら(通称:くー)。
 子供の頃から一緒に育った三人が、想い出作りと感謝のために、一生懸命奏でるロリ&ポップなシンフォニー!

天使の3P! (電撃文庫 あ 28-11)

天使の3P! (電撃文庫 あ 28-11)

  • 作者: 蒼山 サグ
  • 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/06/08
  • メディア: 文庫

感想は追記にて

(感想)

『ロウきゅーぶ!』で話題をさらった蒼山サグさんの新作は、またもや高校生の主人公と、小学生の少女達の交流の物語。さすがは蒼山サグ!というべきでしょうか。そして、タイトルが『天使の3P!』。もう、完全に狙っています、といわんばかりで、ついつい買ってしまいました。帯の時雨沢恵一さんの「そうですおまわりさん、彼がサグです。」は秀逸です。

さて、タイトルの3Pですが、これは「スリーピース」。そう、今回はバンドがテーマ。作者がバンドマンを目指していたようですし、自分の持ち味を生かした作品となっていたように思います。 これって、かなり武器だなぁ、と感じました。ラノベにおいて、作品の偏りが指摘されることがありますが。それって要は、作者の経験のなさ故かなぁ、と思うことがあります。それ故に、『ロウきゅーぶ!』でバスケット、この作品で『バンド』を描けるのは、素晴らしい、と。そこに小学生を絡ませるのも、巧みです。

さて、作者蒼山サグ、イラストてぃんくる、タイトルが『天使の3P!』、主人公が高校生で、小学生が出てくる、と狙いまくっているようなイメージですが、読んでみると、割とオーソドックスな成長物語かなぁ、という印象でした。とあるきっかけから学校に行けなくなってしまった主人公。その彼が、思い出の場所で思い出を作る為にひたむきに頑張る小学生に出会ったことで、過去を乗り越えて変わっていく。そして、小学生の方も、主人公の影響で、少しずつ自分たちの殻を破っていく。実は作品世界の中心は真面目なんだなぁ、という印象です。

読書メーターの感想でも有りましたが、メインキャラの年齢をあと4つ全体的に引き上げても全く違和感がないように思います(お風呂のシーンだけはさすがに無理があるかな?)。ただ、それだと小学生が描けないので今の設定、という所なのでしょう。

最初からこの巻だけで完結することを意識しているためか、展開はうまくいきすぎているかなぁ、という感じがしないでもありません。ただ、周りの人がいい人すぎるのは、他の物語作品でもよくあることです。また、メインが主人公達の成長と捉えると、その成長に対する成果としてのラストとして納得できました。

キャラクターに関しては、小学生達が『ロウきゅーぶ!』のまんまっぽいところがあり、作者の引き出しの少なさを感じました。ただ、テンプレートでありながら、主人公の妹はなかなか可愛かったので個人的にはよしです。タイトルの『天使の3P!』の中には入っていませんが、個人的にはこの妹に天使の称号を与えたいです。

と真面目に感心していたのですが、

全裸の妹を抱ける悦び、プライスレス。(P.200)

小学生って最高だな。(P.207)

を読んで、「あぁ、やっぱり蒼山サグだなぁ」と思ってしまいました。このぶれなさ、ネタをネタとして使えるところは素晴らしいですが。

物語はまだ始まったばっかり、という印象。あとがき見る限り、作者も『ロウきゅーぶ!』の合間に描いていくようですし、どうなっていくのか。展開としては、主人公と3人が実力と知名度を手に入れていって、最終的には大成功する感じかな。ただ、一筋縄でいかせるとは思いませんし、楽しみにした作品です。


ブログパーツ
nice!(12)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 12

コメント 2

大林 森

うはははwwタイトルがあざとすぎる!(・谷・)!ロウキューブの時も思いましたけど作者様の直球勝負には頭がひたすら下がります。(>_<)(意外と難しいんです・・・。)

作品においての作者の経験が生きてくるのは確かに仰る通りだと思います。(・´з`・)私もこもってないで色々経験しないと・・。トホホ・・。
by 大林 森 (2012-06-16 23:09) 

takao

大林 森さん コメントありがとうございます。

タイトルのあざとさはかなりのものだったと思いますw
最近のラノベだと、ひらがな4文字とか文章調(「~な件」みたいな感じ)が多かったですが、ココまで直球の紛らわしいタイトルだと、むしろ潔い感じです。
ココまで思い切れるのは、確かに凄いですね。
ネーミングセンスといい。

経験って、本当に大切だなぁ、と思いました。読んでいて。
知識で知っているのと、実際にやっていたのでは全然違うんですよね。
色々やってみたいものですね。
by takao (2012-06-17 09:36) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。