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『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。 下』/岡田麿里 [メディアファクトリー]

(あらすじ)

いつだって、いつまでだって、なかよしなんだ――。とつぜん帰ってきた少女「めんま」の願いをかなえるため、かつて幼なじみだった高校生たちは再び集ま る。しかし一人ひとりの胸には、痛みがしまい込まれていて……。大反響を呼んだアニメの、脚本家みずからによる小説版がいよいよ完結。小説だけのオリジナ ル・エピソードを満載!(メディアファクトリーウェブページより)

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(下) (文庫ダ・ヴィンチ)

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(下) (文庫ダ・ヴィンチ)

  • 作者: 岡田麿里
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2012/08/10
  • メディア: 文庫

感想は追記にて

(感想)

待ちに待っていた、脚本家によるノベライズ本下巻がついに発売されました!待たされましたね。勝手に、「半年位したら出るんじゃないかなぁ?」なんて思っていたら。まさか、1年間待たされることになるとは。「アニメを観ていない人の感想は興味深い」という言葉を聞いて以来、ノベライズを読んでからアニメを観ようと思っていたものとしては、ようやく開放される、と言うべきでしょうか。何にせよ、「発売されないんじゃないか?」と半分思っていたので、無事出てくれたことを喜びたいです。

めんまの存在を感じることができた超平和バスターズの5人。めんまの願いを叶えるために動く5人。その中で、それぞれが自分が抱えてきた、対峙したくなかった思いと向き合わざるを得なくなりながら、それぞれが自分のあり方を見つけていく物語なのかなぁ、何て思いました。

序盤は、それぞれが内面と向き合っていく場面ですが、それが自分にとって向き合いたくなかった思いだけに、各人が血を吐くような思いで向き合っているような印象を受けました。時に、胸が苦しくなり、時に涙腺が緩んでしまうようでした。それが、めんまの願いを叶えるために必要な事だったとはいえ、大変な思いだったように思います。

その終着点が、あの日のやり直しだったのは、なかなかに残酷であったように思います。その後の5人の心を見るに、それがどうしても5人が新しい関係を築くために必要だった儀式だったのですが。始めは反発をしながらも、それを受け入れて自分の思いを出すことができたじんたんの心の強さを感じたように思います。超平和バスターズに上も下もない、という結論にいたったじんたんですが。いやいや、あなたの心の強さは、間違いなくリーダー向きですよ、と言いたいです。

めんまの願い。何となく予想しながら読み進めていましたが、全く違うものでしたね。ただ、彼女が信じていた願い、と言うのが最後まで「誰かのための願い」だったことが興味深いな、と思いました。じんたんがめんまのことを「誰かのために泣いてばかり」と評していましたが、そんなところまで誰かのためとは。だからこそ、他の5人はみんなめんまが好きだったのでしょう。

めんまの最後の願いを叶える、という目的に向かって行動する中で、自分の心と向き合い、本質を見つけ、未来に向かう道を見つけることができたように思える超平和バスターズ。こうして見てみると、めんまはばらばらになってしまった超平和バスターズをくっつけるために現れたのではないか、と思えました。「誰かのために泣ける」めんまだったからこそ、その役割が可能だったでしょう。そう考えると、めんまの最後の願いというのは、最後に柱に書き残した言葉だったのかもしれませんね。その思いが叶っていない現状があったからこそ現れて、その願いが叶ったから、成仏できた。

序盤からの展開。ちょっと大げさかなぁ、と自分でも思いつつ、時々目頭が熱くなってしまう展開でした。後半の展開は、ぼろぼろと泣いてしまって、のどの奥が苦しくなってしまいました。高校生という未熟な時機。未熟だからこそ過ちも犯すし、公開もする。それと正面から向き合い、次に進むステップを描いた物語だからこそ、これだけ胸に刺さり、感動し、心に残ったのかなぁ、感じました。確かに、このアニメが評判になるのも分かるようです。なんと言うか、不器用だけど誠実な物語なのかなぁ。

私自身、アニメの方をまだ見ていないので比較はできませんが、ノベライズはノベライズ自身で過不足ない物語が紡がれていたように思います。入れ替わりの激しい出版業界ですが、10年後20年ごと残って欲しい物語です。


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コメント 2

cherryh

下巻、出先で読んだのですが、めんまのお願いが明らかになるところ、アニメを観ていたにもかかわらず、うるうるきました。いい小説版でした。
by cherryh (2012-08-13 21:57) 

takao

cherryhさん、コメントありがとうございます。

私は、アニメ観ていないので新鮮な気持ちでしたが、「まさかめんめのお願いがこんなことだったのか」とうるうるしてしまいました。
5人の見送り方もいいんですよね。
アニメの方、楽しんで見ていますが、どちらもよさがあっていいなぁ、と思います。
by takao (2012-08-14 20:08) 

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