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「るろうに剣心」を見てきました [映画]

どうしようかなぁ、と悩んでいたのですが、思い切って実写映画版「るろうに剣心」を見てきました。

人気原作の実写映画化作品。なぜ今?という気がしないでもないですが。派手なアクションシーンが宣伝されたりしていました。ファンとしては、見ない方が、と思いつつ、ファンだからこそ、という思いで見てきました。

見終わってみると、色々な意味で凄い映画だ、と感じました。映画上映が134分。基本的に突っ込みっぱなしでした。そのモードに入らせてくれたのは、全ては開始3分にあったのですが……。

という訳で、個人的に「凄い」と思ったポイントを、追記にてご紹介したいと思います。これはあくまで一視聴者の感想であることをご理解の上、ご覧下さい。

ちなみに、「凄い」とは主に皮肉です。

さて、映画です。先行上映のためか、お客さんが10人くらいしかいませんでした。あまりの少なさに、「自分は間違ったスクリーンに入ったのではないか」と始まるまでひたすら不安だったのは内緒です。

さて、本題に。ポイントは私が思い出した順に書いています。映画の流れにそってませんのであしからず。

<時代の最先端を走る斎藤一が凄い!>

スタートは鳥羽伏見の戦い?から。激しいアクションシーンが繰り広げられる中奮闘する緋村剣心。己の信じる正義のために刀を振るう斎藤一。そして、鵜堂刃衛。人斬りの目で刀を振るう。銜えタバコで戦う斎藤。……銜えタバコ!?

見るからに、紙巻きタバコのような感じ。あれ?この時代って紙巻タバコあるんだっけ?こうなってしまったら気になって仕方ありません。「私、気になります!」ということで、客が殆どいないことをいいことに、スマートフォンで検索しました。よい子のみんなはまねしちゃ駄目だよ!

紙巻タバコ自体、17世紀にあったことが分かったので、とりあえず安心。問題は、「日本に伝来したのが何年か」ということですが、映画を見ているときは気にしないことにしました。

ちなみに、その後軽く検索して見た結果、たばこが日本に伝来したのと、鳥羽伏見の戦いの戦いの時代は、ぎりぎり一致することが分かりました。そう、斎藤一は「自分のキャラを立てるため」「戦場で」「当時、日本に入ってきたばかりの紙巻タバコ」を吸いながら戦っていたのです。なんと言う、時代のトップランナー。歌舞伎者。

紙巻タバコが伝わったのは、明治時代、と書いているような気がしますが、気にしません。

 

<活躍しそうで活躍しない斎藤一が凄い>

物語の冒頭から登場。その後、ことあるごとに剣心の目の前に現れて、彼の本質が人斬りであることを伝えようとする斎藤一。るろうに剣心における彼の代名詞といえば「牙突」。原作ファンとしては、そこに期待してしまいます。彼が剣を振るうシーンは計3シーンだったと思います。まず、冒頭の鳥羽伏見の戦い。もちろん、普通に刀で斬ります。牙突なんて使いません。

2つ目のシーン。腑抜けた剣心を前に、彼と戦うシーン。腑抜けてしまった彼の目を覚ますために、斎藤一は刀を振るいます。相手は腑抜けているので、当然牙突なんて使いません!

3つ目のシーン。武田観柳withガトリングガン戦。ガトリングにどうやって立ち向かおうかとする剣心と左之助にアドバイスを与えます。ようやくこのシーンで牙突!しかし、貫いたシーンがよく見えないので何とも地味な印象。構えは雰囲気があってよかったのになぁ。

そして鵜堂刃衛を倒した剣心の前に現れた斎藤一は、人斬りの本性を彼に説きます。

あれ、これだけ?わざわざ斉藤さん出したのにこれだけ?これなら出さなくてもよかったんじゃない?もっとも、出さなくてよかった、と言う意味では左之助もかもしれませんが。

 

<脚本が凄い>

お話しは、武田観柳の話を軸にして、大胆にアレンジを加えています。剣心と薫との出会いから、武田観柳まで。そこに斎藤さん出したり、左之助と出会ったり。原作では武田観柳戦といえば、四乃森蒼紫ですが、そこまでフォローしていたら3時間くらいの大作になってしまうので、泣く泣く御庭番衆の出番はカットされました。まぁ、無残に殺されなくてすんだので良かったかも知れませんが。ちなみに、蒼紫様の出番がなくなった代わりに、鵜堂刃衛が最後の敵として立ちはだかることになっています。

しかし、四乃森蒼紫は出ないのに、不思議なところが一つあります。「仮面をかぶったキャラが一人いるのです」。般若さん?と思ったのですが、エンドクレジットという名の戦犯クレジットを見ていてなっとく。外印さんでした。ちなみに、左之助と観柳邸で戦っているのは誰だろう、と思ったら、戌亥番神でした。なるほど。彼らは6人の同士になる前に、武田観柳に雇われていたのですね!大胆な脚本!

剣心VS左之助戦、剣心&左之助&斎藤一VS武田観柳戦など、オリジナルの戦いを描いているのに、最後の鵜堂刃衛戦だけは原作を忠実に再現しようとしている意味が全く理解できないのも凄かったです。

 

<薫さんの優しさが凄い>

剣心とひょんな事から出会った薫。彼に助けられるうちに親しくなっていくのは原作どおり。鵜堂刃衛に切り捨てられそうになったところを助けてくれたり、道場を荒らす武田観柳の手の者を倒してくれたりした剣心には、もちろん恩を感じます。警察に捕まった彼を当然迎えに行きます。「どこにも行くあてがないでしょう?」と。もちろん、剣心がいつ釈放されるか分からないのに、直前まで雷雨であろうが警察署の前で彼を待っています。いつから待っていたのだろう、とか下種の勘ぐりです。キッと警察署の署員が教えてくれたのです。

また、薫さんの優しさはとどまることを知りません。剣心が来る前から、街に住む孤児の弥彦に剣術を教え、ご飯も食べさせています。居候させているのです。その割に、弥彦の顔が最初から最後まで汚れているように見えたのは、きっと気のせいでしょう。文句を言いつつ、弥彦が連れてきた恵も居候させるくらい優しい薫さんが、それを放っておくはずがありませんから。

また、薫さんの優しさが伝わる場面がもう一つありました。それは、町のみんなに頼られているシーン。町からの信頼度が分かり、薫さんの人となりが分かるようでした。もちろん、道場が荒らされていたら「剣心が全員ノックアウトした後に」町の人が警察を連れて助けに来てくれます。また、薫さんはよほど信頼されているようです。「町の医者がなぜか全員いなくなっている」状況で「町の住民が謎の症状で苦しんでいる」とき、町の住人が薫さんの元に「何とかしてやってくれ」と押し寄せてくるのです。薫さんは医術の心得があると思われていたのでしょう。さすがは薫さんです。心の一方を破ったのはダテじゃありません!

 

<登場人物のタイミングのよさが凄い>

これは原作のマンガにも大きく要因があるでしょうが。鵜堂刃衛が薫を切ろうとした瞬間、助けに入る剣心!剣心が釈放される時に迎えに来ている薫。赤べこで牛鍋を4人で食べていると現れる武田観柳。朝早く武田観柳邸に行こうとしているところに現れる左之助!そこに「恵さんがいないの」と手紙をもってくる薫。外印と番神を倒して、武田観柳と戦っているとき、タイミングよく現れる斎藤一。まるで超能力で通じているかのようなタイミングの連続でした。

 

<鵜堂刃衛が凄い>

冒頭、維新がなったことを悟った剣心は刀を地面に突き刺して去って行きます。その後、生き残った刃衛が苦し紛れに刀に接触。その刀に残った人を切った記憶から、その刀が緋村抜刀斎の刀であることを知り、その刀を手にします。結局、彼は剣心戦もその刀で戦っているわけですが。

鵜堂刃衛が心の一方だけでなく、サイコメトリーを習得していることを見逃せませんでした。

また、あえて恵を助けに来た剣心を出し抜いて薫を誘拐し、剣心の本気を引き出そうとした彼の慧眼には恐れ入りました。どうやって知ったし。

……彼はどうして「神谷活心流」を名乗っていたのかは、彼が死んでしまった今となっては闇の中……。

 

<アクションが凄い>

とにかくど派手です。個人的には、飛天御剣流は一振りで2,3人斬り飛ばしていたイメージがありますが、原作ではあくまで一人一人を斬っていました。スライディングで相手の股の下をすり抜けたり、スライディングのようなものをしながら、敵を何人も倒したり。CMであったと思いますが、走った勢いのまま壁を蹴り上がっていくなどのアクションもありました。印象的なシーンですが、その印象を失わせないように、壁登りは「3回程度使われます」。そのおかげで、さらに印象が強まります。なんと言う緻密な演出!ちなみに、剣心のジャンプ力が高いのかと思ったら、刃衛も同程度ジャンプしていて、この時代の人々の身体能力の高さが感じられました。

殺陣も見逃せません。個人的には桃太郎侍のような、多少嘘くさくても流れるような殺陣が好きなので、派手な殺陣はあまり評価できませんが。しかし、時折挟まれるスーパースローのシーンが、戦いの緊張の一瞬を切り取っていました。決して、決めるシーンではなく、剣劇の途中のシーン、というのが小憎い。遺憾なくだささが発揮されていたように思います。

 

<緋村剣心が凄い>

「おろ」など、現実世界ではあり得ない恥ずかしい科白を自然に使いこなす佐藤健さんの演技が素晴らしかったです。特に見所は、最後の戦い。剣心を本気にさせるために刃衛が薫に放った心の一方。肺まで麻痺させるそれによって、薫はもって2分の状態にまで追い詰められます。薫を救うには、「薫自身が心の一方を解く」か「術者の刃衛を殺して、闘気を消し去るか」の2択。薫を救いたい剣心としては、一刻も早く刃衛を殺すしかありません。剣心は再び人斬りに戻ることを決心します。そのために剣心は、「森の方に移動しながら刃衛と激しい切り返しを繰り広げ」、「龍墜閃で刃衛の頭を叩き、出血させ」(普通、この時点で死ぬと思うが)、「たっぷりの構えで気合いをこめて、飛天御剣流抜刀術・相龍閃で刃衛の右手の肘を破壊し」「腱を破壊したことで刃衛の剣士としての命を絶ったことを告げ、彼に絶望を与え」その上で刃衛を殺そうとしました。さすが伝説の人斬り。やることがえぐいというか。時間がない状況でも慌てません。薫さんが何となく呼吸しているような素振りをしていたところを見逃さなかったのでしょう。2分なんて余裕で経っていますが。薫さんが心の一方を解くことを信じていたのかもしれません。二人の信頼関係に完敗です。

 

<外印が凄い>

なぜか登場した外印。人形遣いだった彼はなぜか2丁拳銃と短刀使いになっていました。もちろん、若返り余裕です。ちなみに、彼の使う2丁拳銃はリロードせずとも何発も弾が出ます。きっと撃っていたのは弾ではないのでしょう。

<番神が凄い>

というか、原作のイメージないし。

<武田観柳戦が凄い>

シリアスな状況に、軽い笑いを入れてくるのが凄い。

 

<香川照之の演技が凄い>

これは素直によかったと思います。もちろん、佐藤健の剣心も江口洋介の斎藤一も吉川晃司の鵜堂刃衛もみんなよかったですが、香川照之の狂気を感じる演技が一番よかったと思います。

 

と、とにかく凄いことだらけでした。他にもあったような気がしますが、割愛させて頂きます。元々期待してなかったのですが、その期待を裏切らないできだったと思います。冷静になってみると、面白くないこともなかったような気がしないでもないこともなきにしもあらずなのですが。やはり、私のような斜に構えた人間は、一つ気になってしまうとダメですね。

個人的には、映画館で見るなら「桐島、部活やめるってよ」を見た方がいいと思った次第でした。


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