『明日の子供たち』/有川浩 [幻冬舎]
(あらすじ)
想いがつらなり響く時、昨日と違う明日が待っている! 児童養護施設を舞台に繰り広げられるドラマティック長篇。
諦める前に、踏み出せ。
思い込みの壁を打ち砕け!
児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍ある新任職員。
愛想はないが涙もろい三年目の和泉和恵や、理論派の熱血ベテラン猪俣吉行、“問題のない子供"谷村奏子、大人より大人びている17歳の平田久志に囲まれて繰り広げられるドラマティック長篇。
Kindle版はないみたいです。私はメインでkinoppyを利用していますが、そちらは電子書籍版があります。
感想は追記にて。
『少女は夏に閉ざされる』/彩坂美月 [幻冬舎]
(あらすじ)
高校最後の夏休み。「ある理由」から帰省せずに女子寮に残った七瀬は「死んだ女生徒の幽霊」の噂を耳にする。一方同じ居残り組の双子・日向と美夜子は男性教師・神崎が女性を撲殺する瞬間を目撃。狂気に満ちた神崎に追い詰められる少女たち。そのとき死んだ女生徒の親友と名乗るあかりが寮に現れーー。叙情的かつスリリングな、青春群像ミステリ。
感想は追記にて。
『深愛』/水樹奈々 [幻冬舎]
この本は,「本が好き!」のサイトで献本としていただきました。つたないながらも書評も書かせていただいております。「本が好き!」さま。そして,この素敵な本を献本として提供くださった幻冬舎さまに感謝申し上げます。
なお,このブログの感想に関しては,「本が好き!」に掲載したものを若干修正して掲載しております。あちらは字数制限があったので(^^ゞ
このブログをいて下さる方なら,おそらく知らぬ人はいないであろう人気声優にして,紅白⒉年連続出場を果たした歌手,水樹奈々さん。その彼女自身が自らを綴る自叙伝。幼少時,地元ではコンクール荒らしとして有名だった,と言うエピソードがありますが。その力を育てた父の特訓から,声優としてデビューすることになった切っ掛け。そして現在に到るまで。彼女の語りによって,その歩みを読み取ることができました。
まず何より感じたのが,彼女が声優として,歌手としてプロフェッショナルであること。声優にかける思い,歌にかける思い。そこには,誰よりも自分に厳しい思いが見てとれました。その厳しさによって,現在の彼女と,地位が築かれてきたのだ,と痛感しました。
そして,それを支えるのが彼女の心の強さ。楽しい過去もありました。しかし,幼少期のイジメ。なかなかデビューできないもどかしさ。下宿していた先生によるセクハラ。彼女の今の笑顔からは想像できない辛い過去もありました。自分だったら,逃げ出したくなるのではないだろうか,とも思える状況において,逃げなかった彼女の強さ。これは,どんな過去であってもそれを
「人生に,無駄な経験なんてきっとひとつもない。」(P.30)
と,いう信念があったからでしょう。その強さ,ひたむきさに打ちのめされる思いでした。心の輝きとも呼びたくなるような心の強さ。私の場合は,はじめて彼女を知った時はあまり良い印象を抱けませんでした。しかし,気づいたら彼女の大ファンになっていた。それは,この彼女の輝きが,強さがあったからなんだ!と納得しました。
彼女の現在は多くの人との出会いによって築かれています。その出会いを作ってきたのは,彼女の強さがあったからではないではないでしょうか。彼女の持つ,人間的魅力によって,周りの人すらも,水樹奈々のファンとしてしまったのでは,と感じました。
この本,全編を貫いているのは,タイトルにもなった「深愛」。それは誰あろう,彼女の父親に向けられていたと感じました。父が育てた種から,現在の声優・歌手としての水樹奈々という花が咲いたといっても過言ではないでしょう。現在の彼女を支える強さ,素養。その彼女の魅力は,父から引き継いだもの,あるいは父が育てたものなんだ,と強く感じました。
この本を読んで,私はますます水樹奈々さんの事が好きになりました。それくらい,彼女の人間としての魅力にあふれた自叙伝でした。おそらく,彼女のことを知らない人でも,この本を読めば彼女のファンになるだろう,とすら思いました。彼女の強さと魅力があれば,彼女はどこまでも羽ばたいていく。そう感じた一冊でした。
↓「本が好き!」へのリンク。こちらも見ていただけると幸いです。
深愛
- 水樹奈々
- 幻冬舎
- 1680円
書評