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荒野/桜庭一樹 [文藝春秋]


荒野

荒野

  • 作者: 桜庭 一樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/05/28
  • メディア: 単行本



『私の男』で直木賞を受賞した後の第一作。それが、ファミ通文庫で出たものに加筆修正したもの、というのは、桜庭一樹という人を象徴している、と言えばそうなのかもしれません。文藝春秋社の阿漕な商売、とも言えますが。

私にとって、桜庭一樹と言う作家は、面白いと思うものの引っかかる点があり、手放しで絶賛、とはいかない人です。直木賞からの新参者なので、偉そうなことは言えませんが。でも、面白いことは面白いので最近出版されたものは積極的に購入しています。そして、読まずに積む訳で、この本もずっと積んでありました。そして、今回読もうと思い立ったものの、あまり期待はしていませんでした。前置きが長くなりましたが、結論としては、非常に面白かったです。

『荒野の恋』は読んでいないので、比較はできませんが、まず文体がラノベっぽくないですね。堅いという印象を受けることもなく、良い感じだと思いました。内容も、「いかにもラノベ」というものでなく、ラノベ的要素を取り入れながら、一般向けとしても通じるような気がしました。『少女には向かない職業』とか『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』とかよりは遙かに。確かにこれは、受賞後第一作にしてもいいかな、という感じ。

内容としては、恋愛小説、のような形を取っていながら、少女・「荒野」の成長が中心だと感じました。そもそも、恋という面なら、1巻で完結している気がしますし。2部3部では悠也の出番が少ないですし。その点からタイトルを『荒野の恋』から『荒野』に変更したのは正解だと思います。まあ、2部読み始めたときは『あずきちゃん』みたいになるのではないかとひやひやしましたが。ちょうど、登場人物の配置も同じような似ているように感じましたし。

一人の少女が、一人の女へと成長していく姿は、非常に興味深いものがありました。これ以上発展がなさそうですが、もう少し読んでいたいと思いました。

しかし、恋愛の気持ちを「波」で表すのが好きだな、とつくづく思いました。それと、父の話し方が『GOSICK』のヴィクトリカに似ているなと感じ部分があり、少し苦笑い。本当に些末なことなのですが。

11月は、橋本紡さんの『猫泥棒と木曜日のキッチン』が新潮文庫ででるようですし、ライトノベルを一般向けとして表紙を変えて売り出すのは、もう少し続きそうな気配がしますね。どうなっていくか、ちょっと楽しみです。
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