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『空色パンデミック 2』/本田誠 [エンターブレイン]

1巻があまりに見事だったので、そのままの勢いで2巻を読んでしまいました。

 

空色パンデミック2 (ファミ通文庫)

空色パンデミック2 (ファミ通文庫)

  • 作者: 本田 誠
    イラスト:庭
  • 出版社/メーカー: エンターブレイン
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫

 

 

結衣の劇場型発作の日が終わったあの日から、景はあることを悩んでいた。それは、結衣に対する自分の好意は、実は彼女の空想によって生み出されたものではないか、と言う事。
そんなある日、教室で、駐輪場の掃除当番で知り合った今井さんから声をかけられる。「あなたに話がある。私の名はブーケ・ザ・ボマー」と。
彼女によって、世界が変化しようとしていることに気づいた景は、世界を守るために、再び「ピエロ・ザ・リッパー」として、世界に戦いを挑む。

1巻が、応募作、と言う事で非常にキレイに終わっていたので、どうつなげるのか、と思ったら、こう来ましたかw簡単に言うと、前回の結衣の空想病は完結してなかった、と言う事。しかし、周りの人はもう空想病は完結したものとして認識していて、結衣の劇場型空想が続いていることに気づいていない。それに気づいたものは、結衣から教会側と大罪側として役割を与えられたもののみ、と。世界の変革をもくろむ教会側に対して、今の世界を守ろうとする大罪側。しかし、戦力差は圧倒的。と、かなり燃える展開でした。

まぁ、大きな流れは同じ、なのですが、色々工夫されていてなかなか楽しめました。特に、青井が可愛かったのがよかったですw女性でありながら、空想のパラドックスに巻き込まれた影響で自分を男性と認識している青井ですが、これ、自分が女性って分かっているんじゃないか、と思うほどのアピールぶりで。特に、メイド服の挿絵にはやられましたwだんだん、青井の中での景の存在の大きさが増しているようで、今後、物語に大きな影響を与えそうな感じがします。ただ、その分結衣の活躍が少なかったのが残念かな。

今の世界を守りたい、という思いを持った大罪側。圧倒的不利な状況、と言う事で思わず応援したくなるような設定なのがよかったですね。やはり、主人公側は逆境にないとwという感じでした。ちなみに、敵側には「ジャスティス」「フリーダム」「ディスティニー」ってのがいましたwどこの種だよwと思わず突っ込んでしまいそうですw

教会と大罪の戦いですが、最後は、思いも寄らない展開になりました。これはよかったです。なるほど、彼のでたらめな強さはそのためだったのか、と思わず納得してしまいました。

オチは、またこのパターンか、と思ってしまいました。しかし、それが明かされる段階になって、私もすっかり騙されていたなぁ、と気づかされて。その点では、この作者は物語の中での空想病を、読んでいる側にもかけてしまったんだなぁ、と。ある意味、作者の文章が劇場型の空想病ですよwいや、見事です。そして、実際私が景の立場になったら、死にたくなるに違いないw

この巻の終わりで、結衣の空想病の力が弱くなっている、と言う事で、この辺は同じ展開を繰り返さないための振りかなぁ、という感じがしました。毎回毎回「劇場型の発作でした」とできないでしょうし、これは正解だと思いました。ラブストーリーとしての三角関係も作ることができたので、3巻からは、結衣の自己完結型空想をからめながら、物語を描いていく、と言う形になるのかな?

いや、本当に見事でした。素直に面白い、と思います。受賞作の続きをシリーズ化すると、2巻では模索のために手探りな感じになってしまい、イマイチになることがあったりしますが、そんな感じを全く感じさせませんでした。そういえば、1巻よりもかなりライトノベルな感じになっていましたしwまぁ、これは最初から最後まで「教会」対「大罪」というスタンスを貫いたためだと思われますが。

この作者、かなり力量がありそうです。今後がますます楽しみだなぁ。


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コメント 6

プラチナ

何かよさそうな感じだと思ったら、駒都えーじさんだったのですね。

悲しい結末みたいなので、ちょっと苦手なタイプだったりします。
by プラチナ (2010-09-27 22:27) 

takao

プラチナさん,コメントありがとうございます。

『イリヤの空、UFOの夏』は,悲しい結末が苦手でしたら,4巻の展開は結構きついかも知れませんね。
とにかく,イリヤに対して,きつすぎるので。
ただ,最後の最後。
あの決意をしたイリヤは不幸ではなかったと思います。
最後の最後,部長のおかげ,と言うのもあるのですが,「悲し」くはあるのですが,「暗く」はないと私は思っています。

結局,あれは浅羽という少年が,イリヤという少女との出会いと別れを通して,成長していく物語かなぁ,と。

何が言いたいのかよく分からなくなってきましたが,とにかく読んで貰いたい作品だと思います。
「名作ライトノベル」をあげるときに,絶対に名前が挙がりますしw
それだけの名作だと思います。
by takao (2010-09-27 23:19) 

る〜

こんばんは~
これ、青井が可愛いですよね~。自分は、結衣より青井を応援しています。
今後が楽しみですねっ。
by る〜 (2010-09-28 01:00) 

takao

る~さん,コメントありがとうございます。

まだ2巻までしか読んでいませんが,青井が可愛いなぁ,と私も思いました。
結衣もいいとは思うのですが,青井の前ではかすんでしまうと言うか。
おっしゃるように,次が気になるところです。
早く3巻読み終えたいものですw
by takao (2010-09-28 01:05) 

Gomarz

いやーまだ読んでないんですけど、ますます
面白そうな・・・ 思うんですけど、この話ってけっこう
難解じゃないですか?読んでて、現実と空想が
ゴチャゴチャになったりするとかあります?
駐輪場の掃除当番で知り合った今井さんと青井というのは
2巻から登場するニューキャラなんでしょうか? 
by Gomarz (2010-09-29 16:31) 

takao

Gomarz,コメントありがとうございます。

この話,面白いですよ。
ただ,難解な感じはないですよ。
お話自体は,空想病を煩い,現実と空想の狭間で生きる少女,結衣と少年,景の恋物語ですので。
ただ,2巻は盛り上げるためなんでしょうけども,わざと「世界は劇場型空想病の感染に気づいていない」というスタンスをとっていましたね。
ここら辺を騙されたなぁ,と思っただけで,ごちゃごちゃすることはないです。
空想の話にしても,簡単なのだと「1時間で完結した」と書かれて終わり,と言う事もありますので。

今井さんは,2巻からの新キャラです。
青井は1巻から出てきています。
前回の紹介には書きませんでしたがw
青井,良さそうな感じはありましたが,この間はかなりよかったですw

非常に評判も良い作品ですし,マジでおススメですw
by takao (2010-09-29 20:46) 

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