SSブログ

『夜が来るまで待って 2』/小木君人 [小学館]

ライトノベルの感想強化週間(ただ、読み終わったものの感想を書いているだけ)。今日はこれです。

夜が来るまで待って 2 (ガガガ文庫)

夜が来るまで待って 2 (ガガガ文庫)

  • 作者: 小木 君人
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/06/18
  • メディア: 文庫

影子使いと呼ばれる、野獣退治の能力に目覚めてしまった主人公・鷹兎と、影子使いの先輩である伽夜先輩、鷹兎の影子・ハルハの親子みたいな関係を、野獣と呼ばれる、人間の魂を奪う敵との戦いを描いた、のんびりまったりとしたラブコメ&異能バトル作品の第2弾となります。

この作者のデビュー作である『その日彼は死なずにすむか?』が非常に良かったので、期待して読んだ1巻でしたが、残念ながら私の好みとは合いませんでした。読書メーターなんか見ると、それなりに良い評価も見られたのですが。個人的には、ハルハの子どもっぽいわがままがもう全然駄目で、それにイライラして純粋に楽しむことができませんでした。伽夜先輩のキャラは良さそうなのに、それがうまく生きてないかな?と。

そして、2巻。また1巻のような展開だったらどうしよう、と思ったのですが、それが杞憂に終わっのが良かったです。その要因が、この巻を伽夜先輩と主人公の互いを思う気持ちを描くことがメインとなっていたのが良かったのだと感じました。

そのきっかけとなったのが、表紙にも描かれている新キャラの御月。猫みたいなキャラクターとか、影子使いとしての能力が、自分の影子を憑依させて、猫のような能力を得る、とか狙い澄ましたようなキャラでしたがwまぁ、好きな人には好きなキャラでしょうね。私は、あざとすぎてなんの感慨もわきませんでしたが。

いやぁ、御月の登場で、鷹兎に対する嫉妬の気持ちを隠しきれない伽夜先輩がとても可愛かったですw偉ぶるわけでもなく、口うるさいところはありますが、優しいですし、責任感もありますし。でも、弱い部分を持っていますし。なかなか良いキャラだと思うんですけどね。私が鷹兎だったら、迷わず伽夜先輩ですw

ただ、可哀想だったのは御月ですね。結局、最後が鷹兎と伽夜先輩の心の結びつき、となってしまったために、せっかくの新キャラだったのに、かませ犬的、と言うかなんというか。すみません、語彙不足で言葉が出てきませんが、不憫だなぁ、と感じました。ただ、次の巻にも出てくるようですし、次の巻で少しでも挽回できたらいいな、と言う風に思います。

そして、バトル部分ですが、正直どうでも良いwそれなりにおもしろかったですし、この物語の根幹となる部分、だとは思うのですが。なんか、なくても良いんじゃない?と感じました。正直、ラブコメ部分だけにした方がもっとおもしろくなるような気もしました。

それと、気になる点もありました。まぁ、私の戯言と言われたらそれまでなんですが。それは、作者がデビュー作で見せた「良さ」というものを、この作品ではあまり感じないことです。その「良さ」がなん なのか、と言われると、毎度恒例答えられないのですが(だから、戯言)。 うーん、デビュー作だともっと光るものがあったような気がするんですけどね。あっちは、ヒロインが正統派の素敵なヒロイン、と言うのが良かったのかなぁ? と言う気もします。「なんか、どっかで見たような設定だな」とは思ったものの、あざとさとかなかったですし、純粋にすがすがしい話だった気もしますし。

と言うことで、気になる点は確かにありましたが、なかなかに楽しんで読むことができました。読みやすかったこともあり、スイスイ読んでしまえたのも良かったです。3巻の発売も決まっている、と言うことで、続きが楽しみですよ。・・・・・・どうか、打ち切られませんようにw

あと、最後に。表紙見る限り、伽夜先輩は胸が小さくないと思う。私は、これくらいが好きwそんなところを気にする伽夜先輩も可愛かったりするのですがw
ブログパーツ
nice!(16)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『その日彼は死なずにすむか?』/小木君人 [小学館]

仕事もしないといけないのに、今日も今日とてガンダム戦記にラノベにアニメに特撮。なんてダメ人間の鏡なんだろう、私wまぁ、ねる前にできることをしてねよう、と思っているので、今のところ問題ないかなぁ?という感じ。休日は休むモノですよねw

と言うことで今回読んだのはこれです。

その日彼は死なずにすむか?1.jpg

第3回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作です。ガガガ文庫、当初は地雷作品も多いと言われており、現在も地雷多し、と言われているようですが(私はそう言うのは、中村九郎作品以外は避けているつもり)、ここ最近は質が良いのも出ているようですね。まぁ、挿絵担当した人のパースが見つかった、とか別の意味でやっちゃっている感じはしますけどもw

と言うことで、感想は追記にて。

続きを読む


ブログパーツ
nice!(31)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

ほのぼの展開から、怒濤の流れに 『とある飛空士への恋歌 2』/犬村小六 [小学館]

帯によると、「大反響!大ヒットシリーズ待望の新刊」だそうです。

とある飛空士への恋歌01.JPG

個人的に、ガガガ文庫と言われると、このシリーズと中村九郎先生の作品くらいしか思いうかびません。で、中村九郎先生は人を選ぶので、実質今の看板はこのシリーズ、ってことで良いのかな?と思ったりします。まぁ、私が読んだ『七夕ペンタゴン~』とか、読んではいないけど『恋の話を、しようか』『その日彼は死なずにすむか?』などは、そこそこ評判が良いみたいですし(完全に個人の思い込み)そろそろレーベルも充実してくるころでしょうか?最初は地雷が多くて、みたいに言われていたのが懐かしいです。

で、シリーズと言えば、ゲッサンで、『とある飛空士への追憶』のコミカライズが決まったようですね。うーん、絵を見る限り、シャルルとファナってもう少し年が上のイメージなんですが……。でも好きな作品だけに、楽しみですね。とりあえず、8月発売のゲッサンは買ってみようと思いました。

で、『とある飛空士への追憶』を見返していたら、驚愕の展開が。気付くの遅っ!ってのはなしにしてください。好きだけど、1回しか読めていないので。まさか、そう言う展開になっていたとは。気付いたときには、鳥肌が立ちました。

さて、それを含めて感想は追記です。

続きを読む


ブログパーツ
nice!(14)  コメント(8) 
共通テーマ:

映画化決定?! 『七夕ペンタゴンは恋にむかない』/壱月龍一 [小学館]

本書は2010年新春公開予定の映画、『RIO BANANA』の原作である。法人の作品が、それもこのようなライトノベルがハリウッド映画の原作になることはきわめて稀で、別の映画のPRで来日していたプロデューサーのJ・カザック氏がこのことを発表したときは、ちょっとした騒ぎだった。

というのは真っ赤な嘘です。すみません。

と言うわけで、以下追記で。

なんか、いろいろなところから怒られそうな気がしますが、後悔はしていません。読み終わったときに何となく思いついたのでやっちゃいました。ちなみに、上の文は田中哲弥氏著作の『大久保町の決闘』あとがきからパクリました。ちょっと変えさせてもらいましたが。本作とは関係ありませんが、田中哲弥氏の大久保町三部作は名作(迷作?)なので、興味がある方は是非読んでください。今なら、早川から復刊されたのが出ていますので。でも、『大久保町は燃えているか』は電撃文庫で出た奴を読むことを激しくオススメします。最期の感動が全然違うので。これはガチ。でも、一番好きなのは『さらば愛しき大久保町』です。ラストの突拍子もなさと、「ないしょ」が好きです。

さて、『七夕ペンタゴンは恋にむかない』です。一体私が本を一冊読み終わったのは、いつ以来だろう、ってくらいひさしぶりに読み終わりました。その間、積み本が10冊以上増えているだろうことは、内緒です。

非常によくできた青春小説でした。同じ七夕に生まれた5人の男女。その5人は「特別な仲間」としてずっと一緒にいようと約束したのですが、だんだん成長する中で変わっていって、と言う話。『ビバリーヒルズ青春白書』を見ていた人間としては、それを思い出したのですが、あっちよりは爽やかですね。

文才が全くないので上手く説明できませんが、とにかくよかった。友達でいようと誓ったものの、そこに恋愛感情が生まれて。でも、その恋が結びつくことがなくて。そのもどかしさが非常にたまりませんでした。青春っていいなぁ、とおっさん臭いことを思った私。

この本、タイトルがちょっと気になって、で「まいじゃー」さんの紹介文を見て購入を決めたわけです。で、紹介文に最期が慌ただしい、とあったので確かにそんな感じ。急激に風呂敷を畳んだ感じというか。途中までは凄くよかったんですけどねぇ。最初にあったファンタジー設定が思い出したように飛び出して、後はエピローグまで一気、という感じでした。ご都合主義で終わっていないのはよかった気もしますが、でもちょっと待て。その前にご都合主義で元気になった奴がいるぞ。何で、そこで使って、最後では使わないのか。いえ、もちろんこういう終わり方も嫌いではありませんよ。同じような終わり方の、『イリヤの空、UFOの夏』とか『創聖のアクエリオン』とか好きですし。でもね、私は期待したんだ。エピローグ、7年後の七夕に彼女は帰ってくると。それなのに。それなのに。わざわざ主人公に年をとらせたのにそれがなしなんてあんまりだよ。と少し恨み節を。

とは言え、非常に良質なライトノベルであったことは事実。タイトルで嘘つきましたが、本当に映画化できそうな感じもしました。まぁ、ありきたりすぎる、とか批判くらいそうな気がしますが。まぁ、映画化されたら、劇場には見に行きませんが、DVDは買います。大丈夫です。『タイムリープ』のDVDも買いましたから(何が)。一回も見ていない所か、封も切っていませんが。あ、一応深夜で何故か放送されたのは見ましたよ。

閑話休題。欠点は、ラストに賛否が出そうなのと、キャラが浅いまま終わっていることかなぁ?特に鈴なんて、いてもいなくてもいいような扱い方。面白そうなキャラしていただけに、ちょっと残念でした。彼女を主人公にした物語を読んでみたい、とちょっとだけ思いました。そうですね、タイトルは『ネクラ少女は黒魔法で恋をする』あたりでどうでしょうか(おいっ!)

とにかく、青春物好きならオススメかなぁ?最後に不満を感じなければ。本当は、上下巻くらいにすれば丁度いい長さだった気がします。

Amazonのレビューにあるように、安っぽい感動、と言うことばが否定できないのが悲しい。でも、私はこの作品好きさ。

 

七夕ペンタゴンは恋にむかない (ガガガ文庫 い 1-3)

七夕ペンタゴンは恋にむかない (ガガガ文庫 い 1-3)

  • 作者: 壱月 龍一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: 文庫

あとがきのパクリ元。

大久保町の決闘―COLLECTOR’S EDITION (ハヤカワ文庫JA)

大久保町の決闘―COLLECTOR’S EDITION (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 田中 哲弥
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫

ネタにした本。これも好きです。2巻までしか読んでないけど。全巻買っているけど。

ネクラ少女は黒魔法で恋をする (MF文庫J)

ネクラ少女は黒魔法で恋をする (MF文庫J)

  • 作者: 熊谷 雅人
  • 出版社/メーカー: メディアファクトリー
  • 発売日: 2006/01/25
  • メディア: 文庫

ブログパーツ
nice!(8)  コメント(4) 
共通テーマ:

耽美な百合物語 『どろぼうの名人サイドストーリー いたいけな主人』 [小学館]


どろぼうの名人サイドストーリー いたいけな主人 (ガガガ文庫)

どろぼうの名人サイドストーリー いたいけな主人 (ガガガ文庫)

  • 作者: 中里 十
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: 文庫



帯によると、「大ヒット百合物語『どろぼうの名人』からもうひとつの”恋の物語”」と言うことです。とはいえ、今作は『どろぼうの名人』とほとんど関係がない、というか、全然関係ありません。作者のあとがきによると、『泥棒の名人』はボツになった作者企画のPCゲームの縮尺ノベライズ版。この『いたいけな主人』はそのサイドストーリーだそうです。

この物語、何と表現しようか、と考えたとき、思いうかんだのが「耽美的」ということばでした。で、タイトルにつけてみたのですが、我ながら語彙がなくて、何とも恥ずかしいです。

内容は後で触れますが、文体は、所謂「文学」的だなぁ、という感じ。純文学的というか。極力、大げさな表現を抑えて、静かな表現で物語を描く感じがしました。文体だけなら、某有名文学賞にもノミネートされそうな感じがしました。精神的な百合のつながりを描く上で、効果的だったと思います。

内容は、凄くおおざっぱに言うと、惹かれ合う者同士が、様々な苦難を経て、最後に一緒になる、といった感じでしょうか。毎回、おおざっぱすぎてすみません。読んでいる途中、『ナタラージャ』を思い出したのですが、よく考えると、全然関係ありませんね。多分、最近読んだ本で、ちょっと展開が似ていたので思い出したのだと思います。

本作のテーマは、主人公の光(女性)とヒロイン(?)の陸子、それとそれを取り巻く人との、精神的なつながりですが、とにかくエロい。私が百合小説にそんなに触れていないせいもあるでしょうが、ひたすらエロかったです。何かで、「場面描写がなければ、ラノベ的にはOK」みたいなことを見たことがあります。本作もこのガイドラインに沿っているのか、肉体関係を匂わす表現はありますが、直接表現はありません。でもなぁ、エロいんですよね。これは、文体を抑えめにした成果でもあると思います。

で、主人公の光ですが、最初の方に自分でも無意識に陸子の衣服の匂いをかいでいる、って。『まりあ†ほりっく』のかなこさんと行動が同じじゃないか。でも、かなこさんは笑えるド変態(アニメ版しか見てない人間のイメージ)なのに対して、こちらの光は変態は変態だけど、ド変態とまでは思えない不思議。まあ、かなこさんは意識的にそれをしているのに対して、光の方は無自覚、と言うのがあるのかも知れないです。また、肉体目当てのかなこさんに対して、外見ではなく、精神的に惹かれている光という違いもあります。でも、一番は作風のおかげでしょうね。ギャグアニメとシリアスなラノベの違い。かなこさんには、たぐいまれなる妄想癖もありますし。

で、章のサブタイトルはまるで『WHITE ALBUM』みたいだなぁ、と思ってしまいました。それで、自分がすっかりアニメに染まりきっていることを自覚しました。でも、こちらは様々な文献からの引用ですが。作中でも、様々な文献からの引用などがあり、作者の教養の深さのようなモノを感じました。ここら辺は、賛否両論ありそうですが、私は学がないので、素直に凄いなぁ、素晴らしいなぁ、憧れるなぁ、と思いました。

しかし、最後の章のサブタイトルが「僕の身体を 天使の姿が見えないように してほしい」で引用が『ぴたテン 8』なのが笑えました。まさか、ここからも引用するとは。まさかの『ぴたテン』。いや、好きでしたよ『ぴたテン』。

閑話休題。まあ、純文学的な、耽美的な文体だけに、意外なところからの引用で笑えたわけです。

 「護衛官やってたときも、通販ばっかりしてたな」
 「昔のドラえもんはつくえの引き出しから出てきたけど、いまなら通販で届くかもね」
 「それ、『ローゼンメイデン』」(P.333)

とか。そして、作品の雰囲気を壊すことなく、さりげなくこういうギャグを入れたりするのは素晴らしいと思います。

422ページ、税込み700円とそれなりのボリュームがあったのですが、非常に楽しんで読むことが出来ました。ラノベっぽくない文体なので、そこで好き嫌いが出そうですが、『どろぼうの名人』を読んだ方は是非とも読んでもらいたい。でも、『どろぼうの名人』の方はこんなにエロかったかなぁ?
ブログパーツ
nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:

買うか買わないかは、書店で立ち読みしてから  曲矢さんのエア彼氏 木村くんのエア彼女 [小学館]


曲矢さんのエア彼氏 (ガガガ文庫)

曲矢さんのエア彼氏 (ガガガ文庫)

  • 作者: 中村 九郎
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/03/19
  • メディア: コミック



気分一新、タイトルの付け方も変えてみました。と言うわけで中村九郎氏の久しぶりの新作です。前作『樹海人魚2』が2008年3月発売なので、約一年ぶりの新作ですね。どうりで、最近中村九郎分が足りないわけです。久しぶりに、中村九郎分を補給できました。

さて、久しぶりの新作ですが、いきなり出だしからやられました。もう、タイトルからやられていたのですが。エア彼氏とか、エア彼女とか。それは置いといて。

 真夜中、少女は濡れたアスファルトを踏んだ。
「冷たい……遠くない冬を感じさせる温度」
 制服の少女は誰かにとても親切と言える。(P.8)

ですからね。九郎節炸裂ですよ。と言うか、何だこの説明口調。ある意味、駄目な人をいきなり振り落とそうとする親切仕様。ここで、よく訓練された人以外を脱落させるとは、さすが中村九郎氏です。

さて、内容はと言うとてっきり痛い人が、エア彼氏エア彼女といちゃつくラブコメかと思ったのですが、そうでもなかったですね。帯にも「俺の彼女は”エア彼女(バスケットボール)”衝撃の妄想ラブ=コメディだっ!」とありますしね。ところがどっこい。なんだか、途中から話がどんどん変わってきて、もう凄いとしか言いようがありませんでした。是非とも、これは読んで体験して欲しいです。ポルナレフもびっくり、みたいな。やはり、中村九郎氏は天才だと実感しました。

中村九郎氏の著作の特徴として、「展開は何が何だか分からない。読んでいるはずなのに内容が頭に入ってこない。で、ちょっといい話っぽいラスト」と言うことがあげられると思います。異論は認めます。それは本作でも健在。確かに、出だしはエア彼氏持ちの曲矢さんに、主人公が弟子入りして、エア彼女を手に入れようとする痛いラブコメ風味でした。「さすが九郎先生。ラブコメもかけるんだ」と感心しました。ところが、気付いたら別作品になっているんですもの。それはびっくり。で、ちょっといい話っぽくなるのが素晴らしい。どうも、続編も意識しているような感じで、終わり方はちょっと「あれ?」でしたが。まあ、それを言ったら『アリフレロ』も「あれ?」な終わり方でしたが。

しかし、『樹海人魚2』の時から感じていましたが、ずいぶん読みやすくなっているような気がします。『アリフレロ』と『樹海人魚』2冊しか読んでないので、訓練されたから、と言うわけではないと思います。多分。ただ、時々ある誤字が気になりました。「俺のバッグにはけして触れなかった」(P.58)とか、「ゲカ(注:正しくはケガ)」(P.158)とか。あとがきで、校閲さんへの感謝のことばがありましたが、本当に校閲さん仕事したのかな、と思いましたよ。元々が誤字脱字だらけで、校閲さんが見逃したのかも知れませんが。

とはいえ、かなり楽しめました。ワンポイントで今更なアイテムを出すあたり、やはりただ者ではありません。万人に勧められるわけではありませんが、興味がある肩は是非とも読んでみてください。

ただ、今アマゾンを確認したら、2~5週間以内に発送(平成21年3月21日 15:14現在)、となっていました。さすがは中村九郎氏です。(ちなみにbk1は24時間でした)
ブログパーツ
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

とある飛空士への恋歌/犬村小六 [小学館]


とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

  • 作者: 犬村 小六
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2009/02/19
  • メディア: 文庫



タイトルからして、『とある飛空士への追憶』の続編か、と思わされますが、実際は舞台が同じだけで、主人公ヒロインその他もろもろは一新されてます。まあ、表紙見れば分かりますが。『追憶』は綺麗に終わってたので、安易な後日談は止めて欲しかったので、これは嬉しい限り。

ちなみに、今回はシリーズ物です。この巻では、主人公の生い立ち、ヒロインとの出逢いが描かれています。読み始めてすぐ予想出来る組み合わせには笑えました。まあ、表紙からしてそうですね。ガ報にも、イメージは「ロミオとジュリエット」と書かれてますし。

『追憶』は、読んでいてジブリアニメをイメージしましたが、『恋歌』は名作劇場のイメージでした。個人的には。まあ、2章がまんまなイメージだったからですが。しかし、いい家族です。もっとこの部分深めて欲しかった気もします。

まあ、庶民とか政府とか馬鹿だなぁ、とか、最期の母上、別人みたいだ、とか気になる部分はありましたが、全体的に良かったです。前作の期待を裏切っていませんでした。しばらくは学園生活、その後、敵が出て来て空戦展開と言うことですが、私としては二人の恋歌がどうなるか、楽しみです。
ブログパーツ
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

どろぼうの名人/中里十 [小学館]


どろぼうの名人 (ガガガ文庫 な 4-1) (ガガガ文庫 な 4-1)

どろぼうの名人 (ガガガ文庫 な 4-1) (ガガガ文庫 な 4-1)

  • 作者: 中里 十
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/10/18
  • メディア: 文庫



いい雰囲気の小説だったのだけれど、最後の後書きで台無しになった感じが……。ここまで痛々しい後書きは久しぶりに見た感じがしました。

ここ2回の直木賞をとった『私の男』と『切羽へ』は、文体で取ったのかな、と感じたのですが、この作品からも似たような雰囲気を感じました。非常に抑えめの表現で、でも丁寧に描いている感じ。百合ものなのですが、所謂百合臭くない。主人公・佐藤初雪とヒロイン・川井愛の奇妙な同棲生活を描いているのですが、日常を淡々と描いているので、人によっては退屈に感じるかも知れません。ただ好きな人はたまらなく好きだろうという感じです。

というより、これをライトノベルで出す必要性が感じられませんでした。ライトノベル特有の強烈なキャラクターもなく、くどい言い回しもなく、知らないと楽しめないギャグもなく。敢えていうなら、後書きがライトノベルですが。……すごく落ち着いた作品なのに、後書きで「1万と2千年後」はないです。

とにかく、雰囲気を楽しむ小説だと思います。百合百合したものを期待すると肩すかしを食らいますのでご注意を。所謂、ライトノベルが好きな人にはおすすめできません。逆に、純文学にも通じるような雰囲気(といったら語弊がありそうですが)の、百合ものを読みたい人にはおすすめ。立ち読みして、文章が気に入ったら買って損はないと思います。個人的には、対象年齢20代後半以降な気がします。

しかし、タイトルは『どろぼうの名人』より『ラプンツェル』な気がする。物語での登場回数的に。
ブログパーツ
nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:

七歳美郁と虚構の王/陸凡鳥 [小学館]


七歳美郁と虚構の王 (ガガガ文庫 く 1-1)

七歳美郁と虚構の王 (ガガガ文庫 く 1-1)

  • 作者: 陸 凡鳥
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2008/09/19
  • メディア: 文庫



1999年末、1999人が犠牲となったテロから数年。99人の記憶を持つ今近衛久遠に、姉からはがきが届く。「世界で二番目に刺客を送ってみました」七歳美郁を護るため、久遠は世界で一番強い男を召喚する。(『ガ報』紹介文より)

よく言われる、表紙にだまされて買ってしまいました。もう、紹介文とか見ることなく。私が多く語るより、多分本文を引用した方が良さそうなので、いくつか抜き出してみます。

「立命館大学卒。松坂世代ならぬ藤川球児世代の、ロストジェネレーション。現在書店アルバイト。得意技は、ねこだましから繋げる空中殺法。超人強度66マンパワー。」(作者紹介文)

「一九九九年十二月三十一日、その事件は起こった。国連復興安全調査委員会(INRASC)が定めた正式名称は、遊戯型特級テロ、《拡大人的破壊》。俗に言う審判の刻(ジャッジメント・デイ)である。

「世界で二番目に刺客を送ってみました。存分にご堪能あれ。  最愛の姉より 愛は籠めずに」

「さあて、凄惨な事件の始まりだ。人が死んで、人が死ぬ。ただそれだけのことに必死になる。……やっぱ人間てのは面白いよな、相棒?」(以上3つカラー扉より)

「1999年12月31日、その事件は起こった。

千年紀最後の年を迎える、記念すべき一日前。
西暦の左端が1から変わる瞬間を数十秒後に控えた時刻。
誰もが新たなる時代を思い描き、幸福に浸っていたはずの一分間。
世界各地における、それぞれの標準時、午後11時59分。全人類を震撼させる、歴史上類のない一大猟奇犯罪が決行される。

政治、経済、文化活動に携わる、表世界の名士や指導者、333名。
マフィア、戦争屋など、裏社会の重鎮やその関係者、666名。
都合999人が直接的、あるいは間接的に殺害された。さらにその余波で死亡した、きっかり1000人の犠牲者を合わせること、1999人。
少ないとは言いかねる数の者たちが、この日このとき、地球上から姿を消した。

事件の特殊性はそれだけではない。
犠牲者たちが死んだ現場を繋ぎ合わせると、一本の暗殺航路(ライン)ができあがる。

それは赤道と平行方向に、19991.231キロの直線を描いていた。

国連復興安全調査委員会(INRASC)が定めた正式名称は、遊戯型特級テロ、《拡大人的破壊》。
だが世間に広まった呼び名は、より明確に被害の実態を伝え、人々の恐怖を喚起した。
俗に言う、審判の刻(ジャッジメント・デイ)である。

なぜ彼らは殺されたのか。
1999という数字には、隠された意味があったのか。
事の真相を理解できた者は誰もいない。

事件後明らかになったのは、ただふたつの名前だけ。
破壊をもたらした実行者、《外木場外郎(そときばういろー)》
敵を告発した、救済の女王、《九重白雪》
彼らの名を除くすべてが不明瞭なまま、事件は風化していくかに思われた。

そして悲劇から数年。

物語はまだ、終わらない。」(P.10、11)

「やや甲高いバリトンで、階(きざはし)は答える。」(P.36)
(注:グーグル先生で検索したら、「甲高いバリトン」で991件ヒットしました)

「何から尋ねるべきかを組み立てながら、ティーポットを傾けます。質問の順番によっては苦戦が予想されました。私は犯人から自供を引き出す刑事(プロ)ではありません。単なる女子高生未満です。(P.93)
(注:この登場人物は中学校を卒業したばかりです)

「第二世代ともいえる本機には、前作の轍を踏まえた改良が加えられることとなった。
 プログラムにインプットされた記憶データは九十九人分。前作のおよそ九倍近くにも該当する量であり、数だけを見るなら、人体への負担は増すばかりに思えるだろう。」(P.190)
(注:前作に記憶された記憶データは十二人。八倍じゃない?)

「「……階の技だ。ただの蹴打。仰々しく技に名前をつけるような男ではないからな」
 敢えて言うなら断罪牙。(P.209)

ぴんと来た人は、書店へgo!と思わずにいってしまいそうな感じです。私も、作者紹介や扉絵を読んだときに思いました。「これは、来たか?」と。実際問題、あまり来なかったのですが。

本文は、表紙にもなっている「七歳美郁」語りのパートと、もう一人の主人公「今近衛久遠」語りのパートからなっています。個人的に厄介だったのが、「美郁」パート。何で、『108年目の初恋』や『θ 11番ホームの妖精』読んだときにも思ったのですが、少女語りってのは読んでいてどうもしっくり来ないです。それに加え、この人自分のことを謙遜しないから、鼻につくような部分も見え隠れ。これは読者を選ぶだろうなぁ、と。

そして、P.209 の表現のように、少しくどい表現。どこかで既視感が、と考えてみたら、ああそうか、『灼眼のシャナ』か、と気付きました。確かに、シャナに負けないように、ルビが多かったですが。《晩餐会の十二人》で「ディナーパーティ」とか。《救世主殺し》で「オラトリオスレイ」とか。私は、シャナは大丈夫で、むしろどんと来い、くらいなのですが、ダメな人はダメだろう、と思われます。

さて、いろいろツッコミ所満載ですが、内容はそこまで酷くなかったです。初っぱなで『ガラクタパーツ』級を期待したおかげかも知れませんが。適切な譬えではないでしょうが、特大地雷を期待していたら、かんしゃく玉がまいてあっただけ、のような感じです。

とは言いつつ、私はかなり楽しませてもらいました。次の巻が出たら買って読むくらいには。ただ、壮大な前振りをした割には、何か本編が小さくまとまってしまった感じがあります。何か、小難しそうなことを書き連ねていましたが、そこが痛かったです。一番痛かったのが、世界でいちばん強い男の設定でした。あまり書き出しで(地雷を)期待しすぎるとダメだ、というパターンかな、と思います。
ブログパーツ
nice!(1)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。